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33.


「今何か言いました?」

 

 女の子が後ろを見るよう顔を動かし小声で話しかけてくる。


「大きい音を出さなければ大丈夫ですから」


 なるほど、大きい音を出さなければ大丈夫なのか。

 てか俺は聞きたい。

 何故この体制になったのか。



 あれはまず。

 目の前のこの小さな高校生がそこに座ってくださいと言い。

 俺はクローゼットに座った。


 クローゼットは狭く。

 横向きに俺が座ると足も伸ばしきれないぐらい狭い。

 そしてこの自称中学生が俺の太ももの上に乗ってきた。

 こっちの方向に座りそうだったので、反対側を無理やり向かせた。

 なんだろう。

 お父さんが5歳時ぐらいの子をあぐらをかいて座らせてるみたいだ。

 あぐら、じゃなく体育座りの状態だけど。


「何故この体制だったんだ?別に立ったままでも二人で入れただろ?」


「それは途中で座りたくなったら、座れないからです。」


「そんなの一回外に出て、入り直せばいいだろ」


「その時に近くにモンスターが居ないと保証が無いじゃないですか。」

「それに、一回隠れ蓑を解くと直ぐには使えないので危険です。」


 そのインターバルは本当だろうな?

 もし嘘だったら容赦しないぞ。

 謎の小言合戦はしばらく続いた。




――

――――

――






「ちょっと、どこ触ってるんですか・」

 

 別に変な所を触っている訳ではない。

 俺の足に堂々と座りやがって。

 足が痺れてキツイんだぞ?

 あの謎の痺れダメージが。


「シッ、くシュ、シュシュシュシシっs。ちょっと、やめて…やり過ぎ。」


 コショコショして遊んだ。

 俺に背中を向けているため反撃はない。

 フム。

 これは楽しいぞ。


「声出して、ゴブリンに気づかれたら君を置いて行くからなぁ~」


「鬼!、悪魔、人でなし、アホ、バカ、鬼畜、変出者、変態!!。」


「ご、ご、めm、なちゃい。も、う..やめて…。」


 外には、体育館で集会した後に皆が一斉に帰る時の足音並の数がこの建物に響いている。

 どんなけ居るんだよ。


「ゴブリンに君をプレゼントしたら俺見逃して貰えるかなぁ~」

「冗談ですよね?」


 泣きそうに見てこないで。

 横顔しか見えてないけどさ、今にも泣きそう。


「実際、君を助けてもメリット無いよね?」


「それは…・・あると言いますか、無いと言いますか~なんと言いますかぁ~」


「なんだよ、ハッキリしないな。良しゴブリ―――」


「あります。あります!」


「声が大きいぞ。」

「ハッ!」


 慌てて口を押さえても発した音は外に聞こえますよ?


「ギィ?」


 ほら。

 なんか反応したよ。


 俺の上に座ってるから震えが伝わってくる。

 この子よく、今まで一人で居れたな。

 頑張ってたのね。


「?。」


「そんな頭をしてなんだ? 嫌だったか?」


 俺は頭を撫でていた。

 だって撫でるには良いサイズ何だもん。

 てか抱き枕としても最適なサイズだよな?

 

「いえ、その・大丈夫ですッ。どうぞ堪能してください。」


 ほほぉ~ご自分の需要を分かってますか。

 まさか学校でもこうだったのだろうか?

 それなら遠慮なく堪能します。



「それで君の名前も聞いて無いけど、俺は伊藤ね。」


「わたし、葉隠(はがく)優花(ゆうか)って言います。今更ですがよろしくおねがいします。」


「え?まだ助けるって決まって無いからよろしくはしないよ?」

「えぇぇぇ、わたしの身体こんなに沢山触ったのにですか?」


 おい。

 その言い方は俺が悪いことしてるみたいじゃないか。


「なら俺は今すぐここを出ていってやろう。」


「ごめんなさい、冗談です。いくらでもどこでも好きなだけどんな時でも気が済むまで触ってくれて大丈夫ですので置いていかないでください、お願いします。だからよろしくおねがいします。」


 凄い。

 必死さしか伝わって来ない。

 なんか笑いが出てくる。


「よし、言質は取った。うん。」


「あッ。」


「そんなに口を開けてどうかしたのかね?」

「酷いです。こんないたいけな少女を騙すなんて…シクシクッ。」


「そしこの子捨てよう。」


「ごめんなさい。わたし良い子です良い子にしますから、それだけは勘弁してください。」


 油断すると直ぐに調子のいいこと言い始めるな。

 どうしてくれようか。


「それで優花は戦えないの?」

「はッ!いきなり呼び捨てだなんて、そんな…はず、か――痛いですぅう。」


「この口がおしゃべり何だな。こうしてこうだ。」

「痛いですぅう。ご.めん.な、ちゃいなの.で..すぅう。」


 後ろから両ほっぺを抓てる。


「それではよ答えんか!」


「うぅぅぅ。扱いが酷い..。ヒィぃぃい―ごめんなさい、わたしは戦えるけど一匹が限界です。」


「何故一匹なんだ?」


「わたし矢みたいな物を魔法で作って攻撃出来るんですけど、消費MPがおおくて、一匹倒し終えるとMPが無くなるんですう。」


「何だよそれ、INTにポイント振ってたらそんな事にはならないと思うんだが、どうなってるんだよ」


「……………………………………‥‥…」


 何故コヤツは答えない。


「ヒャ!、何シてるんですか。」


「なんで答えない?答えないならどんどん大変な事になるぞ?」


「うぅぅ脅しです。変態さんが脅してます。」


「そうかこの手は通じないか、ならゴブリンに引き渡すしか無いな。さぁ白状しやがれ。」

 

 大丈夫だ。

 まだ何もしていない。

 全年齢対象だ。

 ただ手に薬莢を持ってるだけだ。


「わたし…RESに極振りしたので、魔法攻撃力が全然無いんですよね、テへ♪」


「ゴンッ」

「痛いです。」


 げんこつを落とした。


「すまん手が滑って落ちたんだ。」

「ぜったい、うそだぁああ。」


 なんでそんな事を。

 極振りの人に会えるなんて。


 しかもあれだな?

「DEXにも振ってないから魔法の命中率も悪良いだろ?」


「……はい。」


「素直でよろしい。良い子は頭を撫でてやろうなぁ。」

「わ~い。お兄ちゃんに撫でてもらえるやったー。」


「「………」」


 何シてるんだろ、俺達。


「それでRESのメリットって魔法防御だっけ?」


「はい、それと同時に発動出来る数も増えたり防御系の魔法が強くなりますよ、お兄ちゃん!」


「よしよし、良い子だぞぉ。」


「んー♪。」


 やけに上機嫌だな。

 俺の呼び名はお兄ちゃんで決定なの?

 良いけどさ。

 

 それにしても不便だ。

 もうパーティーメンバーに入れてコレクション化してしまうか?


 発言がやばいけどそういうスキルだから仕方ない。

 それに言質は取った。

 違う意味でだけど。

 まぁ解釈次第の仕方がズレてるだろうが。

 優花と俺で。


 まぁ関係無いよな。

 やっちまえ!





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