45.
俺達は今、この辺りで一番高いビルの屋上で昼ご飯を食べておわった。
12時。
「なにか見えた?」
ユナさんがスコープで遠くを見てる俺に話しかけてくる。
「えぇ、色々見えますよ。」
「何が見えるのよ…」
オークに襲われてる学校とか。
ゴブリンに追われてるサラリーマン。
一回も足を踏み入れてない、ショッピングモールではオークが何百体と居た。
しかも遊ばれてる女性もセットだ。
それと食われてる男性達。
これを話せってか?
ユナさん今すぐ助けに行きましょうって言うぞ?
今日は三日目だ。
人が食料を求めて出てくる頃だ。
俺達がモンスターを減らしてるから、今なら大丈夫かもなんて思ったのかもしれない。
これも話したら責任感じるでしょ、この人。
「黙ってないで教えなさいよ。」
「言える訳、ないじゃ無ですか女性の着替えを見てるんです!」
「トキヤさん!何やってるの!!今すぐ止めなさい。」
はいはい、止めますよ。
「見損なったわよ!、まったく...。そんなにみたいんn…」
見損なってくれて構わない。
貧乏くじを引く人間が居ないといけないのだ。
「お兄さん、そんなにみたいならわたしの…」
「ユウカちゃん何言ってっるの!」
「え?、今ユナさんも――――――」
「あぁああああ、何いってるの?ユウカちゃん」
仲がいいな。
俺が居なくても仲良さそうやね。
それより、どうしようか…
流れに任せてコボルトの問題を片付けて、食料も確保した。
その次は?
目先の脅威ならオークか?
あの数はまずい。
「俺は次、オークの調査で良いと思ってるが二人はどう思う?」
「私は賛成よ、コボルトと同じ様に絶滅に追い込んでやる。」
「わたしは、お二人についていきますが、お兄さんわたしを見捨てないでくださいよ?」
「置いていったりしないさ。」
二人の意見も確認出来たし。
オークの調査に向かおう。
―
――
―――
――――
――――
――――
―――
――
―
それからビルから出て。
俺達はショッピングモールに向かっていた。
〇〇ポートという、かなりの店舗数があり素晴らしい場所だった。
俺もモンスターが出てくるまでは頻繁に利用してたもんだ。
だけどそう簡単には行かせてもらえない。
偵察隊か何だか知らないが、オークが3体と遭遇した。
食料調達だろうか。
オーク達は豚のような声を出し、興奮している。
それに気づいた、ユナさんとユウカが汚物を見るような目をしていた。
「ここはわたしがやります!、「「「アロー!」」」」
同時に3本の矢が出現する。
そしてそれぞれのオークに向かって飛んで行った。
がッ、真ん中の1体のオークに矢が全て命中した。
「なんだ、ユウカ真ん中のオークに恨みでもあるのか?」
その太って脂肪ったっぷりの腹には矢が3本刺さってた。
矢の威力はそれ程強くはない。
頭を狙うから強いのだ。
人間に竹串が刺さってめっちゃ痛いけど、今すぐ死ぬかと言われたら死なない。
って感じの状態のオークだ。
「違いますよ!わたしちゃんとそれぞれの頭を狙いました。」
何だって。
それじゃあ、何故矢は腹に―
次の瞬間矢が刺さっていない左右のオークが急接近シてきた。
速い。
ユウカはAGIで劣っているのだろう。
反応出来ていなかった。
俺はとっさにユウカを突き飛ばした。
勿論そこからどうにか出来る手段なんてないので、オークに思いっきり殴られる。
顔めがけて殴ってきた攻撃をどうにか左腕で防いだが、こりゃ骨がイカれたな。
メッチャ痛い。
俺はHPを確認したら、今の攻撃で50も減ってた。
マジですか。
強すぎません?
ユナさんはオークと近接戦闘を繰り広げていた。
ユナさんのステータスの方が高いようだ、少し押してる。
「ユウカ、矢を食らったオークに矢を放って、ハリセンボンみたいにしてやれ!任せたぞ」
「は、はい!がんばります」
まったく、私のせいで俺がダメージ食らったとか気にしてる場合じゃないぞ。
「ウォォオオオオオ」
急にやる気出すの止めてもらっていいですか?
