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おにぎり屋ふくふく

おにぎり屋ふくふく|ミケのすきなもの

作者: 絵宮 芳緒
掲載日:2026/04/04

朝のふくふくは、いつもいいにおいです。


ふくさんが、おにぎりを握っています。

ふわり、ふわりと立ちのぼる湯気。

その横で――


「じー……」


ミケが見つめていました。


「ミケ、また見てるのかい?」


ふくさんが笑います。


「だって、タラコのタイミングがあるのよ」


ミケは真剣です。

まぐろがくすっと笑います。


「タイミングってなにさ」


「いい?タラコはね、ちょっとだけ火が通ったくらいが一番なの」


ミケはえらそうに言いました。

トラが首をかしげます。


「全部うまいよ?」


「それじゃだめなの!」


ミケはぴしっと言います。

シロはくすくす。


「ミケは、こだわり屋さんね」


そのとき、お客さんが来ました。


「すみません……元気が出るやつ、ありますか」


少しだけ、疲れた声でした。

ふくさんはやさしく言います。


「あるよ。今日はどんな元気がほしいんだい?」


「……ほっとするやつがいいです」


ふくさんは、うなずきました。

そして――

タラコのおにぎりを、ひとつ。


「これ、ミケのおすすめだよ」


ミケは、ぴんと背筋を伸ばします。


「まかせて」


そう言って、おにぎりをそっと差し出しました。

お客さんは、少し驚いた顔をして、

でもすぐに笑います。


「ありがとう」


ひとくち、ぱくり。


「……おいしい」


その声は、さっきより少しやわらかくなっていました。

ミケは、満足そうにしっぽを揺らします。


「でしょ?」


その日、ミケはずっとごきげんでした。

ふくさんは、そっとつぶやきます。


「すきなものって、不思議だねぇ」


ミケは言いました。


「すきなものは、ちゃんと元気になるの」


その日、たしかに元気がひとつ、増えました。

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