世界渡りの覇王 第五章 果てなき想いの答え3
「影治!
なんでこんなこと! ふざけるなよ!
お前は二乃部さんが好きなんだろう!?
それなのにこんなこと!」
「「……」」
義之の言葉にラインさんと五橋さんが何も言わず、考える。
その間に俺が口を開く。
「きっと好きだからこそだよ。義之。
好きだから、好きな人に止めに来られないようにこんなことをしたんだ」
「それでもだ。好きなら!
たとえ間違えるにしても一緒に間違えろよ!
こんなところに一人で置いていくな!
お互いのことが好きな二人なら、いつも気持ちは一つにしていろよ!
それは、二乃部さんに好かれてない俺にはできないんだから!」
「義之……」
義之の言葉に五橋さんが口を開く。
「なら合格なんじゃない?」
「えっ?」
五橋さんから予想外の言葉がでる。
義之も俺もその言葉の意味がわからない。
「影治くんは本当は、自分が間違っていた時のために止めに来れる方法を残しているんだと思うよ。そして、それができるかを試した」
「どういうこと?」
今度は俺が尋ねる。
五橋さんは言いづらそうに言う。
「そう……だね。本当は火村くんが気付かないといけないんだろうけど……。
ここに私がいるのも意味があるのかもね。
叶わない(イデアキャン)理想と歪んだ(ワープ)真実」
「あっ、そうか、たしか前に影治に言った」
「そう、一時的になら止めに行ける。
それさえ嫌なら、月城くんと火村くんも意識不明にしているはず。
それに、一気に他の殺し屋を挑発するのも、少しでも早く事を終わらせて、光ちゃんの世界との絆を元に戻すためなんだと思う。
止めに来ても来なくても、早く目を覚ましてもらうために」
その言葉にラインさんが補足する。
その言葉は俺達の大前提を揺るがすモノだった。
「一つ、補足♪ 影治くんは本当に間違っているのかな?
殺し屋の戦いを早く終わらせようとしているだけじゃない?
それに六堂絆に協力しているのだって、六堂絆の願いを知らないのなら、私達に間違っているって言う資格はないんじゃない?」
「そうだね。私には絆の願いが間違っているとは思えない」
弓先さんの口から出る言葉に俺達は言い返せない。
けれど、その弓先さん自身が、それに対する反論を言う。
「だけどね?
私達が光ちゃんを目覚めさせないと手が出せないようにしたってことは『本当は自分が間違っているかも』って思っているってことでしょ?
だからね、光ちゃんを一時的にでも起こそう?
そうしてから、私が絆の願いを教えるよ。私が絆の願いに込められた想いの全てを知っているとは限らないけど……」
「「わかった。そうしよう」」
俺と義之は殺し屋を呼び、異能の技を使う。
「「叶わない理想」」
「「歪んだ真実」」
俺達が使った異能の技で二乃部さんが目を覚ます。
「う、うん、ここは? あれ、私、公園にいたはず……」
「「「「「二乃部さん(光ちゃん)!」」」」」
「よかった。成功した」
「って、のんびりしていられないよ。絆の願いを聞いて! の前に、光ちゃんに今の状況の説明だね?」
俺達は今の状況を話した。
「そっか、影治くん。六堂絆に味方しちゃったか……。影治くん、優しいもんね。
敗者にまで情けみたいな感情だと知りつつも、悲願に味方しちゃうなんてね。
私、なんて人を好きになってしまったんだろう。
でも、私は好きだな。影治くんのそういうところ、勝者としては間違っているかもしれない。
けれど、世界の願いを聞き入れる存在としては間違っていないと思う。」
「うん、それでね。
絆の願いは世界の統合。
人々が忘れたくないこと、殺し屋の力以外の残したいことだけを残して、この世界を元の世界と統合して、殺し屋の力っていう危ない力のない世界をもう一度作る。
それが絆の願い。絆の――一琉くんが協力している願いは教えた。あなたはどうする? 光ちゃん?」
「私の願いは決まっているよ。
願いというか、私の答えかな。私はね。
それを世界に選ばせる。
六堂絆の――影治くんの考えを勝手に実行して、自分の考えをみんなに押し付けるなんて間違っている。それを世界が望むかを世界に選ばせる。
殺し屋の願いを叶える機構としての決着。
それは、これが正しいと思う。
だから、みんな、みんなもそう思うなら、私についてきて」
「ああ、行くよ」
「私も行くよ♪」
「私も」
「愛が行くなら私が行かないわけがないよ」
「俺は行きたいけど、役に立てないと思うから、残るよ。実は二乃部さんの意識を保つために異能の技を使っているのが思ったよりきつくて……」
俺、ラインさん、五橋さん、弓先さんがついて行くことになった。
「じゃあ、行こう! 今度は影治くんの目を覚まさせに!」




