31.圧倒的強者。
いつも誤字報告有難うございます。
街を歩いている。
だけど行きたい場所になかなかたどり着けない。
俺が目指しているのは10階だてのマンションだ。
この地域ではかなりの高さを誇っている。
最近建てられたのだろう。
そこに向かう理由は。
高い所からこの街を見渡したいからだ。
それにゴブリンが多すぎて街の西側には近づけない。
鉢合わせするゴブリンを全部倒してたらきりが無い。
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――
―
ようやくマンションに着いた。
マンションのエントランスのガラスドアなどは壊されていた。
中もかなりの荒れぐわいだ。
俺は階段を探す。
ほとんど見えないため、懐中電灯をつける。
元となる明かりが無いと夜目のスキルも効果が薄い。
だから普通の人が使ったらそのライト明かり弱くない?
のライトだが俺には十分見えるからこれでいい。
それに明かりが強いとゴブリンにまで悪用されかねない。
階段を上る。
10階の高さを階段で上がるなんて久しぶりだ。
これはかなり辛い。
階段で各階に着く度にその階の様子を少し見る。
どの階もドアが半開きだったり。
ゴブリンの反応もあった。
勿論無視して階段を上る。
やっと屋上のドアまで到達した。
屋上は鍵がかかってるのが定番か。
解錠スキルが役に立つぜ!
「………・・開かない。」
マジカヨ。
ここまで来てそれは無いぜ!
俺は解錠スキルのLvを2にした。
良し!開いた。
これで中に入れる。
中に入り施錠スキルで閉める。
閉める事は出来た。
なぞ。
俺は西側の柵に近づく。
アイテムボックスからスナイパーを取り出し構える。
このスコープは優秀だからな。
そして疲れてるしそのままうつ伏せになる。
今にも撃ちそうな体制だけど今は撃たないよ?
撃つ標的が居ないし。
西側を手前から見ていく。
「なんだよ、あの数。」
ゴブリンが5m間隔毎に1匹は居る。
それぐらい街に溢れていた。
どこを見てもゴブリン。
俺が多少殺そうが関係なさそうだ。
もっと西側の奥を見てみる。
学校が見えた。
学校の様子を少し見たがゴブリンが我が物顔で歩いてた。
恐らく全滅したのだろう。
明かりを探してみたがどこにも無かった。
モンスターにも見つかってしまうから外に漏れないようにしてるんだろう。
だけど生存確認が出来ない。
この地域は壊滅って判定にしとこう。
もっと奥を見る。
ゴブリンが沢山居るのは変わらない。
てか更に増えてる。
倍はいそう。
「どんなけ増えるんだよ!」
ゴブリンがなるべく密集している所を探す。
そしてどこが一番多いのか探していく。
見つけた!
かなり大きなアリーナだ。
それとその横に隣接するように建っている高層マンション。
このマンションよりも高い。
距離のおかげでそんな感じはしないけど。
てかあのマンション明かりが幾つかついてる。
火だ。
オレンジ色の光が見える。
「あの感じだとゴブリンの住処になってそうだな。」
ゴブリンだ。
高層マンションはカーテンがしまってるとかは無く。
巨大なガラス張りの部屋は中が丸見えだった。
優秀なスコープには感謝だよ。
距離は2000mぐらいだろうな。
ゴブリンの姿は見えるが何をしているのかまでは見えない。
見えてる距離ってに60m先って事だからなぁぁ。
まぁ見えるけどって感じ。
一階からなるべくちゃんと見ていく。
そして最上階。
「うわぁぁぁ~、居たよ。」
ソファーにふんぞり返ってるゴブリンが。
しかもオークみたいな体型をしてる。
確定です。
あれが親玉でしょう。
キングゴブリンとでも命名しましょう。
酒瓶をそのまま飲んでやがる。
なんて奴だ。
それに…
足元には女性が裸で倒れていた。
鮮明には見えないが、髪の長さやゴブリンって事を考えたら女性だろう。
もう少し高性能なら生きているか死んでるかの確認もできそうだが、これじゃ無理だ。
ゴブリンよ。
お前はそんな事をしてたのか。
お前ららしい、と言えばらしいな。
殺意が湧いてくるよ。
流石に。
あれ?
「....」
俺は今、スコープ越しでキングゴブリンと目があってる。
間違いない。
にらめっこ状態だ。
当然身体中に悪寒が走る。
この距離だぞ?
スコープ使ってやっとこっちは見えてるんだぞ。
「2000m以上を肉眼で見てくるってなんだよ!」
やばいだろ。
もう一度確認してもしっかりこちらを見てる。
やばい鳥肌が立ってきた。
剣のような物の切っ先を綺麗に俺に向けてきた。
そしてニヤつきやがった。
やばい危機感知も反応しっぱなしだ。
鳥肌が収まらない。
冷や汗も出てきた。
「やろぉってか?」
周りに居たゴブリン達が急いで部屋から立ち去った。
恐らく指示を出したのだろう。
俺の場所を伝えたか?
まぁ福田さん達の体育館からは1キロ離れているし、向こうの建物からは2キロもある。
福田さん達の方は安全だろう。
それに俺の方にゴブリンが来るならなおさら嬉しいだろうな。
「すぅぅう、はぁぁぁ...。」
先に喧嘩売ったのはそっちだよな?
俺は新しい弾を一つ作る。
弾頭の部分の雷管の起爆秒数を0.7秒に設定する。
これなら約1キロを超えた後に二度目の爆発が起き、そこから更に加速するはずだ。
この仕組なら。
この距離でも当てやすくはなるだろう。
そしてスキル爆弾強化Lv5を使う。
元のMP×5倍のMPを払う事で6倍の威力になる。
この一発でMP180分だ。
大人しく喰らえよ。
どこまで弾速が上がるかが分からないからこそ、雷管の秒数を感で決めざる負えなかった。
俺は集中する。
今までで一番集中してるんじゃないだろうか。
≪集中の熟練度が一定に達しました。レベルが2になります。≫
何気に初めて熟練度で上がった。
ちょっと嬉しい。
キングゴブリンは動かず酒を飲んでる。
俺が攻撃出来ないと思ってるのか。
それとも届く訳ないと思ってるのか。
どちらにせよ好都合だ。
距離2000
弾道の降下は爆弾の性能を信じて、頭一個分上に上げるだけにしよう。
気温、気圧、湿度は無視。
次に風向き。
今は南南西から4m/sぐらいか。
こればっかりは、この銃弾を試した事が無いから更に感だな。
恐らくかなりの速度が出るなら重力よりも空気の方が邪魔だ。
こんなの結局は想像と感でやるしかない。
俺は人差し指で引き金を引く。
引いた瞬間、耳を塞ぎたくなるぐらいの爆発音がする。
「ッ!」
さっきまで使ってた弾はほとんど無音だったのにこれは酷い。
その代わり爽快感はあるけど。
スコープで奴を見ていたら、ガラスにヒビが入った。
その為、部屋の中の視認性が悪くなる。
「チッ、見えない。」
そう思っているとガラスが弾け飛び。
キングゴブリンの姿が見えた。
その姿は見るからに激怒しており。
右手で右目辺りを押さえていた。
目に当たって生きてるのかよ。
死んで欲しかったよ。
そしてキングゴブリンが思いっきり叫ぶように身体を動かす。
「ゥォォォォォォ!」
聞こえたよ。
どんな声量してるんだよ。
まぁ良いや。
この続きはまた今度な。
キングゴブリン。
「帰りますか。」