翌朝
「んーー…」
目を覚ました私は、自分の部屋ではない部屋のにおいに違和感を感じながら起きる。
「あれ…」
「おはよう、ゆり」
寝惚け眼の私を見つめていたのは、同期の春田くんだった。
「!!!」
私は、驚いてパッチリ目が開く。
(そうだ私…ここで春田くんのベッド占領して寝てた…ーー)
「春田くん、ごめん。寝れてないよね…」
目が腫れぼったい春田くんに、私は焦ってベッドから降りる。
「いや、ゆりがよく眠れたみたいで良かったよ」
春田くんが欠伸しながらそう言うと、
「折角だからシャワーでも浴びていけば?」
とバスタオルを渡してきた。
「え!?」
「今日、なんか用事あるんだろ?時間大丈夫?」
泉にもらった新幹線のチケットの予定時間まで、あと一時間だった。
(あぁ…服っ!昨日と同じだし…泊まり用の荷物も全部私の家だ…っ!)
「今から帰って仕度するから。じゃあ私帰るね!」
「おぅ、またな」
「うん」
挨拶もそこそこに、私は急いでホテルを出た。
タクシーで最寄り駅まで向かい、そこから自分の家まで電車で帰る。
そしてシャワーを浴びて、支度してすぐに家から出ると、
新幹線の時間まであと15分だった。
(間に合わないかも…ーーーっ)
泣きそうになりながら、私は電車に乗り新幹線の乗り場まで急いだ。




