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キラーズ  作者: 光坂 影介
世界渡りの覇王 第一章 世界のクリエイター
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世界渡りの覇王 第一章 世界のクリエイター2

その後、俺は落ち着いて考えたおかげで、解決の糸口が少し見えてきていた。

 学校の部室で同好会のメンバーに話をしていた。

六堂(りくどう)(きずな)はスナイパーという情報が入ってきているだろう?

 なら、接近戦に弱いんじゃないか?

 だから、なんとか接近戦に持ち込めば……」

 そう、六堂絆はスナイパーだ。

 ダニエルくんやラインさんがやられたのも、遠くから不意に狙撃されたからだと聞いている。

 そうでなければ、あの二人が簡単にやられるわけがない。

 ちなみにダニエルくん達がやられた時は、まだ『想いぶつかる時』が発表すらされていなかったから六堂絆の行動は影響しないと考えられているのだろう。

 案外、それがあったから、この大会みたいなものに卑怯な行動を禁止するなんて当たり前のルールが付けられたのかもしれない。

 そういえば、これには具体的な対戦の組み方が発表されていない。

 だから、今は政府の試合しかしていない。

 そのうち、発表があるのか。または政府の試合で勝敗を判断するのか。そのへんは謎だ。

「接近戦になんて持ち込めるのか?

 相手に気付かれないうちに遠距離から仕留めるのがスナイパーじゃないのか?」

 清二(せいじ)がもっともな意見を言う。

 だが、それは俺も考えていた。

「ダニエルくん達の時とは状況が違うんだ。試合なんだから平等の状態から始まるはずだ。

お互いに相手の位置がわかる状態からか、もし、位置がわからない状態からなら、相手からもこっちの位置がわからないんだから先に見つければいい」

「見落としてるぞ、影治。相手の位置がわかる状態からなら、相手の銃撃をどう避ける?

 スナイパーなら位置がバレた時点でアウト。つまり最初から結果は出ているんじゃないのか?」

「最初から諦めすぎだよ。義之。

相手の位置がわかる状態からなら相手が銃を向ける動作も見える。致命傷を受けない程度に避ければいい。

まあ、何か銃撃を防ぐ壁のような物があればなおいいのだけれど……」

そう、殺し屋による身体能力の上昇はすさまじく、銃撃をよけるなんてことも可能な程だ。

 俺と義之の意見に(ひかり)ちゃんが口を開く。

「壁のような物があると相手が見えなくなるよね?

 防御する物を用意するならその奥も把握できるように人を配置しないとだね?

 そうだ。私が氷の壁を――って、凍らせるモノがないか」

「ああ、そうだね。

 さすが光ちゃん。なにか凍らせるモノがあればそれも可能だね」

「おい、影治。俺の時と扱いが違わないか?」

「いいんだよ。光ちゃんは対策まで考えてくれているから」

「えっ、それだけ……なの?」

 光ちゃんが何か言って欲しそうにこっちを見る。

 やばい、かわいい。

「おい!」

 義之が俺達を現実に戻す。

「と、とにかく、今のは義之と違って、無理だって投げ出してないだろう? そういう気持ちがあれば、義之だって良い案が出せるさ」


 光ちゃんが特別だからと言いそうになったのは内緒だ。

「待てよ。なら、もう一人の方はどうする?

 他の人が相手をするのか? 何人必要なんだ? その作戦?

 いや、まっすぐ向かって行く人が一人と、その左右からまっすぐ向かう人のサポートに二人、他の敵の相手に一人か? ギリギリだな?」

「いや、一度に何人も撃てやしないだろうから、離れた位置に味方を配置して、誰かが接近戦に持ち込めばいいんじゃないか?」

 義之の意見に清二が補足する。

 

            ###


(きずな)、あの連中との試合、意外と早く決まっちゃったね?」

「仕方ないさ。そういうシナリオだったんだろう? これで俺も目的に向けてすぐに動き出せる」

「目的ねえ? でも、準備の時間くらいあるから、対戦に向けて、策を練ってるかもしれないよ? 向こうは意外と人数いるし……」

「そうなんだよな……。恐らく俺の銃擊を防ぎつつ近づいて接近戦に持ち込むつもりなんだろうが……」

 絆は少し考え、口を開く。

「こちらには友子(ともこ)もいるから、接近戦に持ち込まれそうになっても問題はない。

 そもそも、向こうは友子の対策についてほとんど考えられない(、、、、、、)だろうしな。

 他には向こうには氷を操るヤツがいたな……。

 あれは少し厄介だが、それをなんとかするには……。

 少し、あちらに用事を与えて、その間にこっちに有利になるように動くか……」

「用事…・・・ってことは一琉(いちる)(えい)()にあれを話すのかい? 本当に動くんだね?

 ……一琉影治がこちらの思い通りに動かない可能性は?」

「アイツはお人好しだから、こちらの予想通りに動くだろう?

 なにせ、ダニエル達を助けるために、こんな状況にしたヤツらだ」

友子の質問に絆は即答する。

 それはある意味で信頼だった。

「そうだね。……ねえ、絆。絆はこんな風に力を使ってよかったのかと思うことはないかい? 絆が力を与えられるのを嫌がっていた理由の通りのことが起こっていないかい?」

「俺が間違っていると?」

「そうは言わない……ううん、その可能性も考えているよ。ある意味、私達のわがままで世界を振り回している」

「アイツも世界を振り回している。それが上手くいけば、俺達の目的もその時に達成できたんだがな。そういう意味では思い通りにいかない可能性もあるか……」

 絆も間違っているかもしれないことは否定しない。

 それを察した友子は絆を励ます。

「あれは、予想外だったから、そう仕向けられなかっただろう? 次は上手くいくさ」

「ああ、そう願いたいな」

「ねえ、この愛は悪かな?」

「愛自体に悪なんてないさ。それに手段はともかく俺達の目的は悪であるはずがない。

ある意味、俺達の願いは


世界平和だ」



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