最終章 悪役令嬢のふりが最高の幸せを運んだ
それからさらに数年後。
私は王立学院の先生となり、子どもたちに「優しさと正直の力」を教えていた。
「先生、もし悪役令嬢になっちゃったら、どうすればいいですか?」
私はにっこりと優しく笑って応える。
「そしたら素直な気持ちを出して、優しくすればいいよ。だって悪役令嬢のふりなんて、きっと誰も完璧にはできないんだから。でもその『失敗』が、誰かの救いになるかもしれない」
生徒たちは目を輝かせた。
そして、その夜。
王宮の庭で、ルルカとフレデリク王太子の結婚式が執り行われた。
私は花嫁の介添えとして、手を取る。
「ルルカさん、幸せになってね」
「マルガリータ様こそ、これからもあなたのままでいてください。世界にもう一人の『失敗した悪役令嬢』が現れるように」
私は空を仰いだ。
「……悪役令嬢を演じるのが下手なマルガリータ・デル・ヴァイド……でも、それって、悪くないよね」
吹き込んできた風が、私のドレスを靡かせる。
そして遠くから、誰かが言った。
「大変ですマルガリータ様! アレルギー対応のウェディングケーキを焼きすぎてしまいました!」
「ええっ!?」
私は慌てて走り出す。
──悪役令嬢のふりは、完全に失敗した。
でもそれこそが、最高の運命だった。
THE END