玉石混合の中に在る一つの運命ですわ!
講座一覧のページに辿り着き、どれにしようか吟味すること10分。その短い時間で、私とリスナーは途方に暮れていた。
「マナー講座だけでも、沢山ありますのね……」
:社会人から子供まで、シチュによって需要が無限に出てくるしね〜
:インターン講座……うっ頭が!
:だれかトラウマ発症してるなw
就活やビジネスなどの学生向けから始まり、食事や冠婚葬祭などの一般的なもの。それに加えて聞いたことのない怪しいものまで、マナー関連の項目だけでも50以上の講座がリストアップされている。
:というかダンジョンにもマナーってあるんだな。
:そんなんあるの!?by A級冒険者
:A級でも知らないマナーに価値はあるのか?(哲学)
「S級の立場で言わせていただきますが、最初の講習をキチッと守ってれば問題はないと思いますわ」
ノンマナーA:だよね!?
:草 早速リスナーネームに使ってるじゃんw
:この判断の速さが上にいく秘密なのか?
エレナ:それより今の講座は詐欺疑惑のグループとして密かにギルドがマークしてるので、みんなは注意して下さいね。
:……それ表に出して良い情報なの?
エレナ:あっ!?
エレナさんが墓穴を掘っている間、私は気にせず探し続ける。
「これは無し。これも違います。これは……一応キープで。う〜、9割以上関係ないものばかり!世間の皆さまはお嬢様になりたくないのですか!?」
:まあ……いないよね?
:年取ると現実見ちゃうもんね……。
:お嬢様になれる講座なら俺の受けてみたいけどなぁ(47歳男)
:色々と無理すぎwwwwww
:お嬢様は女の子だけの特権じゃねぇんだぜ!!
「お、応援してますわ……コホン。と、とりあえずテーブルマナーで良さそうな講座はキープ出来ましたわ。次はスキル系を探してみましょうか」
少々キツいコメントを見た私は、空気を変える為に次へと進む。
:お題 お嬢様っぽい講座
:やっぱり社交界でのダンスでしょ!
:乗馬もいいな
:美術やオペラ鑑賞とかどう?
「わぁ!どれもお嬢様っぽいですわね!オペラ……あのよく分からない双眼鏡持って鑑賞してみたいですわ」
:双眼鏡www
:オペラグラスなw
「うぐっ。咄嗟に出てこなかっただけで、笑わないでくださいまし!それよりエレナさんやゼロ様はアイデアあります?」
エレナ:ワイン検定とかは?私も練習に付き合えるし
:メイカちゃん未成年だぞw
:というか手伝ってる風でコメントしてるけど、ただのタカリじゃねえかwww
エレナ:!?
またしても失言をしてしまい、イジられるエレナさん。その様子にため息をついていると、ゼロ様から面白そうな提案が飛び出てきた。
ゼロの観測者:『お嬢様』ってキャラを目指すなら、イメージコンサルタントとかどうだ?
:何それ?初めて聞いたけど。
:確か目的に合わせて、服やメイクなどの診断や内面や行動まで色々とアドバイスしてくれる仕事だっけ?
:怪しい業者も多いが、腕のいい会社なら親身になって助言してくれるぞ。
「面白そうですわね!これならお嬢様というキャラを身に付ける事が出来そうですわ」
早速『イメージコンサルタント』を入力して検索し、1つずつ真剣な面持ちで眺めていく。
:世の中知らない職業もあるんだね〜。
:これの講座で必要って名目で、ドレスや装飾品を教材扱いで買えないかな?
ゼロの観測者:どうだろう?その辺は専門外だしわからんな。
:とりあえず最大手を選んどけば?経費やDPの範囲とか知識持ってそう。
:メイカちゃんS級だし、顧問弁護士をベタ付けして相談に乗ってくれるかもねw
:ああ、広告塔扱いか。
「ふむふむ。確かに大手なら色々と便宜を図ってくれそうですわね……では、この会社にしましょうか」
人生経験の少なさから、正直どれが目的に沿ってるのか見極められないので、コメントのアドバイス通りに会社をキープ。
:あっ、20時すぎたし、新しい講座増えてるかもよ
エレナ:確かにこのサイトって1時間ごとの更新ですね。
:更新しても、今以上のとこは出なさそうだけどな。
「ちょうど良いタイミングですし、念のため最後に更新しましょうか」
……この何気ない思い付きが、私の運命を変えたのでしょう。何の気なしに更新ボタンを押した直後、その講座が私の目に飛び込んできた。
【お嬢様講座】
「えっえっえっ!?!?なんですの、この講座は!お嬢様?お嬢様の講座なのですの?」
:怪しすぎて草
:タイミング的にメイカちゃん狙われてね?
:おい、さっきのお嬢様志望のおっさん。応募してみろよwww
ゼロの観測者:……ざっと見たかんじだが、会場を含め記載されてる情報は本物っぽいな。ただ受講料が応相談なのは気になるが……。
:まあ、狙い撃ちの場合、犯人がメン限リスナーだし、すぐ絞り込めるでしょ
「詐欺とか狙い撃ちとかど〜でもいいですわ!望んでいた物が今目の前にあるんです!それに飛びつかないとか、ありえね〜んですわ!!」
賛否両論なコメント欄を無視した私は、申し込みのボタンを全力で押したのでした。
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【ある豪邸視点】
『小雪様、【お嬢様講座】に受講を希望する方が現れました』
「本当ですか!?今まで募集するたびに、あの人達に1時間で取り下げられてましたのに……。あぁ、最後の最後、首の皮一枚繋がりました」
『油断は禁物です。あの胡散臭い講座に参加されたのです。どんな癖のある人物か分かりませんよ』
「胡散臭い!?そんな事を考えてたのセレナ!」
従者からの容赦のない発言に少し傷付く。それでも、暗闇から抜け出すための蜘蛛の糸が目の前に現れたんです。
私は少しの不安と微かな希望を胸に、受講希望者の方に招待メールを送るのでした。
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