15.苦労人(続)
「今、お茶出しますね。」
部屋に招き入れたからには最低限のおもてなしよね。
礼儀を忘れてはいけない。
確かここにあった。
滅多に飲まない○県産のお茶。
とりあえず男性にお茶を渡す。もちろんコップに入れてある。
お客様のコップなんて我が家にはない…
誰も呼ぶ予定なかったし...。
そんな事よりも
「えっと、まずは助けてくれてありがとうございます。」
礼儀正しく、しとけば後々の私の評価も変わるはず。
今は皆と会うことを考えないと。
「あの先程、どうしてあの状況になったのか聞かれましたよね?実は……」
とりあえず積極的にこちらから話をして行こう。
そして缶事件など一部は隠そう。
とくに謎の声の主に服を取られた話とかはとくに。
私は地震からさっきのゴブリンまでの事を話した。
「つまり軌崎さんは、Lv1って事ですか?」
「はぃ...。」
うぅ..
泣きたい。
そんなレベル1って言わないでよ。
女の子に、いや、まぁ成人してますけど。
モンスターといきなり戦えませんよ。ゲームとかすきだけどずっとやってた訳じゃないし。
「軌崎さん、職業は何を選びましたか?」
「えっと……・」
どうしよう、とても答えづらい。
てか答えたくない。
高校生までの学生なら委員長という、響きは良いけど、社会人が使うとちょっとおかしく感じる。
日本は学生の女子=委員長のイメージが強すぎる。と私は思うわ。
でも隠してもしかたないか…
「職業は『委員長』を選びました…」
「………」
ほらどおすんのよ、この間。
泣きたい。
「あの……どうしてそんなネタっぽい職業を?」
「私、小、中、高ずっと委員長をしてたので、指が勝手に委員長押してました。昔から一回も委員長を断らなかったからなんですかね、選択肢に委員長があったらソレ!みたいな…・感じです。」
嘘は言ってません。
指が勝手に押したんです。
それにネタって言わないでくだい。
確かにOLが学生の頃みたいに委員長名乗ってたら、色々とあれですけど。
「なるほど…・」
私はこの空気に耐えなければならない。
この職業の話が終わるまでの間だ、我慢よ私。
「とりあえず、ステータス教えてもらっても大丈夫ですか?」
「はい。わたしのステータスは…」
私はステータスを教えて行く。
どうよ。
ネタ職業と思ってたら案外強くてビックリでしょ。
顔に出てるわよ。
それにしても、私は避難所に行くにしても、皆とどうにかして連絡を取ったり、合流するにしてもこの人としばらくは一緒に居るのが良さそうよね。
外に出て普通に帰ってきて、女性がゴブリンに襲われてても素通り出来る精神をもってて、
まぁその心境はよくわからないけど。
そしてゴブリンをためらいもなく殺した。
強そう。
この人を利用しよう。
悪いようにはしないよ?
ただレベル上げてもらったり。
ね?
「私のステータスはこんな感じですが、トキヤさんパーティー組んでくれませんか?」
私は思い切って言ってみる。
この人は私をこの後どう使おうのかわからないけど、私には説得というスキルがある。
悪いけど、パーティーは組んでもらうわよ。
そして私はレベルを上げて自立するんだ。
「ぁ、はい、よろしくおねがいします。」
よし成功。
≪パーティー申請をトキヤに送ります。よろしいですか?≫
『あ、昼のお姉さん。お姉さんのおかげで今日は―
≪今、服と下着、全て同時に消しましょうか?≫
『ごめんなさい。それだけは勘弁してください。。困りますし、困るレベルを超えます。私が痴女だと思われるかもしれないじゃないですか。』
≪痴女でしょ?≫
『違いますから!!!』
≪皮膚感覚過敏化を上手く使ってくださいね♪≫
『この人、絶対分かってて言ってる。酷い。』
≪皮膚感覚過敏化のレベルを私が特別にレベルアップしときましょうか?強く慣れて感覚も良くなる、一石二鳥ですよ?後、パーティー申請は送っときました。≫
『全然、一石二鳥じゃありません!。それに送ったんですね。』
≪パーティー申請が受理されました。貴方は無事にトキヤさんのパーティーメンバーです。≫
『パーティーは組めたのね。とりあえず予定通りね。』
≪ユナさん朗報です。≫
『え!なになに、お姉さんから朗報と教えてくれるなんて、とっても良い朗報でしょうね』
≪スキル、コレクションの発動を確認しました。ユナはトキヤの所有物になります。≫
『え?、何を言ってルンですか?』
≪貴方の所有権がトキヤさんになったんです。つまり貴方のご主人様はトキヤさんです。以上≫
『はぁ?』
意味が分からない。
それにあの人はさっさと居なくなってしまった。
え?なに、私ってあの人の物になったってこと?
それってつまり…
逆らえなかったりするのかな。
でも説得を上手く使えばまだどうにかなるかもしれないし。
うんうん。
きっとまだ大丈夫。
「………・」
気まずい。
今日は良く気まずい雰囲気が訪れる。
「パーティー組めましたね。」
「えぇ、組めて良かったです。私一人では戦うのは無理そうだったので助かります。」
どうなるの、私はこの後。
でもトキヤさんから何も言ってこないならこのままでいいのかな。
変に私って、トキヤさんの所有物ですか?
なんて聞いたら私きっと、やばい人だと思われちゃう。
「近接戦は怖いですよね…、僕だってさっきゴブリンを初めて近接で殺しましたが、めっちゃ緊張しましたし。」
「え、なら外ではどのように戦ってたの?」
私は反射的にすぐ聞き返した。
戦闘に関する、事は少しでも知りたい。
「そういえば、まだ僕の職業とかも言ってませんでしたね。僕の職業とスキルは」
私が職業とスキルを聞いて最初に思った事は。
警察に電話したい。
私の前に人類史上トップクラスの爆弾魔が居ますと。
恐らくこの人は野放しにしてたら本当にそうなりそう。
それにこの人が後衛なら、、私は前に出て戦わないとダメなのかぁ―
「なら私が前衛で戦えば良いんですね。」
「そうですね。情けない話前衛やらせて申し訳無いのですが頼みますね。」
頼まれたのなら、私はやり遂げます。
なんだろう。
昔っから先生に頼まれたりしたら断らず、なんでもやってたのを思い出した。
「初戦、遅れをとりましたけど、次はちゃんと勝ちますので任せてください。」
「はい。では今夜はこの辺にして明日、Lv上げしながら今後の話をしましょう。」
え?
終わり?
そのまま、かえってくれるの?
私って魅了とかいう変なスキルも発動してるはずよね。
なんだか逆に自信無くなってきたわね。
いやいや、別に期待してたわけじゃないのよ?
一応、下着も着替えてたけどさ..。
「明日は朝は6時ぐらいには出たいので、そのつもりでお願いします。」
「わかりました。朝準備して待ってます。」
本当に帰って行った。
あの人まさか女性には興味がないの!!
それなら私は安全にレベルが上がるはず!!
これは嬉しい誤算だわ。
「明日、朝早いし眠ろう。」
私は布団に入り、眠りにつく。
明日から大変な気がするのは気の所為だろうか。
あの人物凄く変わってるけど、根はいい人そう。
素通りした時は、評価最低値だったけど。
明日から頑張ろう。
皆待っててね。
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