50.マユリと
久しぶりの会話。
「他の人が居て、なかなか久しぶりって感じが無かったよな。」
「そうだね。」
無愛想な返事。
変わってないなと思う。
俺がマユリを残した理由は、ステータスを確認するためだ。
それと色々話がしたかった。
アイさん、にはパーティーにもう入ってもらっている。
それにさっきマユリも入ってくれたので、これから…
「マユリ、今日言ってた報酬ってのは…」
ダメだこりゃ。
一瞬で真っ赤になって黙ってしまう。
「皆に言わされた訳じゃないんだろ?」
うなずいてくれた。
ならやることは一つだ。
≪マユリをコレクション対象にしますか?≫
『はい』
これの方が楽で良いんだよな。
ステータスは一目瞭然だ。
「え?、なに、え?」
混乱しています。
まずかったでしょうか?
「アナウンス聞こえた?」
「うん。」
「そのとおりだから、よろしくね。」
「あ、うん。」
何故だろう、ゆっくり近寄ってきてハグしてきた。
どう捉えたんだろう。
それにあのアナウンスさん、何か変な事言ったんじゃ…
それに自信なさげにハグしてくるのマユリがめっちゃ可愛い。
なんだろう。
この恋愛経験ゼロの子が必死に頑張ってる感じ。
控えめに言って最高です。
てか、そのまま俺が押し倒された。
何かが違う。
普通逆なのでは?
俺は片手で抱きしめたまま、ステータスを確認することにした。
前にもこんな事があったような気が……
とりあえずスキルを見よう。
モガミ・マユリ Lv2
HP :105
MP :113
STR :0 +0
VIT :10 +0
AGI :10 +0
DEX :0 +6
VIT :5 +11
RES :5 +8
『ポイント』
STP :0
JP :0
SP :0
PSP :0
職業【委員長Lv4】
固有能力 :なし
『スキル』
・親身Lv1 ・説得Lv2 ・支援魔法一途Lv1
『火属性魔法Lv1』
・ファイヤLv1 ・ファイヤボールLv4
・集中Lv2
『パッシブスキル』
・MP自動回復Lv4
・深部感覚過敏化Lv1 ・知力強化Lv4
・INT増加Lv1
・火耐性Lv4
今までで一番普通って感じだ。
俺達3人は何かと偏ってるから仕方ないか。
Lv2。
まぁ6人で経験値均等割してたら普通か。
本当に普通だ。
他に言うことがない。
気になるのはある。
深部感覚ってなんだ?って思った。
だけど答えは目の前にあった。
軽く抱きしめてるだけで茹でダコのマユリが居た。
いくら経験がゼロとはいえ。
これは異常だ。
あまり触れないでおこう。
これのLvを上げるのは恐らく無理だな。
生活に支障が出てきそうな気がする。
そのまま、ステータスを閉じ。
俺も疲れてるので一緒にのんびりする。
最高だ誰にもじゃまされず。
「トキヤさーん!」
「………」
泣きたい。
なんで俺がのんびりしようとしたら君は来るんだい?
アイさんよッ!。
「ごめんなさい、私お邪魔ですよね…これからお楽しみでしたか...。」
その予定は無かったが、邪魔されたのは確かだ。
俺の休憩を。
「それで、どうしたの?」
「いや~、私も……来ないと駄目かなって・・」
ナンデスかその使命感。
そんなのありませんよ?
「もう何でも良いから、休ませてくれ」
「分かった、なら私は反対側に失礼します。」
帰らないのかよ..。
結局、左右に女子が居る。
困った。
最高と言えば最高だが。
眠気が薄れてしまう。
ギリギリ助かってるのは。
アイさんの方は俺の右腕に抱きついてるだけだからだ。
マユリなんて身体が半分俺に乗りかかってるし密着してる。
柔らかい感触が……
『あああああああああああああああ』
そんな事考えてたら寝れるかッ!
無になれ。
俺ならなれる。
「トキヤさんって、こういうの、慣れてるんですか?」
何を言うんだね、アイさんよ。
慣れてないよ!!!
慣れてたら今頃、疲労が酷いのでぐっすり寝てますよ。
「別に慣れてないよ。」
てか、俺って顔に出やすんじゃないのか?
あれはユウカが俺の表情から読み取るのが上手いだけか。
「彼女とか沢山いたんでしょ!」
彼女か.....居たな。
一人だけ。
高校に入った花の一年から、卒業まで。
卒業してからこれから二人で頑張るって時に、別れた。
いや、俺に愛想を尽かしたのかもしれん。
表立って、感謝の気持ちなどを伝えられなかった俺に。
だから俺は謎なんだ。
だって君はその事を知ってるよね。
そこまで仲が悪くも無く、二人で話してる姿を何度も見ていた。
だから理解に苦しむ。
君は何故、俺にくっついてるんだよ。
俺にどうしろっていうんだよ。
アイは自分から言いだし事だ。
それに今日が初対面だし。
それでもマユリは俺に怒る事はあっても、抱きつくなんて事はありえない。
てか今も現状を理解出来てない。
意味が分からないよ…
「アイさんよ、悪いもう寝る。」
答えてないけど、俺のプライベートな事を話す理由がないので構わないだろう。
冷静になった俺は、身体の疲労からか直ぐに意識が無くなっていった。