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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第四章】近距離な男
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聴きたい話題

「で、金曜夜(あのあと)二人はどうなったのかなー?」


陽子がニヤつきながら、私の隣でお昼ごはんを食べる。

どうやら陽子は、私と春田くんが陽子と別れてからもう一軒行ったことを知っていたような口ぶりだった。


「どうって、もう一軒飲みに付き合ったら終電なくして…」


私は、買ってきたコーヒーとパンをコンビニの袋から出しながら説明する。


今日は天気も良くて、私たちは近くの公園のベンチで、ランチすることにした。

そんな真っ昼間に、なぜか夜の話。

――――なんだか場にそぐわない話題だ。



「えーっ!春田ってば、まさかホテルに!?」

陽子は、ワイドショーの芸能レポーターのようなテンションで私の話を聴いてくる。


「うん、春田くんの泊まってるホテルに「うっそ、ゆりってば遠距離の彼氏もいるのに、春田(あいつ)とホテルに泊まっちゃったの!?」」


「―――…ちょっと、声でかい!」


(というか、私の話を最後まで聞いてよ…――。勝手にあらぬ想像して勝手にそんな目で私を見ないでよ…。ったく…)


興奮して私の話を最後まで聞かずに話をあり得ない方向に持っていく陽子に、私はとりあえず注意する。


「陽子、なんか誤解してない?確かにホテルには行ったけど私たちの間には何もないからね?」


「え?無いの?」

陽子がなぜかあり得ないという反応をする。


「当たり前でしょ、同期なんだから」

(っていうか、なぜそんなガッカリしてるのよ!さっきは軽蔑の眼差しで見てたくせに…)


「ゆり、…謝って。春田に謝ってあげて」

私が春田くんと私の仲は“同期”だと強調したら、なぜか陽子が突然ため息をついた。


「いや、謝ったよちゃんと。ベッド使わせてもらってごめんって」

(あれ?謝ったよな…?謝ってなかったっけ?)

あの時は翌朝慌てて支度しに家に帰ったから、正直きちんと謝ったかどうか、覚えていなかった。



「いやいや…ーーーあぁ、春田…可哀想に」


「本当、可哀想なことしちゃった…」

陽子の言葉に、同調しながら私も反省した。

(これからは自分のペースでお酒飲まなきゃな…他人に迷惑かけて…情けないわ…)


「ねぇゆり、あんた春田の気…―――」

「あ、春田くんと言えば!春田くん来月からうちの部署に異動になったんだって!」


陽子が何か言いかけていたけど、私は思い出した春田くんの異動の話を陽子に早く伝えたくて、つい自分の話を優先して続けてしまった。



「え?そうなの?」

陽子が驚いて、それから嬉しそうにしていた。


「楽しそうね、陽子」


「うん、楽しみ!!」

陽子がそう言ってニヤリと笑った。


(陽子と春田くん、本当に仲良いんだなぁーーーー)


私はこの時、そんな呑気なことを思っていた――――。



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