26.
無事に体育館に戻ってきた。
時刻は昼の14時前だ。
既に戦い疲れてた。
休みたいけどまだ休めない。
自分の家に帰らなければ。
それまではのんびりは出来ない。
しかも身体に更にムチを打つ事になるとは。
爆弾の在庫が無いに等しいので俺は素手で戦って帰らなければならない。
まぁユナさんが何も言わないでも勝手に倒してくれるだろうが。
おんぶに抱っこされている気持ちに既になっている。
「伊東さん、軌崎さん、お疲れ様です。お二人の心配は必要ありませんでしたな。」
福田さんが出迎えてくれた。
この人めっちゃ良い人よね。
逆に怖いよ?
「ゴブリンを40匹ぐらい倒したので二人共Lv5になりましたよ。」
「おぉ!、それは心強い!Lv5に到達している者は極わずかですから本当に助かります。」
「アイリちゃんの初期ポイントを使う作戦を決めたのは自分ですので、そのポイント分を稼いだだけですから気にしないでください。」
福田さんはそれでも感謝してきたので二人で受け取り。
そろそろ帰ると伝えて、また色々話をしながら俺達は学校を出ようとした。
福田さん達、避難民は市役所を目指すそうだ。
レベルを上げ。
他の校舎から食料を回収してから。
アイリちゃんとレナさんには、帰る時に会ったので。
俺達の住所と2、3アドバイスをしてからお別れした。
ユナさんがアイリちゃんから離れ無くて、苦労したのは別の話である。
「ねぇ私達これから家に戻って、休むの?」
「そうですね、僕としては家に戻ってユナさんに膝枕でもやってもらいながら休憩するのが理想ですかね」
「ふぇ!?、トキヤさん・冗談よね?」
「冗談ではありませんよ?」
ユナさんから煙が出てきて茹で上がりそうなので中止。
「まぁ理想なのは事実ですが、たぶんそんな暇はありません。」
「え、どうゆうこと?」
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「まぁ、こおいう事ですよ。」
「……」
俺達はちゃんと家に向かって歩いていた。
そして家の周辺に着いた頃にそいつとは出くわした。
大地震直後に一回しか見ていない。
オークさんです。
こうなる可能性は十分考えていた。
大地震から約38時間。
最初の6時間でオークが住処を決めたとして。
1日目から餌を探し色んな場所を襲う。
だが食料が足りるわけがない。
それに備蓄はいくらあっても有り難いもんな。
それで2日目になってまた違う場所を探す。
住処から少し離れた場所を探すとしても、オークは大地震直後には家の前の駐車場に居たんだ。
つまり比較的近くには居ることになる。
それで北は死神さんが居るからこっちに来たのだろう。
まぁ。東、南、西の三分の一の確立だが。
それか全方位で食料を探しているのかもしれないな。
「という事でよろしくおねがいしますね。ユナさん♪」
任せる。
全面的に。
「えぇぇ、トキヤさんが倒してくれないんですか?私、気が乗りません。あの体型は生理的に無理です。」
女性にそんな事を言われるとは、可哀想なオーク..。
「爆弾が無いので無理です。さッ、頑張ってください。」
「うぅぅぅ……・」
泣きそうなユナさん。
ごめんなさい。
後でお菓子上げるので許してください。
最初のコンビニで奪った商品ですが。
汚物を見るような目と顔をしながら近づいていくユナさん。
すげぇ~酷い事してる気分だ。
言い訳させてくれ、色々疲れて今にも倒れそうだし。
MPを使って爆弾を作成するのも精神的に辛いんだよ。
オークが動くと、ユナさんは過剰に距離を取る。
「もぉおおお、触ろうとするんじゃない!!」
オークの首が綺麗に切れ
頭だけが地面に落ちていき、身体も後から倒れた。
見事にスッパリ切れてる。
普通に凄い。
「さぁ、この調子で頑張りましょうか」
「え!?、家に帰らないの?そんなぁ~」
すげぇ嫌そうにしている。
「帰りたいんですか?、膝枕ですよ?」
「帰りましょ。私はそれで良いです。てかそれが良いです。」
嬉しいけどユナさんにはもう一言伝えなければなりません。
「今、ユナさんが戦ってオークを減らさないと大勢の方が被害にあいますが良いんですか?アイリちゃんとかも」
「それはダメ!!でもぉ…・。」
頭の中でどっちを取るか天秤にかけているのだろう。
頭を動かしながらめっちゃ考え事をしている。
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――
―
「オークを狩りましょう。」
恐らくアイリちゃんが天秤で良い働きをしたのでしょう。
感謝しなちといけませんね。
その後は家の周りのオークを狩っていく。
オークが同時に2体来ると、ユナさんでも苦戦してしまう。
やはりオーク1体でゴブリン3~4の脅威はある。
もう少し遠くに行って様子を確認したい。
だけど爆弾のストックが全然足りない。
ユナさんが2体同時に相手して。
俺が1体を引きつけてユナさんを待つ。
この戦い方で出来るのは数が3体以下までだ。
これ以上増えたり強い個体が出てきたら対応できなくなる。
それに考えたくはないが俺達より早いオークが居ないとも限らない。
いつでも逃げれるって思うのも危険すぎる。
ゴブリンだって俺の爆弾を使いまくったからどうにかなったけど。
今のステータスでも爆弾無しなら俺達は苦戦するし、最悪負けるだろう。
数の暴力程恐ろしい事はないだろうよ。
グンタイアリがその代表格だと思う。
平和な地球では。
ゲームの世界だと一番数が多くて厄介なのがゴブリンとかオークか?
