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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第一章】夏海ゆりの恋
11/88

告白

「…―――笑えないんだけど?」

私が困って視線をそらして言うと、


「冗談ではないので、笑わなくて大丈夫です」

吹成は真顔でそう返してきた。


ざわつく駅前通りで、なぜ私達はこんなやり取りをしているんだろう。

吹成から突然の、無茶な話に私は只困惑していた。


「好きにって…それ、恋愛的な意味で?」


「はい」


「なんで?彼女にフラれたから?私はそんな軽い女だと思ってる?」


「いえ、そういうわけではなくて…」「迷惑だから」


何か言いかけた吹成の言葉を、これ以上聞きたくなくて私は遮る。

吹成の表情があまりに真剣で、本気さが伝わってきて…怖くてこれ以上は聞く勇気がなかったのだ。


「―――私、もう恋愛はしたくないから。」

私はポソリと呟く。


(太一と別れてから、二年だよ?二年も引きずって、ようやく次の恋は信じようと思ったのに…ーーー。)


立ち直ってようやく次の恋にいけたのに、その恋も一年で終わってしまった。

――――…終わりが来るぐらいなら、もう始めたくもない。


「…―――夏海先ぱ」

「そういうことなら、泊めてあげられないから」

私は、一人で改札へと足早に向かう。


「待って!!」

不意に、力強い手が、私の腕を掴んだ。


「先輩は、僕のこと嫌いなんですか?」

吹成の瞳に私が映る。


「…―――」

(そんな表情(かお)、しないでよ…。私が悪いみたいじゃない…)

私は思わず目を逸らす。


…――――嫌いなわけない。

吹成のことを嫌う人なんて、どこにもいないと思う。

だけど、私は声に出せなかった。簡単に口に出してはいけない気がした。


「僕は好きです。先輩が…ーーー太一と付き合ってた時から…」


「え?」

(…太一と付き合ってた時、から?)


思わぬ告白に、私はフリーズした。


「今はまだ、好きでなくて良いんです。でも、一度僕にもチャンスを与えてくださいませんか?」


「ーーー吹成…」

(なんでそんな必死に言うの?――――私はただの“親友の元彼女”だったんじゃないの?)


私は戸惑いながらも、吹成の掴んでいた手に触れた。

すると、吹成がそっと…もう片方の手で私の手を握る。


そして泣きそうな笑顔で、一言付け加えた。

「…太一が告白した時のように。」


――――それは私が、最初は太一のことを好きじゃなかったことを見抜いていたような、口振りだった。

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