迷いマイマイ
遅れてしまってすみません、お待たせいたしました。どうも、斎藤一樹&雨月獄の、イツキです。お互いなかなか満足の出来るものが書けず、苦労しました。そんな苦労の時間が二人分。そりゃ時間もかかるわな、Hahahahaha! とまぁ以上が言い訳でした。
さて、前回のサブタイトルは「仮面ライダーフォーゼ」のサブタイトルっぽい感じにしてみました。今回のサブタイトルは何にしましょうか……これ書いてる時点ではまだ未定です。というかサブタイに変な縛りを入れた所為でぶっちゃけメンドくさい……まあ、前書きはこの辺で。
どぞ。
ナイフに付着した緑色がかった青い体液を、ナイフを振るってピッと飛ばす(血振るいと呼ばれる行為である)。それから、むせ返るような血の匂いを振り切るように、俺はどこかへと歩きだした。未だに死体が転がっているこの場に、このまま留まっている気にはなれなかった。
歩きながら、考える。
先程の、一連の俺の動き。どう考えても、一朝一夕で身に付くようなものではないと思う。あの時考えるよりも先に身体が動いた……あれは、身体の奥深いところに染み付いた動き、そんな気がしてくる。そうだとするなら、俺のこの身体はそういった経験を積み重ねてきた……またはそうするための、つまり「相手を確実に効率よく殺す」ための訓練をしてきたという事であり。
ふつりと歩みを止め、何となく両の手を顔の高さまで持ち上げ、ぼうっと見つめる。
この手は、汚れていたのだろうか。俺が殺めた、誰かの血で。そう考えると、無性に訳も分からず叫びだしたくなる。
「俺は……俺はッ!」
呟く。沸き上がった吐き気を堪えるように、唇を噛み締める。気持ち悪い。
訳も分からずに叫びだしたくなる、いますぐどこかへと走り去りたくなる。何もかもを壊したくなる、誰かの胸の中で蹲って泣き喚きたくなる。
処理しきれない感情の奔流に、木枯らしに吹かれる木の葉のようにココロが千々に舞う。
訳の分からない気持ちのやり場に苛立ち、困り果てて見上げた空は、胸焼けを起こしそうなほどに混沌としていた。
†‡†
アリスの問いに人形たちは口々に応える。
「ごるふヲシヨウ」
赤い女王は高圧的に。
「知恵比ベヲ」
緑の賢者は水煙草を吹かして厳かに。
「誕生日ぱーてぃーダ!」
狂った帽子屋は笑いながら。
アリスを誘う。
「うーん、どれも楽しいけど今の気分じゃないわ」
アリスは眉をよせて拒絶する。
この部屋でアリスは主である。
絶対的君主である。
使えるべき王を、満足させることができぬならば、家臣に非ず。
最後に残るは死あるのみ。
「キシシ、キシシシシ。皆ハ馬鹿ダナァ。満足二主ヲ喜バスコトガ出来ナヰ」
突然猫が笑い出した。
「ソレナラオ前ハドウスルノダ?」
騎士の問いかけに、猫はバカにするように喉を鳴らして、口を開いた。
「人形遊ビハドウダヰ?可愛ヰ我ガ君主ヨ」