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キラーズ  作者: 光坂 影介
世界渡りの覇王 第一章 世界のクリエイター
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世界渡りの覇王 第一章 世界のクリエイター3

方針が決まってきたところで部室のドアが勢いよく開く。

 ドアを開いたのは先生だった。

「無事か!? 一琉(いちる)二乃部(にのべ)(つき)(しろ)()(むら)!」

「どうしたんですか? 先生? 落ち着いてください。みんな無事ですよ」

 俺が答えると先生はほっとした表情を浮かべた。

 息を整え、先生が口を開く。

六堂(りくどう)(きずな)がお前達に会おうと、この近くに来ているらしい。気を付けろ!」

「……っ、六堂絆が!?」

「でも、ルールがあるから大丈夫じゃないかな? そんないきなり襲ってきたりなんかは……」

「あっ、そうだよね……。そうだ……」

 (ひかり)ちゃんの指摘にみんなが少し落ち着く。

 落ち着いたところで先生が話題を変える。

「おっと、ところで、そろそろ下校時間だ。帰るように……。一琉だけ帰る方向が違うから、少し心配だが一琉なら大丈夫だろう」

「先生、それは無責任ですよ!」

 そう言って、光ちゃんが心配してくれるのが嬉しかった。

 そう言いながらも、みんなそう思ってくれているみたいで、正門に向かう。

「大丈夫だよ。ルールのおかげで殺し屋に不意打ちされることはないだろうし、それ以外の危険なら殺し屋の力が使える俺なら逆に手加減しなくてはいけないくらいだよ。

本当は光ちゃんを送りたいくらいだよ」

「それなら、俺達に任せろ、(えい)()

 義之(よしゆき)は嬉しそうに言う。

 実は義之も光ちゃんのことが好きなのだ。

 やばい、心配になってきた。

「先生、俺よりも光ちゃんを送ってあげてください。危険があります。主に義之とか。相手は殺し屋ですし」

「影治、冗談言うな。俺もいるから大丈夫だよ」

 そうか、清二(せいじ)がいた。

 清二がいるなら安心だ。

「清二がいるなら安心だ」

「おい、それはどういう意味だよ。さっきのも俺が犯罪者の殺し屋みたいなニュアンスで言っただろ!」

「あれ? すまない。口に出してたか? 犯罪者」

「影治、お前なあ!」

「ぷ、あはは、ははは」

 光ちゃんの笑い声でみんなが笑顔になる。

「あはは、はは、大丈夫だよ。(えい)()くん、私が好きなのはあなただけだから」

「そう? ありがとう。(ひかり)ちゃん」

「はあ、まあ、今日はいいか。影治、またな!」

「ああ、義之(よしゆき)清二(せいじ)もまたね。光ちゃんをお願い。義之みたいな犯罪者に気をつけて」

「……」

「もう言い返す気力もないか? 義之」

「清二まで言うなよな」

一琉(いちる)も気を付けるように」

 先生の一言を最後に俺達はそれぞれ自転車で帰り道に走っていった。


            ###


「一琉影治だな?」

 家に向かう帰り道の途中で人が話しかけてくる。

 俺は自転車を止め、相手をよく見る。

「誰だ?」

六堂(りくどう)(きずな)というものだ」

「……っ、六堂絆! 本当に、俺の前に現れたか!」

「まあ、落ち着け。戦いに来たわけではない。話をしに来たんだ。本当はまだ明るいうちに話したかったが、暗くなってしまった。明日にでも、また会わないか?」

 ダニエルくん達をあんな風にしておいてこいつは!

 俺は怒りでいっぱいだった。

「俺から話すことは一つだ。ダニエルくん達を元に戻せ! それだけだ」

「ダニエル(、、、、)くんか……。まあいい。だが、それは試合で勝ってからにしてもらおうか?」

「なら、話すことはない」

 俺はそう言って、自転車を走らせようとする。

「『想いぶつかる時』、少しおかしいと思わないか? 発表があったのに詳しい対戦形式がないままなんて。それに二乃部光(にのべひかり)はどうやって愛情を思い出したと思う?」

「何?」

 俺は自分も思っていた疑問を指摘されペダルをふもうとした足を止める。

 考えてみれば、せっかく、相手が目の前にいるんだ。

 もう少し情報収集をしてもいいかもしれない。

「全く……、よく考えたよな。願いを叶える大会なんて餌を出され、条件に卑怯なまねをするなか?

 手段を選ぶつもりはなかったが願いを叶えるなんて喉から手が出る程の条件を出されたら食いつくしかない」

「どういうことだ」

「この世界はな、神様によって作られた世界じゃない。

 お前が――いや、本来のお前が書いた小説の中の世界だ」

「……っ、はっ、何を」

 俺は必死に誤魔化そうとしていたが驚いていた。

 なぜか、それが本当のことのように思えたのだ。

 なにより、ここで六堂(りくどう)(きずな)が嘘を言うメリットが浮かんでこない。

 いや、いくつもあるのだろうが、浮かんでこないのだ。

「明日、このメモの場所に来い。詳しい話をしてやる」

 六堂絆はそう言ってメモの紙を渡してきた。



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