76.
パンっ
手を叩いたような軽い音がなり弾丸が飛んでいく。
そして調整に調整を繰り返した弾丸は狙い通りに命中する。
≪経験値を獲得しました≫
「よし、またレベル上がったみたいだぞオボロ」
俺はステータスを確認しながら言う。
そしてポイントを使いINTを上げる。
オボロ自身が何かしら攻撃を受け倒れたら意味が無い為VITも上げていた。
オボロLv12
HP :375
MP :615
STR :0
VIT :50
AGI :0
DEX :0
INT :110
RES :20
『ポイント』
STP :0
『スキル』
・マジックバリアLv1
『パッシブスキル』
・HP増加Lv1 ・HP自動回復Lv1 ・MP自動回復Lv1
・爆破耐性Lv1 ・恐怖耐性Lv1
明らかにチート的な強さになっていた。
それにしても本来はAGIに振ったり移動を考えないといけない。
だから極端に振ればこうなるのかもしれないが。
Lv10から11になる事には1Lv毎に貰えるSTPが10になったが全然強い。
オークジェネラルLv36。
もし奴がオボロと同じポイント成長なら。
合計値が420の化け物だ。
今の俺Lv35の合計値361である事を考えると勝てたのは爆弾様様だな。
残ってるJPを使えばステータス値は伸ばせるだろう。
伸ばした所で純粋に勝てるのかは不明だが。
「オボロお前の壁はもう十分に強い、だがユナさんは怒らすなよ」
うんうんと高速で身体を動かすオボロ。
寝起き事件でも思い出したのだろうか。
あの時はオボロが可哀想だったからな。
必死に壁を出してたオボロ。
だがユナさんがコンコンと軽くノックするだけで壊れかけるという。
まさに絶望的な状況だったもんな。
俺も爆弾を使えば破壊出来るだろうが検証するのは危険過ぎる。
それに壁を小さく出すか大きく出すかで強度が変わるのは予想通りだった。
小一時間ずっと敵を探して倒してたが流石に効率は良くない。
そろそろ止めて俺も少し仮眠取ろう。
俺は布団に倒れ込み。
「はぁ。何で布団に入るとやる事が直ぐに起きるんだよ。」
常日頃から起こる現象。
それは布団に入ると見計らったように出来事が起こるのだ。
念には念を入れて俺はこの部屋を選んだ。
無いだろうとも思いつつ警戒する為だ。
階段から上ってる気配。
1人か。
ただ話をしに来た訳では無いだろう。
気配は微かに分かるが魔力(MP)を感じられない。
つまり魔力遮断系のスキルを発動して上ってきてる。
コソコソと近づきたい様だ。
俺も遮断系統を全て発動させる。
相手が感知系を持ってたら突然消えて不自然だが。
それで引き返してくれるのなら御の字だ。
ドアから廊下に出る。
気配を探すとまだある。
気づいてないか諦めてくれないようだ。
俺は先に階段を半階分下り。
踊り場で奴が上がってくるのを待った。
同じ平行位置で事を起こすと気づく奴は気づきそうだからな。
今はゆっくり休んでてもらいたいし。
数秒でコソコソと上ってくる奴が視界に入った。
黒髪でボサボサの髪をしてちょっとぽっちゃりな青年だ。
歳は20代後半だろうか。
歩き方が小学生の泥棒の真似そのままだ。
怪しい。
目的が話に来た事では無いのが一目瞭然だ。
話をしに来るなら俺たち一度話をした男性を連れてくるのが妥当だもんな。
その男が俺と同じ踊り場に上りきり。
上を目指そうとした瞬間後ろから優しく声をかける。
「黙れ。許可なく喋ったら殺す。」
最初に黙れと言うのは有効である。
動いたり何したりと言ってる間に叫ばれたら面倒だもんな。
「何をしにここに来た?不干渉で良いと話がついたはずだが。」
手すりを掴んでる男の手が震えていた。
そして喋らない男。
あっ。
「許可するから簡潔に話せ、言葉数を増やしたら殺す。」
話せと命令するのを忘れてた。
それでも沈黙する男。
時間を稼いで状況を打開しようとしてるのか?
それなら早めに始末するか。
「沈黙は悪事を働きに来たとして認識し、殺す。」
「まま.ま、待ってくれ。話す。」
低い声。
そして聞き取りづらい。
「言葉数を増やすな。」
「皆で話し合って、やっぱり食料も別けるべきじゃって話になってそれで話にきたんだ。」
「それならコソコソとしてた理由は何だ?」
「別に、コソコソしてた訳じゃ、モンスター、奴らがもしも居たら大変だから慎重になってたんだよ。」
嘘だ。
モンスターが居る可能性はかなり低い。
それに居る可能性を考慮する。
なら1人で行動するのは得策とは言えんだろ。
だがこれ以上問い詰めても仕方ないな。
追い込んで焼けを起こされたら面倒だ。
「食料には困ってない、だから戻るんだな。」
「わ、分かった。・・・アレ?」
俺はすぐさま存在を消す。
見られるメリットは無い。
それに俺が隠れられるのは声をかけた時点でバレてる事だしな。
男はそのまま下りて行ったので俺も部屋に戻る。
「疲れた、今度こそ寝る。」
俺は3度目の布団ダイブを行い仮眠についた。