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22.


 体育館の中を覗く。

 そこには一匹のホブゴブリンと思われるモンスターが居た。

 それとユナさんが戦っている。

 体格は成人男性ぐらいはあり。

 ユナさんよりは勿論大きい。


 あのモンスターがドアを突き破ったのだろうな。

 俺の所には居なかったって事は上位種で数が少ないんだろうな。


 それにしてもユナさんが苦戦してる。

 戦闘モードのユナさんはスキルの短剣術も上手く使い。

 運動神経が悪いわけでは無いので近接戦はかなり強いはずだ。

 それなのに殺しきれていない。


 ユナさんが包丁で首や関節などの致命傷になりそうな場所を狙っても、ホブゴブリンは手に持っている、ナタの様な物で器用に防いでいる。

 爆弾を持っていない俺が行っても足手まといだ。

 ステータス的にも既に差が広がっているはずだ。


 委員長という職業を恐らく、勇者並にチートだと思う。

 俺の工作員とかはレベルが上がると。

 STRとAGIに1。

 DEXに2が毎回追加される。


 だけど委員長のレベルが上がったときではなく。

 プレイヤーレベルが上がった時に上昇する。

 しかもユナさんの今のステータスの+はレベル1毎に1上がる。

 学校に来てから二人で数百以上のゴブリンを倒している。

 もう近接戦のステータス値は抜かれているはずだ。


 だけど決着が付きそうには見えない。

 それに周りの人達は一箇所に固まってる人達と、数匹のゴブリンと戦っている大人達。

 怪我をしてその場で倒れている人も大勢いる。

 こんな状況で追加のゴブリンが来たら、壊滅だな。


 

 うぅぅ…

 辛い。

 俺は微かなMPを使い爆弾を作る。

 死にかけている精神力が飴ちゃん爆弾を一個作ったせいで俺は吐き気や倦怠感に襲われている。

 頼むからこのチャンスを逃さないでくれよ?


「おい!!ゴブリン!!!」


「ギぁあ??」

 ホブゴブリンが俺の声に反応してこっちを向く。


「くらえぇ。」

 

 俺は思いっきりゴブリンの口に向かって飴ちゃん爆弾を投げる。


「グっ!」


 急に物が入ってきて、しかも喉の奥に当たったのかな?

 苦い顔をしている。


 俺はそのままボタンを押す。


 ホブゴブリンはゲップするように口から煙を出した。


 もう十分だろう。


 振り向かせたし。

 口で爆弾が爆発したから多少は耳も聞こえづらいはずだ。

 それに加え何が起きたのか理解が出来ない事からくる混乱。

 そんな隙を作れば俺の仕事は終わりだ。


 ユナさんが微かにホブゴブリンの間から見えた。


 そのままホブゴブリンは前に倒れる。

 その首には包丁が綺麗に奥まで刺さりきっている。

 あれは確実に死んだだろ。


≪経験値を獲得しました。≫


 ほら。

 


 他のゴブリン達もホブゴブリンが死んで動揺している間に、周りの大人達に殺されていく。

 どうにか勝ったな。

 もうヘトヘトだが。


 ユナさんが駆け寄ってくる。


「トキヤさん、大丈夫ですか!?」


 何をそんなに心配してるんだろう。

 俺からしたら君の方が辛そうだけど。


 あれ?、視界が…・








――

―――

―――――

――――――――

―――――

―――

――







「はッ!」

 ここはどこだ。

 敵は!?


「落ち着いてください。ここは安全ですよ。」


 あ、ユナさんだ。

 俺は布団から上半身を急にお越し周りの状況を把握しようとしていた。

 昔、暴力がひどくて家でも毎日ビクビクしながら過ごしていたから、寝起きの思考力はまぁまぁ良いほうだと思う。

 家の外の階段の足音で目が覚めたりするぐらいだし。


 俺は腕時計を見る。

 時間は11時30分。

 一時間ぐらい寝てたのか。

 流石に限界だったのか、俺の身体。


「ごめんなさい。私が助けに行こうと言って、トキヤさんに無理をさせていることに気が付かず。そもそも私はトキヤさんが昨日死神さんと鉢合わせたから寝てない事を知ってるのに、それにただ徹夜しただけじゃなくてそんな生きている心地もしない場所で長時間、動かずに居る精神的疲労を全く考えていませんでした。本当にごめんなさい。」


