98.
「ダメ!」
待ち伏せをされ。
反応が遅れたモモカがゴブリンから攻撃を受ける。
ハルさんが叫ぼうとと止まる事は無い。
モモカは背中を怒突かれ体勢を崩し前のめりになった。
直ぐに鉄筋を後ろに振りゴブリンを薙ぎ払う。
そして急いで駆け付け。
マユリがゆっくりと声をかける。
「モモカ大丈夫?」
「へいき、平気だから。」
そうは言うが攻撃を受けた背中は傷を負っている。
怒突様に引っ掻かれ。
その部分の皮膚と服は切り裂かれ。
血が滲み出していた。
「悪いがなら仕事してもらうぞ、敵が多すぎる。」
既に後方以外は敵が溢れ返り。
雪崩れ込んで来ていた。
その為ユウカが対応が間に合わず押されている。
矢の数の物量を超える単純な戦法の様だ。
「巻き込まれるなよッ」
小型爆弾を片手で数個持ち。
両サイドに撒き散らす。
そして直ぐに爆発させ。
一番手前の列のゴブリン達を吹っ飛ばす。
元々直撃しないと死なないもんなぁ。
それに相手のレベルも上がってて耐久力高いし。
「はぁ、ぃやだやだ。」
敵が体勢を崩し詰めて来ない間に再度。
小型爆弾を投げる。
今度は強化5を適応させた奴を。
先程より遥かに強い爆発が引き起こされ。
確実に倒しながら後方に下げていた。
「ユウカ一面は俺がやつから後ろを頼む。」
「了解しました。」
残り一方向はユナさん達が暴れてるので気にしない。
爆弾に巻き込まれない為にか既に他の連中も居ないし。
水を手で撒く様に繰り返し小型爆弾を投げる。
そして無限に現れるゴブリンを倒して行く。
何度も死体を飛ばし。
同じ場所で爆発すれば既存の死体が更にバラバラになり。
原型がどんどん無くなり吹き飛び分からなくなる。
「ドン!‥‥‥あれ?」
緑色の物体を爆破し続けてたら、飛ばない奴が出てきた。
「ゴアームかよ‥」
流石に小型爆弾じゃ火力不足だった。
吹き飛ばず。
皮膚の一部が焼け爛れて終わっていた。
「ゴアームさん!」
「ゴぁ”?」
何とも言えない声を出したがそれでいい。
俺は強化済みの小型爆弾を口に放り込む。
「今の俺の投球速度なら世界記録も間違い無しだな‥」
そんなくだらない事をつい口に出しながら爆弾は爆発し。
ボフッと音を出しながらゴアームは倒れた。
ひたすらゴブリンに爆弾を投げ。
殺す。
殺す。
殺す。
殺す。
殺す。
また殺す。
何度も殺す。
只々ひたすらに。
死体を跡形もなく消し。
存在が無かったかのようにだ。
「お兄さん、ストップです!」
「どうした、ユウカ今いい所何だが?」
「‥本当に言ってます?」
つい言ったがどうなんだろう。
だが乗ってたのは確かだと思う。
何故なら今思考が落ち着いたと認識出来るからだ。
つまり数秒前は思考が縛られてたのだろう。
やはり爆弾を連射するのは止めた方が良さそうだ。
ゲームなら沢山投げられないからこそ。
数を気にしないで投げられる今の状況が非常に不味い。
誰だって投げて良いなら投げるよなそりゃ。
「すまん。つい‥な?」
「もぉ、気おつけて下さいよ、お兄さんが、手が滑ったぁぁ。とか言って違う方向に投げたら大惨事です。」
「いや。流石にそれは無い‥だろ。」
「ナンデス?今の間は?アヤシイ‥‥‥」
止めて。
そんなに見ないでくれ。
「恥ずかしいだろ?」
「何がですか!」
「そうかユウカは恥ずかしく無いんだな。」
「ちょ。」
俺はユウカに顔を近づけ。
間近から見つめる。
顔を見たり。
身体を見たりとわざとらしく。
「お兄ぃ。さん。そろそろ‥」
「何大丈夫だ、邪魔者のゴブリンはッ――」
「何やってるのよトキヤさん、こんな所で。」
ユナさんに頭を叩かれた。
チョップだが‥
頭が割れる。
痛い。
痛い。
痛い。
めっちゃ痛い。
この人手加減って知ってる?
自分のSTR考えてる?
成人男性が赤ちゃんに思いっきり叩いてるのと変わらんぞ!
死ぬってマジで。
「頭がカチ割れるぅ。いてぇぇ。」
「お兄さん大丈夫ですか?」
「ユウカちゃんダメよ、自業自得なんだから。」
「何も身に覚えが無いのですが。」
「手が空いたなら直ぐに加勢しなさいよ、おかげで。」
目を向ければヒヨリさんも傷を負ってるし。
アイも腕が腫れて変色してたり。
どうやら知らず間に怪我人が増えてた。
俺って本当にどれくらい没頭して戦ってたんだろ。
「まぁでもこの戦闘のおかげで、敵の集まってる場所が分かったのなら良いんじゃないですか? 死人も無く部位も欠損してないなら治るでしょうし。」
「それも、そうね。前向きに考えましょ。それで?分かったんだし勿論――」
「はい、皆の状態を確認して殴り込みに行きましょうか。いえ、一撃で消し飛ばすのもありですね。」
ユナさんだけが近くにいて。
他の皆はその場で集まり休憩状態だったので。
俺達が近寄り。
意見‥‥じゃないが、話を聞くのだった。
もう全滅させる事は確定してる。
問題は方法だ。