世界渡りの覇王 第三章 二魂剣7
五橋さんが倒されたが、弓先さんは凍ったし、六堂絆は狙撃銃を凍らされた。
あとは、七瀬友子を倒せばいい。そう思い、相手に話しかける。
「もう、俺達の勝ちだ。諦めろ!」
「何を言っているんだい? 絆は凍っていない。銃は私と戦っている間に氷から取り出せばいいことだからね。それによく見たらどうだい?」
俺は光ちゃんの方をよく見る。
「光ちゃん!」
光ちゃんは倒れていた。
銃弾も矢も当たってないみたいだから力を使い過ぎたのだろう?
「それどころか、あなたは剣の腕では私に劣るだろう? 距離を詰めたのが間違いだったね」
「「なるほどな。確かにこのままじゃ勝てないかもしれない。だが、知らないのか? 俺が召喚した神器を……。神器形成は一つの魂に対して一つの武器を作る。そう、一つ(、、)の魂に対してだ」」
俺は最初に神器形成したときにこう唱えたのだ。
「「我、心の光をもって、心の影を殺す! 我が想いに応え力よ、形を成せ! その形は双(、)剣、全てを切り裂き呼び込む断罪と儀式の形! その名は双焔火! 神器形成、双(、)焔火!」」
隠していた双剣のもう片方を取り出し、切りつける。
「それでも、剣の腕の差は覆せないはず!」
「「普通なら、覆せないかもしれないな! だが――
俺達は二人なんだよ!」」
「本来の一琉影治と」
「殺し屋の世界の一琉影治」
「「これが世界が分離したからこそ起こりうる二魂剣、ダブルスピリチュアルソードだ!」」
左の腕を本来の一琉影治が、右の腕を殺し屋の世界の一琉影治が動かし、それでも繋がっているから動きも統率されている。
それぞれが独立した動きをしていて、さらに連携までとれる。
本来なら、二つの腕で別々の動きをすること自体難しい。
けれど、それを可能にし、一本の剣が防がれている間に、もう一本の剣が空いているところを切りつけ、相手が防御を解いて、その剣の防御にまわるまで切りつけ続け、さらにその剣の防御に回るために防御が解かれた剣でも切りつける。
そんなメチャクチャな二刀流にどうやったら勝てるだろう?
それが俺の切り札。
二魂剣だった。
七瀬友子を倒した後、俺は六堂絆に向かおうとした。
その時、六堂絆は丁度、狙撃銃を氷から取り出し、どこかに隠れようと走っていた。
たしかに、見えない場所からの狙撃ならまだチャンスはあるのかもしれない。
だが――
「「炎の王国」」
戦場を炎が包む。
六堂絆は炎に道を塞がれ、隠れられない。
六堂絆は急いで銃を構える。
俺は六堂絆に炎とともに急接近する。
その瞬間、勝負は決した。