63.
俺は名前を知らない振りをしながら会話していた。
言ってしまえば何故知ってるのか問題が起きるからだ。
そうなれば俺は白い目で見られる事間違いなし!
それだけは避けたかった。
男はオレ一人。
ハーレム状態かもしれんが。
逆に言えば。
1人が敵になれば全員敵だ。
女性のデリケートなよく分からん部分を刺激してはいけない。
鑑定は何か言われる事が確定している様なもだ。
俺の生命線と言っても過言ではないな。
バレたら終わる。
「という訳でオークのもう一体の強い奴は何処に行ったか分かりません。」
てな訳で話を真剣な奴に切り替える。
「何処ってそんなの市役所以外考えられないわ。」
「私もそう思いますお兄さん。」
「そんな事は予想ついてるけどさ、どうするんの?」
俺は皆に問いかけてみた。
正直に言おう。
今の彼女達じゃなあの数相手には戦えるとは思えない。
ここでどう戦い抜いたのか知らんが。
恐らくユナさんが駆け回って。
ユウカが後方から矢を放ち簡単に数を減らしたんだろうが。
市役所に居る数には通じない。
多ければそれだけ密度が増える。
なら彼女達の負担は増え結果的に負傷者が出る。
守らざる負えない。
助けに行ったのにその仲間を守らないと行けないのは辛い。
「あのトキヤさん、どうするとは、助けない選択肢があるって事ですよね?」
「勿論だ。」
ヒヨリは助けたい精神の持ち主の様だ。
俺は正義の味方でも何でも無いのでハッキリ伝える。
「元々俺はタダ働きはしない主義でな、目の前に転んだお婆ちゃんとか子供が居れば助けるが。わざわざ遠くて命の危険もある所に行ってまで働く気は毛頭ない。」
「「「・・・」」」
一部から視線を受けるが嘘はつきたくないし。
自分の命を捨ててまで他人を助ける奴は居ない。
居ても極々少数派だ。
「トキヤさん言い方言い方。」
「ほぉ、さっきまでマユリに騙され静かだった人が喋った。」
「もぉお、忘れてよ!てか何で見てたのよ」
「そりゃ見るでしょ。それでアイとしてはどうなんだよ、助けに行きたいのか?」
「行きたいけどさぁ、行っても私じゃ足手纏でしょどうせ。」
「さっきより数が増えて対応出来なくなるんなら足手纏だな、恐らく。だがまぁ俺は行っても良いって思ってるぞ、危険はごめんだが助けた人達に死なれるのはあまり気分が良くない。」
「ユナさん達は今にも走り出しそうだし」
「ふぇ?」
「え、何か言った?」
アイリちゃん達を助けたいであろうユナさんは分かる。
だが何でモモカも横に居て一緒に走りそうなの?
「アイリ考えもなしに先走ったらダメですよ」
「あ、うん。ありがとう」
ハルさんがストッパー役みたいだ。
そして。
「ユナさん勿論――」
「勿論行くわよ、私達で行きましょ」
ですよね。
ユナさんが言うのは知ってた。
だけど問題しか無い。
向こうの状況的に強い奴は居ないと思ってた。
部下に命令して動かないタイプを思い。
もし此処に2体の強敵が居て倒せたら。
後は数が多いオークの処理だと考えてたのに。
集団に強い奴が混じっていては簡単じゃない。
もし戦闘中に不意を突かれたり。
他のオークが肉壁になるのなら邪魔すぎて危険だ。
勝てる気がしない。
さっきみたな爆弾を使うにしても。
近づき。
相手を動けなくし。
自分は離れる。
オークが密集する場所で遂行するのは不可能だ。
「ユナさん相手に強いオークが居たら―」
「私が相手するわ」
対策を聞こうとする途中で返答がきた。
確かに時間は無いけど。
いくら何でも無謀では無いだろうか。
マッチョオークを相手にした事が無いから言えるんだ。
あれを相手に勝てると普通は断言出来ない。
言っても聞いてくれそうにないし。
俺が援護するなにどうにかするしかないな。
「分かりました、でも考え無しに見つけたら突っ込むのは無しでお願いしますね、待てですよ、待て。」
「分かったわ、待てね、ってトキヤさん私を犬扱いしてない?」
「してません。」
「本当に?」
「はい‥」
睨まれてる。
だけどユナさんは時々スイッチが壊れる。
その時に本当に止まってくれるのだろうか。
心配だ。
「てな訳で行く事になったが反対な人は?、勿論今から行く場所は死地だ。」
「お兄さんに付いて行くと私は決まってます。」
「私も助けたいかな。」
「マユリが行くんなら勿論私も行くよぉ」
「断る理由はないです。」
「戦闘は下手ですけど頑張ります」
「勿論行きます!」
「皆が行くなら私も行く。」
決まりだ。
この集まりは死地が好きなようだ。
勘弁してほしい。
「なら行こう、走るぞ」
市役所が既に落ちてるだろう割合は8:2だ。
自衛隊次第だが。
持ちこたえられる訳が無い。
誰も助からないのなら撤退しよう。
自分の命と。
その次にユナやユウカの命が優先なのだから。