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夢千夜  作者: 西野了
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十字架が屋根に建っているドーム状の建物が駐車場の目印

 職場の研修会に行くために広い駐車場に愛車のクラウンを止めた。その駐車場の地面は良質の土で水はけが良さそうだ。色も黄土色で明るく乾いている。僕が通っていた小学校のグラウンドの土と同じだ。この駐車場は初めて来たので、確認の目印はドーム状の建物の屋根に建っている白い十字架だ。

 僕たちは一番最後に研修場に入っていたので、一番最初に退場することになった。民主的な運営である。研修場の出口の所に3人ほど受付している職員がいて書類に修了印を押してくれる。その一人が安住アナだった。相変わらず愛想良く変なことを言っている。

 研修を終えて道路に出ると右折しようとしている小さな自動車が行先が分からずに停車している。後続の車が激しく急かしていて、止まっている自動車の老人運転手は困っている。後からその場所にいくと、案の定その老人の黄色い車はひっくり返っていて、後続の赤い車も大破している。

 僕は自分の車を見つけるために何ヶ所か駐車場を見て回ったが見つからない。何処も古くて汚い自動車ばかりが駐車していて、僕の白いクラウンは見つからない。僕のクラウンはサイドミラーに特徴があって、とても白くミラーまで白いのだ。僕はサイドミラーをあまり見たことがない。だがこの車を気に入っている。

 駐車場の管理事務所は汚くて不良少年のたまり場みたいだ。いろんな器具が雑然と並べられていて、これでは仕事がしにくいだろう。僕は彼らに駐車場のことを尋ねたが、奴らは薬物中毒みたいで要領を得ない返事ばかりで埒が明かない。一人の少年が十字架の見える駐車場を教えてくれて、そこに行くと僕の愛車があった。

 研修を終えた同僚たちは今から焼き肉を食べ行くらしい。若い後輩ばかりなので、僕は餞別にしわだらけの五千円札を中村君に渡した。「あざっス」中村君はお礼を言い不思議そうな顔をした。焼き肉を食べに行くのは4人だけなので四千円でいいみたいだが、僕はあえて五千円を渡したのだ。「先輩、太っ腹ッスねぇ」中村君は僕を尊敬しているのだ。僕はクラウンを運転して長い橋を渡り帰宅した。

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