召喚
夜の都市。高いビルが数十件もたち、橋のように掛かる道路。数百メートルはある高い先端の尖ったオブジェクトやデパートなどから放たれる光が暗くなった空間を無理矢理明るく映し出す。
そんな空間がおよそ半径500メートルほど広がり、その先は崖のように欠落し、ひたすら暗黒が続いていた。
とある道路の一車線には車がいくつか並んでおり、信号は赤から青に変わった。しかし走り出す車はなかった。それどころか車の一つ一つには誰も乗っていなかった。歩道にも誰もおらず、電柱に立て掛かっていた誰かの持ち物であろう木彫りのT字型の杖がカランと乾いた音をたてて倒れた。
人はいないもののなお都市の雰囲気を出しているのは巨大なビルと光害と言われそうなほどの強い光の為であろう。
そんな都市の上空に丸い物体が浮かんでいた。その物体は都市からくる光をはねのけるほどの強い光を発していた。
〚神様選手権。選考会通過者。召喚準備。召喚まで10秒前〛
突然上空にある物体からアナウンスが聞こえた。喋っている声は低音の男性と高音の女性が同時に喋っているような感じで少し聞き取りづらい。
〚召喚まで5・4・3・2・1。召喚します。召喚された選考会通過者は競技開始の合図があるまでは召喚された場所より半径1メートル以上は動かないでください。〛
アナウンスでそう告げられると、道路のど真ん中、ビルの屋上やビルの中、電柱の上など、都市の様々なところで小さな光が発生した。
やがてその光は小さくなっていき、人間が現れた。
その後もアナウンスは「召喚された選考会通過者は半径1メートル以上動かないように」といったアナウンスが適当な時間をあけて流れていた。
全ての光が消え、全て同じように人間が現れると上空にある物体から再びアナウンスが聞こえてきた。
〚召喚された選考会通過者は競技開始の合図があるまでは召喚された場所より半径1メートル以上は動かないでください。・・・・それでは神様選手権第一競技『旗取り』についての説明をさせていただきます〛
ラグナロクでもニートでもよく召喚って言葉を使うんですが、昔から遊戯王が好きで「召喚」っていうとてつもなく厨二臭い、人生で使う要素がなさそうな単語に憧れを抱いているわけなのでございます。