82.
横たわるユナさんが目に入り。
それを踏みつけようとするムーブロス。
その光景を目にしていた。
僅か1秒未満だったのか、それ以上なのかは分からない。
当然横に飛ぶムーブロス。
その直後ムーブロスが居た場所を何かが過ぎ地面にめり込んだ。
俺は咄嗟に前に走り出し。
指弾で飴ちゃん爆弾を放つ。
軽々と避けられる。
想定通りだ。
爆発した瞬間に煙に隠れ。
俺は視覚遮断を使い、敵の視界から消える。
視覚遮断を使いそのまま走る。
ムーブロスの背中めがけ斜め前から飛び乗る。
鼻が良いのか知らんが匂いで気づく前に乗れば関係ないと思ったのだ。
そのまま首を絞めるように抱きつき。
振り落とされないように足も固定する。
存外毛並みがもふもふしてた。
「勝負しようぜ。」
そのまま手首だけを動かし。
普通爆弾を大量に生成する。
幸いにもユウカの矢を避けた事でユナさんから離れてる。
俺が爆発しようとも巻き込まれないだろう。
敵の足元に爆弾が大量に転がり落ち。
一斉に起爆させる。
塵も積もれば山となる。
例え強化してない普通爆弾だろうが集まれば威力は強く。
俺は爆発の瞬間も腕の力を弱めなかった。
一瞬でも離せば逃げられる。
そう思うだけの瞬発力がこいつにはある。
そして足元含め真下から爆発を受けたムーブロスが吹き飛び。
俺も自身も巻き込まれ一緒に吹き飛び違う方に飛んでいく。
公園の木よりも高く打ち上げられ落下する。
受け身などとる余裕が無い俺は背中から落ちた。
無抵抗のままコンクリに叩きつけられる。
骨が折れるような音がした。
そして強打した身体が硬直する。
「お兄さんッ」
「トキヤさん!」
視覚遮断が解け。
俺の姿をユウカとアイが見て声を出す。
「は、はっ‥生きて、らぁ。」
HP131
まだ少し余裕があるもんだな。
しかしHPがあれど身体をロクに動かん。
ムーブロスを盾の様に出来た身体は無事だが。
首に回していた腕。
身体を固定する為に下に回していた足がボロボロだ。
「お兄さん!何してるんですか!?消えたと思ったら空から降ってくるってッ」
「まぁ生きてる。それより悪いが動けない引きずって移動してもらえるか?」
「私が担ぎます。」
「いや、ユウカじゃ無理だろ…身長的に。」
「酷いですお兄さん。」
ユウカがいじけてるがこればかりは仕方ない。
「トキヤさんは私が背負います。」
後ろからヒヨリが歩いて来たので遠慮なくお願いする。
俺と背があまり変わらないし前衛をするステータスなら安心だ。
「済まないヒヨリ、それとユナさんは―」
「大丈夫よ、もう歩けるから。」
既に起き上がって動いていた。
流石に頭突き一回で不意を突かれたが大丈夫の様だ。
「なら早く移動だ。」
俺は目線だけ動かし当たりを見渡すが見えない。
吹き飛んだムーブロスが見えない。
しかし経験値を獲得してない以上まだ生きている。
足にダメージを負わせた今ならあまり速くは無いだろう。
とは言っても全然速いだろうな。
「次やったら私が背中から突き刺すからね。」
「...」
急に背中から言葉を投げられるがその対象は間違いなく俺だ。
もの凄い殺気が向けられてる。
俺を背をって走ってるヒヨリが災難だ。
「他に――」
「次は、良い?」
「はい。」
ダメだ。
他に方法が無いと言っても聞いてくれなさそうだ。
大人しく従う。
物凄くお怒りのようだ。
怖い。
「なら次、奴が出てきたらどうします?」
「私が相手する。」
「勝てないでしょ。」
「そんな事ない。」
「実際、ヤバかったですやん。」
「お二人様、痴話喧嘩は後でやってくれると有り難いのですが。」
「ごめんなさい。」
「済まないな、ヒヨリ。」
「いえいえ。私達なんて動くことさせ、出来ませんでしたか‥本当は続けてもらっても良いのですかね。一応止めようかと思いまして。」
「仕方ないさ、内の2人は優秀で戦闘回数も以上に多いからな。そうだ今度ヒヨリやアイもコボルト狩りとか参加するか?」
「コボルト狩り?、コボルトというモンスターを倒すのですよね?、強くなれるのなら是非お願い――」
「ヒヨリさん、悪い事は言わないから止めときなさい。」
「そうです、止めた方が心身ともに平和かと。」
「何だ?二人共そんなに次も2人でやりたっかたのか。」
「「ちがう!」」
「そういえば、あの時の罰ゲームが残ってましたね?」
「「・・・・」」
「トキヤ、そろそろ作戦を考える事にタスクを使って。」
「はい。」
マユリに言われては仕方がない。
とは言ってもこのまま住宅街に入り。
見つからない事を願うか。
車で強行突破するかだ。
自衛隊車両を使えば段差や小さな飛来物は気にならない。
しかし現代の車技術で作られる物はやはり音がな。
使えばバレる可能性が上がる。
使わなくても匂いで追いつかれる可能性がある。
なら一か八か爆走するか。
大所帯で隠れるとうい事はもう無理だし。
「ここで止まってください。車を出します。」
「誰が運転するの?」
「ヒヨリさんお願い出来ます?」
「わかった、てか戻ってる・・」
「え?」
「いえ、ですが私、こんな住宅街で飛ばせる自信無いですよ?」
「大丈夫ですって、運転して敵が来たらスイッチ入りますって。」
「わ、わかった。」
「ささ、皆さん乗ってください。」
俺達は再び住宅街に入り。
自衛隊車両で縄張りを抜ける事を願い車を走らした。