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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第四章】近距離な男
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元彼の今カノ

――――…月曜日の朝ほど、憂鬱なものはない。


目覚まし時計に起こされて、目を開けた時…泉のいない現実に寂しさを感じてしまう。


(次に会えるのは…ーーー来月…か)

カレンダーを見ながら、私はため息をつく。

(――――自分は遠距離でも大丈夫だと思っていたのに)


日に日に増していく彼への想いに、自分の気持ちをセーブするのがいっぱいいっぱいになっていた。

(会いたいな…ーーーー泉に…)

昨日会っていたのに、もう泉に会いたいと思ってしまう。

(依存症…?だとしたら重症だ…ーーーー)


朝ごはんを食べずに、コンビニでパンとコーヒーを買い、会社へ向かう。


「おはよう」

その時、後ろから声をかけられて私はその声が誰だかすぐに気付いた。挨拶を返そうと私は振り返る。


「おはよう、…ございます、新城(あらき)さん」


声をかけてきた新城努(あらきつとむ)は、私の元彼だ。

だけど、咄嗟に他人行儀な挨拶を返したのは…―――。

努の隣には受付の女の子、神田美香さんが歩いていたから。



「おはようございます、夏海さん」

受付の女の子が、得意の営業スマイルで私にそう挨拶をした。


「おはようございます…」

私はなんとなく、居心地が悪くて目を伏せる。

(なんで私…ーーー朝からこんな心に負担背負ってるんだろ…)




「――――新城さん、ではまた」

受付嬢である彼女は、一階で手を振りながら更衣室へと向かった。

「あぁ…」

努が曖昧に返事をしながら、軽く手を挙げる。

すると、私の目の前を通り過ぎるとき、彼女は私の耳元で、

「私の彼氏なので盗らないで下さいネ」

と囁いた。


『受付の女の子と付き合ってるって噂聞いたけど?』

金曜の飲みの席で、春田くんから聞いていたから…二人が一緒に通勤してきたところを見ても、そこまで驚かなかった。


だけど、今の発言には、驚かされた。

(“盗らないで下さい”って…ーーーー私から努を盗ったのは…貴女じゃないっ…)


私は自分でも、こんなに嫉妬深いということをこの時初めて知った。


(努は…私を大事にしてくれてた…ーーーー幸せだったのに…それを横から奪ったのは…貴女だったのね…ーーー)


怒りを抑えながら可愛らしい受付嬢の背中を見つめていると、

「ゆり?―――行かないのか?」

とエレベーターの“開”ボタンを押したまま、努が待ってくれていた。


「あ、ありがとう、…ございます。」

付き合っているときは敬語は止めてと言われたけれど、

別れたらどうしたら良いのだろう?


私は努との距離感に戸惑いながら、エレベーターの隣に立っていた―――――。

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