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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第三章】遠距離/近距離の恋
33/88

近況報告

「で?別れたんだって?新城さんと」

最近の近況報告し合っていたら、突然春田くんの口からその話が出た。


「―――ちょっとそれ聞く?」

陽子が私に気を遣おうとしてくれる。


「いいよ、陽子。大丈夫。―――うん、別れたよ」

そんな陽子に私は笑顔で応じて、春田くんに言った。


「しかも、受付の女の子と付き合ってるって噂聞いたけど?」


(――――そう、なんだ…)


「ばか…」

陽子は知っていたらしく、春田くんを小突く。


「いや、良いの。もう、終わってるし」

(知らなかったから…驚いただけで…ーーーーー)


私が笑って言うと、

「あ、そうなんだ?」

と、春田くんがホッとしたような顔をした。


「そうそう!ゆりには今、年下の彼がいるしね」

陽子がなぜか得意気に言う。


「え、なんだそれ。知らなかった」


「春田は知らなくて当然よ、つい先週の話だもん!ねっ、ゆ・り・ちゃん!」

陽子のテンションについていけず、私はから笑いで誤魔化す。


「なーんだ、やっぱりゆりはモテるなー。俺狙ってたのに」


「え…」

春田くんが突然変なことを言うから、私は驚いて飲もうとしていたビールを持つ手が下がった。


「なんて、な。――――でも年下って…学生?」


「…――あ、うん。地元の大学生で」

(冗談か…ーーー春田くんってばいつも変なこと言うから…)

まだ動揺していたが、私は返事をする。


「…―――それ騙されたりしてないよな?」

春田くんが、心配そうに私の目をじっと見つめる。


「騙される?」


「地元に本命がいて、ゆりに貢がせるつもりとか」

(貢がせる…?泉が?)


あまりにあり得ない話で、私は笑ってしまった。

「それはないよ…」


「…―――ふうん…」

私は笑ってそう言ったんだけど、春田くんはまだ納得できないような顔で、残りのビールを飲み干した。






「じゃあ私、こっちだから」

「うん、また月曜にね」

気持ちよく酔っぱらっていた陽子に、私がそう言うと、ニヤッと笑って、

「彼氏によろしくっ!春田、またね!」

と、私と春田くんに手を振って陽子は一人歩き出した。


居酒屋から家が近い陽子と別れて、私も電車に乗ろうと近くの駅へと向かって歩き出す。


「なぁ、もう一軒行かねぇ?」

春田くんが、甘えた声で言った。


「あ、ごめん、明日朝早いから」

(明日は…泉に会える大事な日だから…ーーーーー)

泉がくれた新幹線のチケットを思い出したら、私は明日が待ち遠しくてドキドキした。


「せっかくこっち、帰ってきたのになー」

でも、春田くんがそんな風に、あまりに不服そうに言うから…ーーー。



「…―――じゃあ、もう一軒だけだよ?」

私は、仕方なくもう一軒付き合うことにした。


「やっぱりゆりは優しいなー。好きだわー」

春田くんがそう言うと、私に嬉しそうに笑った。


「もう、酔いすぎだよ春田くん」

(まぁいっか、ーーー終電までに帰れば…)


腕時計を見ながら私はそんなことを考えていた…ーーーー。







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