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彼は私の×××   作者: 夢呂
【第一章】夏海ゆりの恋
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映画館

「大輔、愛してる…ーー」


「俺も、愛してるよ澪……――――」


でかいスクリーンで繰り広げられる濃厚なラブシーン。


(あぁ、失敗した…ーーー)

内容も確認せずに、ちょうど始まる映画のレイトショーの開始時間に足を踏み入れたことに、私は後悔していた。


スクリーンの主人公とその恋人の二人はお互いの気持ちに素直になり、幸せそうに愛を確かめ合っているというのに。


『ごめん、別れよう…―――』

彼氏に先程そう言われたばかりの、

まさに現実(リアルタイム)で失恋したての私には、自ら傷口に塩、いやハバネロをすり込みに来たようなものだった。



(何やってるんだろう…私は…―)


―――暗い映画館で、独り。

感動のシーンでもないのに、私は涙を流していた。


(好き…だったのにな…ーーー)


私の気持ちは、変わらないのに。

彼の気持ちは、変わってしまった。

そんな私が彼に出来ることは、“別れ”を受け入れることだけだった。


(これで明日も会社とか…ーーーきつすぎる…ーー)



「あのこれ、使ってください」

スクリーンを見ながら静かに涙を流していると、

突然左隣からこそっと耳元で囁かれ、目の前に白いハンカチを差し出された。


(泣いてるの、気付かれた…!!?

というか、他人に気を遣われている私…――――)


驚いた私は、慌てて涙を素手で拭い、隣を向く。


(え…ーーーー)


吹成(ふなり)…―――?」

隣に座っていた人の顔を見て、私は思わず呟いた。


それは、高校時代の後輩、吹成(ふなり)(いずみ)だった。


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