僕そんな戦闘タイプじゃありません。
喰らえ!
飴ちゃん爆弾だ。
俺は叫んで開いた口に飴ちゃん爆弾を投げた。
だが、軌道が途中からお腹の方に変わった。
そのまま脂肪たっぷりのお腹に当たり飴ちゃん爆弾は跳ね返って地面を転がりだした。
「………」
超能力、サイコキネシスみたいな謎のパワーで吸い寄せられてたみたいだ。
最初っから、腹と俺の手に糸が繋がっていてそれを辿り寄せて向かっていったみたいだ。
まったく嫌なスキルだな。
何かわわからないけど。
オークが右ストレートを打ってくる。
オークのくせに綺麗なストレートだなおい!
おかげで避けやすいけど。
パンチのスピードおかしくないかい?
「あぶッ。」
蹴りも使って来るのかよ。
こっちは一発で骨が折れて痛いんだぞ!
手加減しろよ。
それにこの二人は俺のだ、肉だるまには絶対やらん。
俺はアイテムボックスからスナイパーを取り出す。
そういえば、昨日のオークもお前の様に強かったな。
それにお前らなんか肌の色少し黒くなってるよな?
それが強い個体の特徴か。
「バイバイ」
バンッ。
引き金を引いた。
やはりゼロ距離だと軌道が変わるとか気にしなくていいみたいだな。
ドン。
と鈍い音がしてきた。
その方向を向くとオークが壁に衝突した状態だった。
犯人はユナさんである。
「はぁはぁ..まったく重いんだから。」
いやいや、重いってレベルだったか?
200キロとかはあるだろ。
それを投げ飛ばすって怖いわ!。
ユナさんの方が終わったので、ユウカの方を確認すると…
グッサ、グサッ、グサッっと。
次から次にどんどん矢が刺さり。
最初に矢をくらったオークは腹の部分が矢で覆い尽くされ。
地面に横たわっていた。
「ユウカ、多分それもう死んでるからストップ。」
「お兄ぃさん~ごめんなちゃい..わたしのせいで、シクッ、うぅぅ。」
「分かったから、大丈夫だから泣かないでくれ。」
あのオーク矢を何本受けたんだろう。
想像しただけでも嫌だ。
拷問じゃね?
「てか昨日はタンタンと処理してたけど、こいつらこんなに強かったんだな。」
あの時は夜で肌の色が黒いなんて気づかなかったし。
今もしこまで警戒してなかったもんな。
失敗だ。
HPは回復しているが、左腕の治りが遅い。
恐らくHPが先にMAXになっても痛みが残ったりはするのだろうな。
てか腕が無くなったりしたら生えてくるのか?
気になるな。
実験も考えておくか。
知ってるか知らないかでは戦闘に差が出てくる。
「昨日こいつらと戦ったの?トキヤさん。」
「あぁ、市役所に行った時にちょっと出くわしてな、夜で色まで見えなかったから普通のオークだと思って始末した。」
「「えぇぇ。」」
何だよ。
俺は正常な人間だぞ。
その目を止めなさい。
まるで堂々と遅刻して登校した学校を思い出すじゃないか。
「それよりも二人には先に家に帰ってもらうぞ。」
「え、私達二人だけ?トキヤさんはどうするのよ。」
「そうですよ、お兄さんの腕は私のせいで使い物にならないじゃないですか!一緒に帰りましょうよ。」
ユウカよ、なんでそんなに偉そうに言ってるんだ。
悪いと思ってるのかどっちなのか分かりづらいぞ。
「俺は一人で偵察してくる、二人が居たら必ず戦闘になるだろ?俺だけなら潜入が出来るからだ。」
「それなら腕が治ってからでも…」
「明日になって何も起きないって保証はあるのか?毎日変化の連続だ、今のうち情報が欲しい。だから行ってくる二人は真っ直ぐ家に帰るんだぞ、それじゃあな。」
俺は視覚遮断を発動させて消える。