それにしても東と西でオークとゴブリンに囲まれてる。
実は相当危険なのではないか?
「なんでこんなに急に増えたのよッ!!」
オークに文句を言いながら包丁で切り裂いてくユナさん。
致命傷になる攻撃が入っていない。
オークが器用に急所は守ってるようだ。
その代わり身体中至る所、肉を裂かれ血が沢山流れているが。
じわじわと殺してるみたいだ。
ユナさんにその意図が無いにせよ、この光景は色々やばい。
≪経験値を獲得しました。≫
ようやく倒れたか。
オーク1体1体が非常に厄介だ。
「あぁ、もういやぁ。お風呂に入りたい…」
お風呂かぁ~。
水風呂ならマンションの貯水タンク分なら入れるのか?。
「いっやああ。また来たよ...。」
「ユナさんそのオークは僕が倒しますよ。」
「ホント!?。よろしくねぇ~」
道端に座り込んだ。
女性が昼間に道端に座り込んでる場面なんて見たことがない。
基本家に居るからかもしれないが。
「ウォオオオーーー」
オークが吠えた。
「ンッ!」
ウルサイ口には飴ちゃん爆弾。
ピ!
ボフッ。
と口から煙は出るがやっぱり元気だ。
めっちゃ怒ってる。
人間で例えるなら口の中で風船が爆発した感じか?
風船がそもそも大きくて口には入らないという話はなしだ。
威力とかの話をしてるんだ。
次に小型爆弾を投げる。
これは密集しているゴブリンなら2、3匹は倒せるからまぁまぁな威力がある。
小型爆弾を投げるとオークは腕を顔の前に持っていきガードした。
ピ!
腕に当たる瞬間に爆発させる。
ゼロ距離で爆発させないと検証にならないもんな。
爆発した煙が無くなる。
オークの姿が徐々に見えてくる。
うんとりあえず生きてやがる。
まだちゃんと両足で立ってた。
代償として爆発を直で受けた腕は無くなってるが。
「まじかよ、勘弁してくれよぉ。」
飴ちゃん爆弾は小さいから口に投げても見えづらいはずだ。
でも小型爆弾はそれよりも大きいから、見えやすいし。
速度も多少は落ちる。
小型爆弾を口に毎回入れるのは無理だろう。
ならミスった時の事も考えると小型爆弾で倒すのは効率が悪いか?
そんな事を考えてたらオークが突進してきた。
残った片手でナタのような武器を持ったまま。
「もう良いよ。バイバイ。」
「ゥオ?」
ピッ!
オークの真下に普通爆弾を投げて爆発させる。
普通爆弾を真下から受けたオークは足などが飛び散り。
上半身が倒れ、死んだ。
「うぅ、ぐろいよ。トキヤさん」
貴方の身体中は切り傷を沢山つける光景もぐろいですよ?
自覚ないんですね。
「それよりこのままだとマズイですね、一旦帰りましょうかユナさんがお風呂に入りたいみたいですし。」
「い、いい一緒には入らないわよy!!」
誰もそんな事言ってませんよ。
それに流石に俺も無理です。
そこまで勇敢ではありません。