48.二つ返事は出来ない
「ユナさん!、お兄さんが女性を沢山釣って来ましたよ!!大変です。」
俺が部屋に入ろうとしたらユウカが出てきて、第一声がそれだった。
どうやら俺の部屋に二人共居たらしい。
「ちょっと…トキヤさんなにナンパしてるんですか!」
誤解です。
俺からはしてません。
「貴方達、とりあえずわたしの部屋に行きましょ。」
ユナさんが女性達を引き連れて、自分の部屋に入って行った。
ユウカもそれに付いていった。
俺は今一人。
イヤ、バラノスと一緒だ。
もういいや。
知らない。
寝よ。
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「何のようでしょうか。」
俺は寝てたのに起こされた。
1時間も経ってない。
少し機嫌が悪いぞ。
俺が一番死にかけたのに何だよ。
酷い仕打ちだ。
だから人助けはしたくないんだ。
周りを見ると、助けた子も皆居た。
倒れてた子も――
知り合いだ…
あまり、逢いたくはない人。
機嫌も悪いのに最悪極まりない。
魔法を使って倒れてたのは君だったのね。
顔が全然見えなくて分からなかったよ。
「それでマジで何のごようですか?」
寝させてほしい。
「お兄さん、も含めて話をしようと思いまして。」
「それにトキヤさん、ごめんなさい。少し勘違いしてたわ。」
二人は俺をどう思ってたんだよ。
「その為に起こしたのか?明日でも良くないか?、俺死ぬほど疲れてるんだけど」
俺は寝たいのに。
それに実際死にかけてヤバい。
「その…なんでそんなになったのかも分からないし、この子達の事もあるから早めの方が良いかなって思って。」
俺が話をする前に、女子を連れてさっさと自分の部屋に行ったよな?
怒るぞ!
もう。
「ユナさん、お兄さんが今までで一番怖い顔してます。」
「どうしよう、わたし何か言っちゃいけない事言ったかな..。」
この二人、変な事でポンコツになるよな。
「もう良いよ、話を聞くよ。」
折れよう。
テカ骨が折れてるから痛い。
「あ"あ"ぁぁ、痛い…」
俺は流石に女子8人が座ってるのにベットで横になってるのは居心地悪いので、ベットから降り背中をベットにつけ座ったが、痛い。
泣きたい。
「なんだがごめんなさいね、トキヤさん。」
「お兄さん、がここまで深刻だなんて」
「そうか、そんなに思ってくれるなら君達には後日、今日の数倍は働いてもらうから気にしなくていいよ」
二人共目を見開いて固まった。
「それで真優理はどうして、ここまで来たんだ?」
俺に名前を呼ばれてピクッっと反応する。
この魔法を使って倒れたのは俺の元同級生。
最上 真優理
数年ぶりにあったな。
再開を喜び合う仲ではないけど。
「私達が避難していた学校は、ゴブリンと犬の、ブラック・ウルフ?、が沢山攻めてきて壊滅したの。それで、私達のメンバーはどうにか逃げれて目的地に向かう途中に、ここを通ったら沢山のモンスター、とも遭遇して、オークと戦ってたらトキヤが助けてくれたの..。」
久しぶりに話したけど、相変わらずハキハキとはしてないな。
どこか眠そうに感じる声。
「そうか。それで目的地はどこなんだ?」
「新宿から東に数キロ程の場所にある大学。」
不可能だ。
君、学力は全国レベルで良かったはずだが、頭はまわらなくなったのか?
そんな人口密集地の東京の中心部を目指すって危険だろ。
「行く目的は?、殆ど自殺行為だぞ。」
俺は断言する。
行けば死ぬだろう。
普通のオークであれだぞ?
人口が密集してるって事は、モンスターが人を沢山殺してLvが高いって事だ。
この辺のモンスターよりも強いと過程しないと話にならない。
「その避難場所の大学に、私達の友人や家族が居るの、元々このメンバーは、向こうの大学にも知り合いが居て、何だかんだで仲良くなった、メンバーなの。」
なるほど。
良いですなぁ、楽しそうですよ。
大学生活。
お互いの大学で交流とかもあったりしたのかな?
俺には大学生活があまり想像出来ないな。
「まだ居るって情報は確定なんですか?」
「ハルの職業が占い師でね。居場所を占ったらのそしたら反応がそこから。」
どう占ったのか分からないが。
地図でも広げて水滴でも垂らしたのか?
てかそれって生きてるか判断出来るか聞きたい。
無神経だろうか?。
「それでね、トキヤさん、私も占ってもらったんだけど私の弟もそこに……」
マジですか、ユナさんよ。
今俺、生死を聞こうとしてたよ。
聞かなくて良かった?
イヤ聞いてたほうが良かったかもな。
「それで?要件をハッキリと口から言ってみろ。」
「「「「「「「私達をその場所まで連れてってください。」」」」」」」
ユウカ以外の全員がそう言った。
ユウカは――
後ででいいや。
何だよこの面倒いお願いは。
即答で答えろなら、無理、いやだ、却下。
って言葉しか出てこないぞ。
「お兄さん、顔に出てます。」
いつも指摘してくれてありがとな。
それよりも実際問題無理だ。
Lvが上がって人間離れしたように思えるがそれは、元の地球人と比べたらだ。
モンスターを基準に考えたら、俺達はまだまだ初心者だ。
俺がまともに戦闘して勝てないだろうモンスターが、この地域だけでも4体居る。
それなのに東京の中心部に?
無理だろ。
せめて、今日会ったあのオークを余裕で倒せないと無理だ。
「行けると本気で思ってるのか?、そのが叶うとしたら東京の都心部にモンスターが居ない事が絶対条件になるぞ?」
「どうにかならないの?」
「どうにかなるわけない!……すまん。」
眠いし、無謀すぎるからつい強く言ってしまった。
「先に、今日俺が見てきたのを話そう。」
俺は順番よく、丁寧に話した。
ほぼ全て。