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CIPHER N0X : NIMERAX  作者: Thya Ngo
1/1

第1話:闇からの帰還

ベトナムの作家 **Thya Ngo** による、映画的なスタイルのグラフィックノベル。


記憶が書き換えられる未来。ある少女がソウルで目を覚ます。記憶はなく、残されたのは皮膚の下で微かに光る謎のバイオ信号だけ。


彼女の名前は「ヘリン」。

でも彼女は本当に人間なのか?それとも、自我を求めて彷徨うコードなのか?


『CIPHER-N0X: NEMIRAX』は、自己とは何かを問い、神経操作と自由意志の崩壊を描くSFスリラーです。


本作品は **ベトナム語、日本語、英語、ドイツ語** の4言語で執筆されています。



ご覧いただきありがとうございます!


この物語『CIPHER N0X : NIMERAX』は、失われた記憶と機械の謎が交差するSFアクションです。


物語の世界に、少しでも惹かれていただけたら嬉しいです。


※本作品の無断転載・AI学習・商用利用・加工等を一切禁止します。

Copyright © Thya Ngo. All rights reserved.


HAE-RINナレーション


時々、私はある名前の夢を見る。

今、皆が呼ぶその名前じゃない。

もっと……奇妙な名前。


それが本当の記憶か、

誰かが私の頭に植え付けたデータの欠片なのか、

私には分からない。


目を覚ましたとき、私は自分が誰かさえ分からなかった。

気づけば韓国の、空っぽな部屋にいて——

一人の見知らぬ女性が、

まるで一生待っていたかのように私を見つめていた。


───


(微かなフラッシュバック)


温かな手が、額にこびりついた血を優しく拭ってくれる。

穏やかな低い声が耳元に届いた。


「私が誰か分からなくてもいい。

 君が生きていてくれれば、それだけで十分だ。」


私は何も聞かなかった。

どこから聞けばいいのか、

それすら分からなかったから。


私の名前は?

私は何者?

なぜ私は生きているの?


───


HAE-RINナレーション


その女性の名前はルー。

彼女は言った。私の名前は“ヘリン”。


—— きれいな名前、そして空白のファイル。


私はソウル郊外の小さな家で、

彼女とほぼ二年間暮らした。


ルーは私に作業技術や、プログラミング、修理を教えてくれた。

けれど、私は最初から知っているかのように、

全てが自然にできた。


まるで身体が、

すでにそれらを記憶しているように——


───


(ルーが笑って、小さなハンダセットを私の手に押し込む)


「手が覚えてるでしょ。

 余計なことは考えず、前と同じようにやればいい。」


───


そしてある日、ルーは消えた。


地下駅での爆破事件。

遺体は見つからなかった。


私のポケットに残されたのは、

手書きの地図と震える文字だけだった。


「オメガ基地・最下層。戻るな。」


その日から、私は独りで生きた。


───


(ソウルの夜。黒いフーディーを着た少女が、細い路地を歩く。

 雨が静かに降る。左手首の星のタトゥーが、街灯の光で微かに光る)


(場面転換:修理屋。

 暖色のライトの下、分解されたドローン。

 ヘリンが身をかがめて、生体センサーを再接続している)


───


HAE-RINつぶやき


三件の失踪。

同じ信号パターン。


だけど……変だ。

今まで見たどれとも違う。

—— 少なくとも、私の記憶では。


(スクリーンに「Z-Level バイオシグネチャー – 不安定」と表示)


───


HAE-RINナレーション


“Zレベル”?

聞き覚えはない。

でも信号が現れた瞬間、


私の指は勝手に解析コードを打ち込んでいた。

目はエラーを走査し、

口元からはコードネームが自然に漏れた。


考えなくても。努力しなくても。


身体が覚えていた。


───


(ヘリンが立ち上がり、ジャケットを羽織る。

 ツールをポケットに入れ、そっと左手首のタトゥーに触れる)


───


HAE-RINナレーション


私はまだ、自分が誰なのか分からない。


今の名前が本物の記憶なのか——

あるいは、目覚めかけた何かの呼び声なのか。


だとしても、それがかつて私のものであったなら。

私はその理由を知らなければならない。


そしてそれが、再び目覚めようとしているのなら——


終わらせるのは、私だ。


本作品「CIPHER N0X : NIMERAX」の著作権は作者

Thya Ngo に帰属します。無断転載・AI学習・商用利用・加工等を一切禁止します。

Copyright © Thya Ngo. All rights reserved.

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


この物語を楽しんでいただけたなら、とても嬉しいです。


もし気に入っていただけたら、ブックマークやご感想をぜひお寄せください。


今後も『CIPHER-N0X:NEMIRAX』の世界を一緒に歩んでいきましょう。


多言語版や設定資料は、下記のブログにて公開中です:


https://thyangostories.wordpress.com


本作品は著作権で保護されています。

※無断転載・AI学習・商用利用・改変などを固く禁じます。


Copyright © Thya Ngo. All rights reserved.

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