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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第二章】吹成泉の恋
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偶然の再会

「許して泉っ」


(“許して?”浮気しておいてよくそんなことを…ーーー)

僕は呆れてため息しか出なかった。


入りかけた彼女の部屋から踵を返すと、彼女が後ろから抱きついてきた。


「だって泉、ちっとも会いに来てくれないから…」


(―――この期に及んで、その台詞ですか?家に男連れ込んだ現場でよくそんなこと言えますね…)


「さようなら」

僕は顔も見ずに彼女の腕をそっと放す。


「やだっ、泉…―――私は泉のことが好きなの…っ」


そんな彼女の言葉は、全く心に響いてこなかった。


高校3年の夏に彼女から告白されて、なんとなく付き合い始めた。そんな薄っぺらい恋も、これでおしまいか。


宛もなく街を歩きながら、僕は思い出していた。


恋がどんなものか、教えてくれたあの女性(ひと)のことを――――。



「え…」


目の前をふらっと横切るその人の横顔に、僕は驚いて声が漏れた。


(―――夏海…先輩?)

つい先ほど思い出していたその人に、そっくりな女性だった。



ひどく気落ちした表情で彼女は、一人で映画館へと入っていった。


――――…気が付けば僕は、半信半疑なまま彼女の後を追っていた。



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