79.
「これからトキヤさんはクレーター製造マンだね。」
「何だよその、物凄く嫌な名前は。」
「だって、ね。」
「そうそう。」
「そうですよ、お兄さん。」
「少しは自覚しなさい。」
「うんうん。」
おいこら。
随分と勝手に言ってくれるじゃないか君達。
そんな事言われて少しは傷つくんだからな。
奴らを倒す為に使ったのに。
それにまだ平和な方だ。
あれを2個同時に起爆してみたいでもある。
「それに皆助かったんだ、それで良いだろう。」
ドンッ
外で大木が倒れたと思われる音が聞こえてくる。
「まだ助かってないみたいね。」
「そりゃな、今頃周囲は囲まれてるだろう。」
ッヴヴヴウァァ
ミノタウロスが叫んでる。
仲間の死にでも気づき激怒したか?
そもそも奴らに仲間意識があるのか分からないが。
争わず俺達を追いかけて来るぐらいの意識はあるのだろう。
「わたし達は、ここで死ぬのでしょうか。」
「リッちゃん‥」
「だって、もう周りは敵しか居ないんだよ!このまま此処に居たって見つかって殺されるじゃんッ」
「確かにこのままではジリ貧なのは変わりない、トキヤさん次はどうします?」
この作戦を考えたのマユリだろ。
次どうする?と言ってヒヨリの質問を投げるのは簡単だ。
だが言って責任を渡した所で何も解決はしない。
どうせなら俺が責任を持ったまま1人外に行くのが正しいだろう。
俺には他に思い付かない。
「アイとマユリとユウカ、ユナさんの4人で戦うなら2体行けるか?」
「マ?」
「マジのマジだ。」
アイが本気が聞いてきたが冗談を言ってない。
冗談を言う余裕すら無いのだから。
「お兄さん私は、戦力にならないと思います、だって矢が効かないんですよあの牛さんたち。」
「ユウカ、まさかだけど面倒だからって理由でスキル使ってない訳無いよな?」
「・・・」
「おい。」
「あの‥その、なんと言いますかぁ~実は‥」
「何だよ。」
「その通りです、ごめんなさい。」
ペコリと謝るユウカ。
はぁ。
そもそも考えれば気づくが。
ユウカは弓を持ってる所を見たことが無い。
ユウカは弓作成と矢作成という2つのスキルを持ってる。
俺がステータスを振ったから忘れはしない。
それを使わなかった理由は恐らく。
今のアローの使い勝手が良過ぎるからだ。
何も持たないで良いもんな。
そりゃ使うよ。
それで倒せるから無理に新しい事をしなかったのだろう。
アローはLv上げて確信したがあれは威力より手数のスキルだ。
矢一本一本の威力が弱々しい。
いくらユウカのINTが高くても意味がない。
敵にダメージが入らないのなら何百放っても無意味だ。
ならLvを上げるなどあるが既にLvはMAXだ。
その為、一矢のMPは1以下だろうが威力は上がらなかったみたいだ。
それに俺自身が爆弾で苦労してた為。
ユウカにアドバイスしなかったしな。
やはり俺の責任だな。
「ユウカステータス見るぞ。」
「えッ!あ‥ダメッです!!女子の秘密です、覗かないでください。」
「ダメだ。」
俺はユウカのステータス画面をスキル経由で開く。
ハガク ユウカ Lv30
HP :305
MP :486
STR :0
VIT :30
AGI :20
DEX :10 +68
INT :55 +125
RES :30 +188
『ポイント』
STP :25
JP :25
SP :77
PSP :75
職業【委員長LvMAX】
【射手Lv7】
固有能力 :なし
『スキル』
・没収Lv1 ・親身Lv1 ・支援魔法一途LvMAX
・弓作成Lv1 ・矢作成Lv1
・アローLvMAX ・シールドLv2 ・隠れ蓑Lv3
『パッシブスキル』
・MP増加Lv6 ・MP自動回復Lv20
・感情過敏化Lv2 ・知力強化Lv5
・RES値増加Lv3 ・DEX値増加Lv3
・不安耐性Lv4 ・孤独耐性LvMAX
・火傷耐性LvMAX
「テへっ」
「‥‥」
「怖いですお兄さん。」
「……」
「ぅぅぅッお兄さん、ごめんなさい。」
「悪カッタ、悪かった、俺が悪いよ、ちゃんと見とくべきだったな。」
「ごめんなさい。」
ユウカは全くと言っていい程にステータスを触ってない。
変わってるとするなら支援魔法だけLvを上げてる。
戦闘中MP管理的に邪魔なら切れと言ってあるのに。
恐らく切れなかったのか。
俺が悪いな。
けど振ったなら他も振れば良いのに。
それにしてもMPかなり消耗してるな。
本来は1000超えてるだろうに。
どれだけ矢を放ったのやら。
「ユウカ一回弓作成のスキル使ってみてくれないか?」
「はい。わかりました。」
まだ少し落ち込んでるユウカが静かにスキルを発動させる。
スキルを発動させるとユウカの手に握られてる状態で弓が出現した。
その弓は現代ではありえない程に乱雑でボロく小さな木製の弓。
「小――弓が小さいし見るからにボロいな、矢はどうだ?」
「待ってくださいね。」
ユウカが空いてる方の手を広げスキルを発動させる。
弓と同じように矢が出現するが。
これがまたボロい木製の矢。
鏃も木が使われており。
それを適当にナイフで削ったようなものだ。
「Lv上げてマシになるか不安だな。」
「ですよね。」
でも躊躇ってても仕方が無い。
今のでMP消費が弓50で矢で10か。
物凄くMP消費するが恐らく。
「ユウカそれ適当に放り投げてくれ、消えないか知りたい。」
ユウカは真横に投げ捨てた。
もう少し大切にしような?
もう既にゴミのような扱い方だった。
試しに一分待ったが消えない。
恐らく消えない気がする。
それなら弓は大量に作ったら効率が悪いな。
あれ?
アローの矢を使えないか?
とりあえず弓のLvを5まで上げよう。
「ユウカもっかい弓作ってくれ、Lv上げてみた。」
「わかりました。」
ユウカが再度スキルを使い弓が出現する。
その弓はさっきまでとは比べ物にならない。
見るからに綺麗な木材で出来た簡素な弓だった。
弓道弓よりは小さい為かユウカの身長でも問題は無い。
「それで思ったんだが、それでアローって放てないか?」
「お兄さん、凄く変で無茶な事言ってますよ?」
「大丈夫だ、物は試しっていうだろ?」
「わかりました、頑張ります。」
ユウカが矢を一本だし空中で動かしセットしようと頑張る。
そして手が滑ったのか地面に矢が飛んでいく。
地面のコンクリに半分程刺さり消える矢。
「・・・難しいです。」
「矢の末端を最初っから掴んで出せないのか?」
「ん?、あっ!やってみますね。」
人差し指と親で何かを摘む様にしたままスキルを使う。
そしてスキルが発動されその場所を末端にするようにアローが形成された。
「それを普通の矢と思って使ってみてくれ。あ、あんまり引くなよ。」
スキルで出した弓に矢がセットされ弦が少しだけ引かれる。
そして矢がさっき矢が命中したコンクリに放たれた。
また半分は地面に入り込むと思ってた。
それが矢の末端部分まで全て地面にめり込み消えた。
威力が明らかに上がった、あれだけしか引いてないのに。
全力で引けば威力は何倍にもなりそうだ。
「あははっ、私の矢つよぉおぉぃ。」
ユウカは目をパチクリさせ混乱していた。