世界渡りの覇王 第三章 二魂剣1
気付いたら、携帯を持って自室に立っていた。
夢か? なんか妙にリアルな夢だったな。
(そんなわけあるか、バカ!)
ん、俺の声?
(現実だよ。いや、違う世界だから少し語弊があるか?
何か、わかるものがないのか?
そうそう、日付とかどうなっている?)
時計を見ると、自分が確認した日から、日付が幾日か過ぎている。
なんだ。現実か?
(だから、言っただろう?)
今度は立場が逆だけどな?
(く~、不本意だ)
まあ、当然だ。
こっちは俺の世界なんだから……。
(いや、俺の世界だろ? 俺が書いた小説の――)
俺が主人公の世界な?
(なあ、俺の声に口に出して返事するなよ。あと、なるべく表情を変えるな)
なんで?
(まるで変人だ)
お前の思考も俺の思考ということにすればいい。
実際、ある意味、そうだし……。
ん、でも独り言を言っている変なやつになるか?
(とにかく、現状確認だ。六堂絆が何もしていないとは思えない。学校の部室にでも行けば、誰かいるんじゃないか?)
この時間って……。あ、放課後か?
俺は急いで部室に向かった。
「みんな! いる!?」
そう言って俺は部室のドアを開いた。
そこには光ちゃん、五橋さん、清二、義之がいた。
「「「「影治(くん)!」」」」
「今まで、どこに行ってたの? 心配したんだよ!」
「そうだよ。おかげで、ただでさえ厳しい戦いを二人で戦わないといけないかと思ったじゃない!」
「えっ、というか、五橋さん? 一緒に戦うの?」
「はい、私の勝ちね。光ちゃん」
「う~、影治くん。なんで、呼び方を気にしないの! 愛ちゃんが名前で呼んでいるんだよ! 反応しないとか無視するとかスルーするとか……」
「えっ、ああ、もうそう呼ばれていたし……」
「えっ、じゃあ、私の勝――っていうか、それじゃあズルじゃん!」
「えっ、私、呼んでないよ。あっ、心の声か?
通じ合っちゃってるから……」
「はいはい、それも込みで、俺がどうしていたか話すから……。
というか全然、心配していた雰囲気じゃないじゃん!」
「当たり前だろ! お前なんか、お前なんか。どこに行っていたんだよ!」
「いや、心配してただろ? 義之も……。まあ、影治だから大丈夫だろうってことにはなってたが……。それより、影治、状況の説明を……。こっちもいろいろある」
「ああ、実は――」
俺はこの世界が小説の中の世界だということ、この世界は相棒の手を離れたこと、俺が外の世界に行っていたことなどのことを話した。