救われた世界と世界愛の具現 第五章 世界の剣の作る道3
殺し屋のいないリンクした世界の影治は、相棒のイラストレーターであるその世界の光と共に小説を書いていた。
影治は武力ではなく、人の考えを変えるという難しいことこそが世界を救うと信じていた。
武力で人をねじ伏せ、おさえつけても、人の心までは変えられない。
だが、それを起こす原因を相手が納得するまで、とことん考え、意見を伝え合い、相手の心を変える。
そして、誰もが納得する答えを得る。
誰もが最善だと思う環境にする。
最善が違うなら、どう違うのかを考え、意見を伝え合い、論理的に答えを得る。
いや、少しわかりづらいか?
誰もが正しいと思う最善を得る。
たとえ、それが誰かにとって最善でも他の人にとっては、それは最善ではないかもしれない。
しかし、それも正しい処遇、一切理不尽のない処遇なら人は納得するだろう?
いや、納得できなくても、それを変えようとすれば、他の全てを敵に回す。
だが、影治はそういう人さえも救おうとしていた。
そこで、相手の状況を変えたい理由を引き出し、それを叶えるための方法を相手に教え、その相手にも正しい形での願いの成就を果たさせる。
つまり、結局、そういう人の心までも変えるのだ。
武力ではなく心で、おさえつけるのではなく変える。
そういういずれ必要になる考え方を伝える小説を間に合ってくれと祈りながら、ひたすら書いた。
世界渡りの覇王が数々の世界を渡り、疲弊したこと、そして、ある世界が彼の意識を別のモノに変えようとしていた。
そのせいで、その世界での本来の世界渡りの覇王は大切な人を奪われ、絶望し、死すら選ぼうとした。
だが、彼はある一人の歌姫に救われた。
彼はその歌姫の隣に立とうと必死に生きようとしだした。
そのおかげで、世界渡りの覇王は意識を割り込まれ許可を出された後に我には帰れた。
そこで彼が次に打った手は、この世界での二乃部光が歌姫の意識に繋がろうとも、この世界を救う手をーー彼の手を離れることのできる病的ではない方の世界剣を託すことだった。




