30.
やって参りました。
福田さん達が居る初等部の体育館が見えるマンションに。
そのまま体育館に行こうとしたけどやめた。
何故ならゴブリンが群がってます。
「………」
福田さん達は一箇所のドアを開けている。
その周りには松明が置かれていたり、福田さん達はヘルメット型ライトを付けていた。
ドアを中心に守るように大勢の人が半円を描いて立っている。
戦っている人がこの短時間で良くあんなに増えたもんだな。
50人ぐらいは居るだろう。
ゴブリンの方は元々数が多いからその数倍は居るけどな。
でも一人当たり2,3匹倒せば全滅させられそうだけど…。
無理だな。
幾ら戦い始めたと言ってもまだ怖がってる人も大勢居る。
仕方ない援護射撃をしよう。
ゴブリンにはまた経験値になってもらう。
アイテムボックスからスナイパーとバイポッドを取り出す。
バイポッドを付けるのに少し手間取ってしまう。
「……………・・」
よし、なんとかなった。
マンションの手すり壁にバイポッドの足を置いて安定させる。
壁の高さがそんなになくて良かった。
俺の身長は160ぐらい。
壁がこれ以上高いと、俺はスナイパーの持ちて部分の高さを維持できない。
つまりバレルを体育館に向けれなくなり最悪、空しか狙えないかもしれなかった。
背が低いと不便だ。
良しそろそろ始めよう。
ボルトハンドルをお越し引く。
押し戻してボルトハンドルを倒す。
この動作をしてる時がなんだかんだ楽しいのだ。
後方で何やら指示っぽい事をしてるゴブリンを狙い撃ちする。
そして引き金を引く。
反則と言われれば反則なほどに音がならない。
これはこれでテンションが上がらない。
まぁ暗殺してると思えばカッコいいが。
そしてゴブリンに弾が命中。
弾は貫通し。
弾が貫通した衝撃でゴブリンその方向に倒れる。
怖い。
それと同時に達成感みたいなものもある。
複雑すぎるだろこれ。
これに喜びを感じては行けない気がする。
もう一度
ボルトハンドルをお越し引く。
押し戻してボルトハンドルを倒す。
強そうなゴブリンを優先して狙う。
ボルトハンドルを起こし引く。
押し戻してボルトハンドルを倒す。
ボルトハンドルを起こし引く。
押し戻してボルトハンドルを倒す。
福田さん達がゴブリンが急に倒れ始めた事に気づきだした。
福田さんが大声で何かを叫んでいる。
なんの指示を飛ばしたのだろうか。
気になるが気にしても分かるはずもない、後回しだ。
月明かりとライトのおかげで良く見えてるからこのままで問題は無いだろう。
俺は狙撃を続ける。
ボルトハンドルをお越し引く。
押し戻してボルトハンドルを倒す。
――
――
――
――
――
――
ゴブリンの数がまばらになって来た。
そしてゴブリン共は福田さん達が前に出て狩り始めたので撤退していった。
ゴブリンの敗北である。
てか俺何やってるんだろ。
なんでこんな事してるんだ。
ユナさんが助けるって言わなければ見捨ててた人達。
それを進んで助けてる。
わからない。
「まぁいいか、とりあえず市役所での話を福田さんに伝えに行こう。」
俺はアイテムボックスに武器をしまい。
体育館に向かって歩き出す。
体育館の周りには昼間のゴブリンの死体が妙に少なくなってた。
火葬したのか?
まぁ腐敗が進んだら色々マズイけど、市役所に移動するんなら...。
福田さんがまだ外で警戒中だったので直ぐに俺の事を発見して待っている。
あの人働き過ぎだと思う。
うん、少しは休まないとダメですぞ。
「こんばんは、福田さん。」
「こんばんはです、伊東さん。先程は助けて頂きありがとうございます。」
あららバレてラァ。
「いえいえ、それよりも大事な事を伝えに来ました。」
俺は市役所での会話を福田さんに伝える。
福田さんからは夕方にも襲撃があったと言われた。
俺達が帰った後にもゴブリンが攻めて来たのか。
短時間で2度の襲撃。
絶対親玉ゴブリンがちゃんと指揮を取ってるなこれは。
「夜の移動は危険ですけど、今からでも市役所に向かった方が良いかもしれませんね。」
「私も夕方の一度だけなら踏みとどまったのですが、こうも襲撃されるとまた夜中も襲われるかもしれませんから、先程ここに居た人達で話し合って移動しようと決まり、それを今は全員に伝えているところです。」
俺が提案する必要も無かったようだ。
「それに伊東さんからの情報のおかげで私達は、安心して市役所に向かえます。本当にありがとう。」
綺麗にお辞儀をしてまで感謝されてしまった。
「それは良かったです。でも勝手にやったことなので余り感謝しなくて大丈夫ですよ。」
福田さんが困った様子だ。
俺はあまり感謝されたくない。
いつからこんな性格になったのだろう。
「移動するなら早めが良いと思いますよ、今ならまだゴブリン側はこちらを殲滅出来たか出来ていないか情報を掴めてないと思いますから。」
「伊東さんはゴブリン側に知能が発達したものが居ると見てるんですね?」
「はい、恐らく居るでしょうね。高い確率でゴブリンの上位種が」
「いやぁあ、助かります私は小説とかゲームは全然でして、その考えには至れてませんでした。」
未知の事を考えるのは難しい。
柴犬の上位種が居ると皆は考えるだろうか?
深くは考えないだろうな。
存在を知ってたから可能性として考えられる。
俺だってバラノスの上位種が存在してるのかは分からない。
これはゲームや小説でその上位種を見たことが無いからだ。
だから居るかもしれないし居ないかもしれない。
だけどゴブリンは知識として上位種が居ると知っている。
ファンタジー作品でだけど。
だから先入観が持てる。
逆にこれが足を引っ張る時もありそうだけど。
待てよ。
死神さんはいったい……
あれが進化でなったのか元から死神さんなのかで話が変わってくる。
北側の調査もしないといかなくなった。
「こちらこそ、ありがとうございます。やらないと行けないあるので自分はもう行きますね。」
「どうか気おつけて、そして色々ありがとうございます。」
体育館から離れる。
静かな夜の街を一人で歩く。
やはり一人は良い。
最高だ。
それに人の文明の気配が消え。
明かりが消え。
星がいつもより沢山見える。
皮肉だよな。
地球温暖化と叫んでる人はこの状況を良く思っているのだろう。
だって今なら二酸化炭素の排出量は0.1%にも満たないんじゃないか?
これで地球温暖化は無くなったね!
って言ってやろう。
もしそんな事を言ってた奴に会えたのなら。