62.
あの6人。
レベル的にはマユリとアイが高いが。
前衛はアイとヒヨリの2人が担当していた。
妥当と言えば妥当か。
そして色々あって忘れてたけど。
アイが持ってるナタは何処から拾ったんだろうか。
「あれゴブリン達が持ってたらしいわよ」
「えッ」
怖い怖い怖い。
え何。
今俺って声に出してた?
嫌。
出してなかった筈だ。
「何よ、せっかく教えて上げてるのに、それにそんなジロジロ見てたら分かるわよ。貴方目線には少し気を遣いなさい、女性は直ぐに気づくわよ。」
「はい‥ごめんなさい。」
特に深い意味しか無いが。
謝っておく。
オークがヒヨリ狙い攻撃する。
そして彼女は手に長い棒の様な物を持っており。
それを巧みに使い。
受けるではなく流し。
前衛を務めていた。
まぁ普通に受けたら折れるもんな。
てかその技術が凄いって。
俺は頭では理解出来るが戦闘しながら実践する何て不可能だ。
横からヒヨリを狙うもう一体のオーク。
オークに向けて火の玉が飛んでいく。
あぁマユリか。
出会った公園では一発打って倒れてたが今は大丈夫そうだな。
それにあの時は弱いオークで。
今は黒オーク。
放たれた火の玉を食らったオークは怯み。
少し下がっていた。
3体目のオークはアイが1人で相手をしていた。
なるほど。
ステータス的には確かにありだな。
アイとマユリが基本的に。
1人一体で。
マユリが時々カバーする。
そして四人で戦ってる方を先に倒そうって感じか。
悪くはない。
だが決定打が無い様にも思える。
どれも均衡は保ててるがそれだけの話だ。
今4体目が来たら崩れるな。
「ユナさん何かアドバイスしなかったんですか?」
「アドバイスって言ったって、私はステータスで片付けてたから作戦は得意じゃないのよね。」
「ユナさんのステータスなら仕方ないですよ、自分がLv上げ過ぎちゃいましたねごめんなさい」
「何で謝るのよ、今の世界じゃ力は強力と感謝してるわ。だから気にしないで」
そうだろうけど。
考え無いのはダメなんですよな。
それを言ったら彼女達も試せる今。
やりたい事を試して。
失敗から学んでもらおう。
ハルは素手で。
モモカは鉄筋を持ってる。
リカは包丁。
ハルは魔法だろうか。
何も武器を持ってないと言う事は。
そしてモモカが鉄筋を片手に持ちながら接近する。
何故あんなに可愛い子が鉄筋を持ってるのだろう。
恐ろしいギャップ感がある。
ボブで小柄で身長の半分以上長い鉄筋を持つ少女。
嫌年齢的には少女ではないだろうが。
中学生でも通りそうだし。
ユウカは小学生に該当するが。
そしてヒヨリが気を惹きつけているその隙きに。
容赦なく後頭部狙い鉄筋を片手で大振りして当てていた。
届かない本棚の上に背伸びをするかのような。
力の入って無さそうな何とも言えない攻撃だった。
「分かります。辛いですよねぇ。」
横から聞こえる共感の言葉。
危険になれば止められる自信からか。
全く危機感が有るようには思えない戦闘だなと思った。
やってる本人達は真剣そのもだが。
後頭部を打たれたオークは。
頭を低くしたまま後ろを振り向き確認した。
その隙きにヒヨリが下がっている頭部に棒を振り下ろし。
追い打ちを与える。
オークは流石に手で身体を支える様に倒れる。
同時に走り出すリカ。
包丁を前に構えたまま突進し。
リカが構えた高さまで下がったオークの首に包丁が綺麗に刺さる。
オークが反射的に手で叩こうとするが。
リカは刺さった包丁を回収しないまま後ろに飛び退く。
流石に武器を取ろうとして攻撃を食らうミスはしないようだ。
初心者ってそんなミスすると思ってたが違ったな。
最後の力で攻撃したのかオークはそのまま横に寝転がり。
絶命した。
それを確認した3人は。
マユリとオークに割って入り。
前衛を担当し始めた。
ヒヨリに攻撃すれば流され。
モモカに攻撃しようとすれば避けられ。
その隙きにオークは横からファイヤーボール。
バスケットボール程のサイズの攻撃を何度も受け。
身体中火傷の様な状態で倒れていき。
無事二体目も終わり。
3体目に至っては。
アイが1人で満身創痍な状態に追い込んでいたので。
マユリが横からファイヤーボールを放ち。
戦闘は終了した。
「ちょッ!マユリ貴方何で美味しいとこだけしれって持っていくのよ」
とまぁ。
命がかかっていたら有難うだが。
余裕のある戦闘では発生してしまう問題が少し起こっていた。
アイのテンションは冗談っポイが。
マユリが泣きそうなレベルで真に受けたのが問題だが。
「あああ、ごめん。今のは冗談だからそんなに気にしないで」
「私も気にしてないよ」
見事に全員が騙されたが。
柄でもない人が演技をすると演技なのか分からないから怖い。
それに。
美味しい所は奪わないで欲しいのは事実だし。
まぁ無事に戦闘が終わったから見守る側としては一安心だ。