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66.


 2階の端から調べ。

 人を探していた。

 最上階から行ってきた方法と同じだ。


 既に何部屋も調べ時だった。

 

「今の聞こえた!?」


 私は微かに物音を聞いた気がしたのだ。


「何も聞こえなかったと思いますけど」


 でも私は確かに聞いた気がするんだ。


「私ちょっと端からちゃんと見てくる」


 私は先に走り出し。

 振り向きながら伝えていた。

 

 身体が勝手に動いていた。

 それは本人ですら気づいていない原動力。

 それが力を発揮しアイを動かしていた。


 一番端っこの部屋に着き。

 開けたドアから室内の様子を伺う。

 

 変わりは無い。

 今までと同じ感じ。

 何処にでもある普通の一部屋。


 この部屋じゃ無いのかもしれなし。

 そもそも物音が気の所為だったのかもしれない。

 

 慎重に中に入る。

 廊下にキッチンがあるタイプの部屋だ。

 入り口から人が居そうな場所を探していく。

 シューズクローゼット。

 キッチン下の収納。

 ユニットバス。

 探しても居ない。

 

 後は奥の部屋のみ。

 部屋に入り内装を見ても。

 ベットが一つと棚や机が置かれてるだけだった。

 違う部屋がある事は無く1Kだった。

 そして収納するクローゼットは無い。

 子供が隠れそうなベット下もちゃんと見る。

 

 しかし何処にも居なかった。


 この部屋じゃ無いみたいね。

 隣の部屋に行こ。


 二部屋目の間取りは同じだった。

 当たり前なのかもしれない。

 私には分からない。

 だから見落としが無いかしっかり見ないとダメだ。


 更に注意深く見。

 人を探す。

 部屋のドアを開け。

 奥の部屋を見ようとしたその時


「きゃぁああ」


 今度はハッキリと聞き取れた。

 人の声。

 それがこの部屋以外から聞こえてきた。

 しかしその声はよく聞き覚えのある声だった。


「リっちゃん」


 私は部屋から飛び出る。

 廊下に出て中央階段の方を見ると。

 部屋の前立ち止まるハルさんが見えた。

 私は数十メートル先のハルさんの所に全力で走った。

 距離が遠く感じる。

 

 私が着く頃には反対側からマユリ達も着いていた。

 

「ハルさん、何があったの」


「あの、実は‥リカがねッ」


 リっちゃんに何かあったら私のミスだ。

 私はハルさんを横切り部屋の中を見た。


「あれ、リっちゃん何してるの?」


 奥の部屋の前で座り込んでいるリっちゃん。

 見た所怪我も無ければ。

 叫ぶ程の出来事があるようにも思えなかった。


「えッと。皆ごめんね、私が叫んだばかりに。」


「それは良いんだけど、何があったの?」


 リっちゃんが部屋の中を指差す。

 私はそれを見る為に部屋に入る。

 そして奥の部屋の指差す方を見ると。


 あぁぁ。

 確かにこりゃリっちゃんには無理だな。

 人体骨格模型があった。

 部屋に入って。

 間近にあれば誰だってびっくりする。


 しかしハルさんも大丈夫とぐらい言って欲しかった。


「アイ何があったの?」


「ただ人体骨格模型があっただけ、だから何も問題は無いよ。」


「ならもう下に行ったほうが良いと思う。」


「マユリ待ってよまだ。」


「でも外からは確認したんだよね。」


 マユリの問に答える為ハルさんの方を見る。

 ハルさんは頷く。

 あの後引き続き確認してくれたらしい。


「それに市役所の方がそろそろ持たないと思うんだ。見てよ」


 廊下から市役所の方を見る。

 数分前に見た時よりオークが入っている気がした。

 常に市役所は見ようと思えば見えてたけど。

 毎度見る余裕は無いし。

 見てもどう変わったのかハッキリとした違いがなければ気づかない。

 

 だから今回は違いが感じられた。

 市役所の入り口前の色が明らかに変わっている。

 体積が大きいオークがそれ程の密度で集まっていると言う事だ。

 大きな丸を描く様に。

 一箇所だけオークの色では無かった。

 

 恐らくあの場所にユウカちゃんとユナさんが居るんだ。

 流石はあの2人だ。

 オークに囲まれてもまだ耐えているなんて。


「そうですね。急いでトキヤさんを向かわせて、ユナさん達の加勢をしたり何方かが中の救援に行かないと市役所内部が全滅するかも知れませんね。」


 ハルさんの言う通りだ。

 2人は耐えてるが。

 いくら2人が耐えても。

 入り口が広ければ端からオークは侵入する。

 そして中で戦える者が居なく無れば虐殺だ。


「行こう。」


 居るか分からない人を探して。

 認知出来てる人を殺されては意味がない。


 私達は6人で階段を下り。

 一階に到着した。

 そして最初に目に入ったのが。


「トキヤっ」

「トキヤさん!」


 私達は倒れてるトキヤさんを目にした。





  

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