アイアンキングゴーレムとの激しい一幕ですわ!
扉の向こうで待ち構えていたのは、ここまで出会ったストーンゴーレム達とは一線を画す巨躯。
五メートルはあろうかという全身を、薄暗く輝く漆黒な素材で構成された鋼鉄の王者・アイアンキングゴーレム。
存在だけで常人なら体が竦みそうな威圧感を放つ怪物は、華奢なお嬢様(自称)に向かって、地響きと共にゆったりと歩み寄ってきました。
:デカすぎんだろ……
:これ、絶対に物理耐性MAXのやつじゃん!?
:メイカちゃん、さすがにこれは魔力纏わせないと無理だって!
:物理(物理)で挑むのか……?
「あら、失礼ですわよ。少々身体が硬すぎるのが玉に瑕ですけれど素敵な殿方じゃありませんか。これは本当に、しばき甲斐がありそうですわ!」
冷気が立ち込める部屋の中、私は優雅なステップで間合いを詰めます。
先手は敢えてお相手に譲ってみたのですが、彼から放たれたのは城門すら破壊できそうな強力な一撃。それを紙一重、舞う様に回避すると、風圧で私の縦ロールが激しく揺れました。
「ふふふ、流石はこのダンジョンの主人様。素敵な一撃ですわ。それなら、わたくしもお返事しないと失礼ですわよね!」
回避した時の回転を利用して死角に回ると同時に、勢いをつけた拳で、5メートルを超える怪物のふくらはぎを全力で殴る。
ドォォォォォォォン!!
金属音が響き渡り、ボスの巨体が後ろへ倒れ込みます。そんな衝撃的な光景の中で、ドローンカメラは殴った辺りに拳型の痕がしっかりと残っているのを映していた。
:待て待て待て!今の音は絶対おかしいって!?
:巨体を倒し、鋼鉄を素手で凹ませるお嬢様がいてたまるかwww
リリー・サレナ:メイカお姉様、カッコいい……!
:盲目すぎて草
:憧れは理解からもっとも遠いからね。仕方ないね。
「あらあら、わたくしの可愛いお手手の跡が残ってしまいましたわ。せっかくですし記念に持ち帰れないかしら」
グォォォォォォ!!!!
何気なくこぼした一言に激怒したのか、怒りに任せて鉄柱の様な腕をブンブンと振り回して来る。私はそれを時には潜り込み、あるいはビンタで軌道を逸らしつつ、あらゆる箇所の拳を放ち、ダメージを重ねていく。
凄まじい破壊音が鳴り響き、一撃ごとに、ボスの身体にはヒビが入り、装甲が剥がれ落ちていく。
「名残惜しいですけど、そろそろフィナーレですわね。これより決めに掛かりますので、リスナーの皆さま、瞬きは禁止ですわよ!」
フィニッシュ宣言と共に、この日初めて魔力を腕に流し込む。すると両腕のナックルダスターが変形し、拳から肘の辺りまで覆っていく。
グッ、グォォォォォォ!!
その姿に危機感を覚えたのか、ボロボロと破片を撒き散らせながら、アイアンキングゴーレムは体を丸めて突進してきた。
「これが貴方の奥の手ですのね。いいでしょうかお相手致しましょう。ですから貴方もわたくしの全力、受け止めてくださいな」
自分の数十倍の質量で向かってくる鋼鉄の塊相手に、ニヤリと笑うと、右拳を引き絞り、全体重を乗せたストレートを一閃。それは巨大な体を突き破り、ボスの核がある胸部中央部分まで装甲ごと貫通。背後まで突き抜けた衝撃波が、部屋の壁にまで亀裂を走らせました。
「ふぅ……。少々、はしたない姿をお見せしましたわね」
砕け散り、光の塵となって消えていくボスの残骸を背に、私は乱れた髪を指先で整え、再びカメラに向かってニッコリと微笑みました。
「でも、これでダンスは終了ですわ。皆さま、本日の一幕はいかがでしたかしら?」
:うおおおおおおおおおおお!!!
:やべえええええ!これがS級冒険者のチカラなのか!?
:メイカちゃん最強!メイカちゃん最強!!
リリー・サレナ:はふぅ……メイカお姉様……素敵です!
エレナ:おめでとう、メイカちゃん。今日も凄かったよ!
興奮冷めやらぬコメント欄の激流を眺めながら、私は入室時と同じくちょこんとカーテシーを行い、ボス戦を終わらせたのでした。
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