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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第三章】遠距離/近距離の恋
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二週間ぶりの再会

なんとか間に合った新幹線に乗って、私は久しぶりに帰省した。

改札口を通ると、泉の姿をすぐに見つけてドキンと胸が高鳴った。


「ゆりさん…」

久しぶりに見る、ふんわり微笑む泉の顔。


ずっと会いたかった人に会えた瞬間。

照れくさくて、嬉しくて、そしてなぜか涙腺が弛んだ――――。


「行きましょうか」

会ったらなんて言おう…とか考えていたくせに、

いざ目の前にしたら、何も言えなくなっていた私。


そんな私に気付いてないのか…泉はいつも通り、マイペースにそう言うと、笑顔で自然に手を繋ぐ。


「うん…」

(会いたかった…とか、チケットありがとうとか…言いたいことはあるのにー―――)

二週間ぶりに会っただけなのに、なんでこんなに緊張しているんだろう。


「ゆりさん、昨日は遅くまで飲んでたんですか?」

泉が歩きながら尋ねる。


「あ、うん…終電逃しちゃって…」


「え、それ…大丈夫だったんですか?」


「あ、うん。だから今朝急いで支度して。―――間に合って良かったよ」

(慌ただしく支度して、間に合わなかったらどうしようとか半べそかいてたなんて恥ずかしくて言えない!)


私がそう焦って答えると、

「そうですか」

嬉しそうに、泉が私の瞳を見つめて言う。


「ところで、これ…どこに向かってるの?」

私は恥ずかしくなってつい目をそらしながらさりげに話もそらす。


「あ、高校です」

泉が楽しそうに言う。


「え?」

(―――…高校?なんで?)


「懐かしくないですか?」


「そりゃ、懐かしいけど…ーーー」

その意図が分からずに泉を見上げると、私の表情に気付いた泉が観念したようにポソリと言う。


「―――…先輩とこうして、登校したかったんです」


そう言って苦笑いする泉が、どうしようもなく愛おしくて…、私はクスッと笑ってしまった。

(また“先輩”って、言ってるし…ーーー)


「…笑わないでください」

照れたようにムッとしたような泉が新鮮で、私はすっかり緊張が溶けていた――――。



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