 凄い色々と言われた。

 自己管理がなってないの一言で終わらせても別に良いのに。

 俺の判断で救助をすることを決めた。

 その時点でこうなっても、謝られる必要も責められる必要もどっちもない。

 本当に自己責任だと思う。

 これが逆だったら、俺の責任だろうが。


「別に謝らなくても大丈夫ですよ。」


「ッ!!、それは…もう私とは一緒に居ないと言うことでしょうか?」


 なんでそうなるんだよ。

 あ。


 昔の俺と同じか。

 余分に考えて相手が思っていない最悪の事態を想定する。

 心配性の症状だな。


「違うけど、ユナさんが一緒に居たくないって自分から言うんなら仕方ないな。」


「そんな、私は一緒に居たくないなんて言ってません。一緒に居たいです!。ッ....」


 ユナさん顔を真赤にして撃沈。

 顔を俺が寝ているベットに埋めています。

 

 勝者、トキヤ!!WIN


「なるほど、ちゃんと言質は取りましたよ?」


「あわぁわぁわわ。」

 言葉を言えていない。

 とは言っても、完璧にはまだ信用しきれてない。

 それが俺の悪いところなんだよなぁ。


 まぁ悪魔と言われようが何と言われようが構わない。

 俺は信じたい人を信じるだけだ。

 ユナさんだってつい、16時間前ぐらいに会ったばかりだぞ?

 こんな短時間で完璧に信用するほうが無理だ。


「ユナさん、ここの状況はどうなっていますか?」


「え、あッ、はい。避難していたのは249人、扉が破られてからの戦闘で32人重軽傷が居ますが、幸い死者は出ていません。」


「事務的報告をしている、ユナさんは秘書って感じですね。さっきまでのユナさんはとっても可愛かったですが。」

「もぉお、茶化さないでください。」


「死者が出なかったのは、ユナさんが助けに行ってホブゴブリンを倒したからでしょう。助けに来れてよかったですね。」

「ハイ!」


 笑顔で返事をするユナさん。

 こんな子を相手にしてたら俺が悪人って感じが強まるな。

 茶化したり、冗談を言ってないと居心地がすぐに悪くなりそうだ。



「すいません。失礼します。」


 誰かが入ってきた。

 

「福田さん、どうかされましたか?」


 ふむこの、消防士みたいなガタイの良いお兄さんは福田さんって言うのか。

 背も高いな180ぐらいはあるだろうか。

 それに鍛え上げられた筋肉。

 すげぇ~、俺も筋トレしてたけど背が女性と変わらないから途中でやめたんだよな。

 一般人よりもちょっと運動してる程度の身体だ。俺は。


「話し声が外まで聞こえてきて、起きたのなら私が代表としてもう一度お礼を言っておこうと思いました。貴方が伊東さんですね?助けて頂き本当にありがとうございます。」


「いえ、礼なら私に言うぐらいなら軌崎さんに沢山言ってください。彼女が助けに行こうって言いましたから。」


「いやいや、私一人だったら助けられて居なかったですよ。トキヤさんが一緒に来てくれたおかげです。」


「「…」」

 二人してお互いを見てしまった。



「勿論、軌崎さんにも感謝しています。それに何回もお礼は言ってあります。」


「そうなんですか?ユナさん。」


「はい。トキヤさんが倒れた後に色々話をしてました。」


 まぁ、話をしてないとこんな休憩場所は使わせてもらえないよな。

 普通は。

 ユナさんには後でお礼を言わないとな。



「福田さん!! 急いで来てください。」


 急にドアから知らない人がまた入ってきた。

 それもかなり慌てて。


「どうしたんですか山田さん。」


 半分髪が無くなっている、あの人は山田さんと言うのか。


「実は今、中等部の生き残りって言う人達が数名来ていて。」


「なんだって、それは本当か?」


「はい」


「良し直ぐに行こう。すまない二人共私はここで失礼するよ。ゆっくり休んでていいからね。」


「「はい。」」


 福田さんと山田さんは慌てて出ていった。

 それにしても生き残りかぁ~


 隠れててゴブリンが急に居なくなったから、出てきたのだろうな。

 とりあえず疲れた。

 休憩したい。







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[気になる点] >一緒に居たいです!。 感嘆符の後ろに読点と句読点はつけません。折角面白いのに書き方のおかしなところがちょいちょいあって気になります
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