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キラーズ  作者: 光坂 影介
世界渡りの覇王 第三章 二魂剣
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世界渡りの覇王 第三章 二魂剣2


「へえ、影治の書いた小説の世界か?

 どうりで二乃部(にのべ)さんが影治のことが好きなんていうありえない展開なわけだ。

そして、影治の手から離れたってことは、これからが本番――」

「そうだね、影治くんが光ちゃんを好きな展開もここまで――」

 義之と五橋さんがいろいろ言っている。

 俺達は無視して話を進める。

「とりあえず、信じてくれとしか言えないが、それよりこっちの状況は?」

「ああ、まず、俺と義之の叶わない(イデアキャン)理想(セル)と歪んだ(ワープ)真実(トゥルース)が、六堂絆の申請で暴走した相手を止めるためにしか使えなくなった」

「ああ、戦いにならなくなるからな? 他は?」

「違うんだ、影治。迂闊だった。二乃部さんが気付いていたが、遅かった」

「えっ? 何が?」

「ちょっと、無視しないでよ!」

 俺と清二の会話に、遅れて五橋さんが抗議の声をあげる。

 光ちゃんが反論する。

「いいの、スルーが当たり前なの! これで私の勝ち!」

「う~」

「光ちゃん、五橋さんをいじめてないで、ここは光ちゃんが言うところじゃない?」

 光ちゃんと五橋さんのじゃれ合いを清二が話を戻す。

「えっ、あっ、うん。

 あのね、叶わない(イデアキャン)理想(セル)が異能の力を使えなくする技で、歪んだ(ワープ)真実(トゥルース)が殺し屋の基礎能力を使えなくする技でしょ?」

「うん、って、まさか――」

 俺も二つ並べて考えて、今、気付いた。

 その予想を光ちゃんが肯定する。

「そう、ダニエルくんとラインさんの治療に使えたの」

「くっ、その申請は通ったの!? そんな無茶な申請が!?」

 影治が義之と清二の異能を治療に使える手段を探すために、一度聞いた暴走した相手にしか使えなくなったという事実をもう一度確認する。

「落ち着け! 影治、気付いた時には申請が通っていたんだ。その後だと、六堂絆の能力が活かしきれなくなるって意見を退けることはできなかった」

「そこまでして叶えたい願いが他にあるのか?

 もう、この世界は相棒の手を離れていてアイツの願いは叶っているはずなのに……」

「まあ、そこはいろいろ言いたいことがあるが、次だ。五橋さん。義之と仲良く落ち込んでないで君の話を!」

「仲良くしてない!」

 義之が反応する。

 だが、それでは意識しているのがバレバレだ。

「義之、仲良くしているくらいで反応するなよ」

「うん、それで、私の話だけど。厄介だよ。

 あいつら、私の協力が得られないからって、とんでもないやつの協力を得た」

「とんでもないやつ?」

弓先(ゆみさき)八葉(やつは)。無限の矢を召喚するとんでもないやつ」

「無限の矢?」

「そう、普通ならそんなに召喚したら疲れるから無理なはずなんだけど何故か可能にしてる」

「……っ、神器(スピリチュアル)形成(コール)! こっちでも、もう見つけられたか!?」

「なにそれ?」

「え~と、相棒に聞いた方が――」

(鏡を召喚しろ! 多分、世界渡りの覇王と同じことをお前もできる)

「わかった」

 俺は殺し屋を呼び、鏡を召喚する。

 召喚した鏡に俺を移し、鏡を立てる。

『これで信じられる話がいくつかあるだろう?』

「うそだろ? 本当に……。そこだけは影治が厨二病にかかったんだと思っていたのに……」

 義之が失礼なことを言う。

『え~と、それで神器形成の話だが、神器形成は魂と殺し屋の力が結びついて具現化する。

 だから殺し屋の力をほとんど使わない。しかも、その神器は異能の技をほとんど力を使わずに発動できる』

「はあ!? 反則だろ!」

「なるほど。それが無限の矢の正体」

 義之が驚く。

 反対に五橋さんが納得した。だが、相棒は否定した。

『いや、多分、特殊なのは弓だ』

「どうして?」

 相棒が答えを言って、光ちゃんが聞く。

『言っただろう? 魂と結びついてと……つまり、原則として、神器形成で作れる神器は一つのみだろう?』

「なるほど。矢を召喚しているのは弓の能力か?」

『ああ、しかも、無限の矢というからには一斉にくるんだろう? なら、多分、相手の名前から想像して弓を打つという先の行動を、木に八つの葉が生えるように、何回も同時にしているんだろう?』

 相棒と清二が能力を予想する。

 その予想が当たっているかはわからないが強敵だ。

「でも、名前から想像してなんてあたっているのか?」

『魂と結びついてと言っただろう? 

 魂は名前と無関係ではないから、可能性はあると思うぞ』

 義之の質問に相棒が答える。

「それで向こうが三人で、こっちが二人になっちゃったから、私がこっちに味方するって無理やり……」

「ハハハ、それは頼もしいね。でも、そのコだけでも敵から外せないかな?」

「えっ、えっと・・・・・・。無理だと思うよ……。ハハハ」

「うん? どうしたの? 愛ちゃん? 説得に行こうって流れなんだけど?」

 五橋さんが渇いた笑いを浮かべる。

 俺も光ちゃんと同じく五橋さんの態度が疑問だった。

「なんでもないよ。でも、どうしても行くの?」

「うん、まあ、何か知っているんなら教えて欲しいんだけど……」

「え~と、はあ~~。

 わかった、教える。

 居場所はね。私の通っている学校……」

「えっ? じゃあ、五橋さんが説得……は無理って言ったばかりだね。会わせてくれない?

 その弓先(ゆみさき)八葉(やつは)さんに」

「う~ん、影治くんの頼みならいいけど、私は同席できないよ。というかしない方がマシだと思う。彼女は運命肯定派だから……」

 この何気ない一言が弓先八葉の六堂絆に味方する理由だった。



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