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101.α1


「ごッ"あッ...。」


 クソがッいてえぇぇ。

 猛烈な痛みと共に俺が目を覚ますとゴブリンが居た。

 

「ごァッ‥」


 もう一度腹を殴られ。

 完全に意識が覚醒した。

 手足は鎖で縛られ。

 座らされたまま手が上に上げられた状態だ。

 目だけを細め周りを見れば公園だと直ぐに分かり。

 目の前に雲梯の片側が見た。


 俺の手を縛ってるのは雲梯か。

 それにしても外はまだ暗いんだな。

 どくらい気を失ってたのだろう。


 ッ!?みんなは?


 

 俺は必死に記憶を遡ったが矢を喰らった事以外ロクに思い出せなかった。

 慌てて首を動かし目だけで見えない位置を見ても誰も―


「グッぅ。」


 こいつ‥絶対殺してやる。

 目の前に居るゴブリンが俺の腹を蹴りやがった。

 周りに人は居なく。

 代わりに何百、何千だろうゴブリンがうじゃうじゃ居た。


 それなのに騒がしさが無く。

 只静かに俺を見ている現状が逆に怖かった。

 目の前のゴブリンも気持ち悪い声で嘲笑う様な素振りもない。


 そうか。

 皆は逃げれたのかな‥

 

 きっと動けない俺は、捨てられたんだろう。


 まぁ恨みはしないさ。

 生きててくれたらそれで良い。

 誰だって自分の命が優先だからな。


 でも仮にだ。

 捕まってたり‥‥しないよな?


 ――それはそれで最悪なパターンだけど。

 

 先んじては我が身の安全だな。

 どうする。

 この縛ってる鎖は恐らく全身の力を使えばはち切れるだろうが。

 その後は爆爆大作戦か?


 最悪自爆すればこの場のゴブリンは吹き飛ばせるだろうが。

 俺はゴブリンと心中するつもりは毛頭ない。


「ギィ、ギギッギィ」


 一匹のゴブリンが現れ俺を殴ってた奴に何かを言っている。

 勿論ゴブリン語を翻訳してくれるスキルなど無く。

 言葉は分からなかったが。


 言われたゴブリンが俺の手を上で固定してる鎖を外し始めた。

 つまり移動させろと指示があったらしい。

 そのまま俺は無抵抗のままでいるとゴブリンに引きづられ。

 他のゴブリンも集まり手足をそれぞれ持たれ。

 移動され始めた。


 どうするもっと厳重な場所に連れて行かれたら面倒だぞ。

 今なら同時に手足を全力で引き合わせばこいつらは殺せるだろう。

 だけど、このままで良いか。


 こいつらの拠点に連れて行ってくれるのなら別に良いだろう。

 状況が全く分からない俺は誰かが捕まってる事も想定する必要がある。


 そのまま仰向けのまま移動されるが。

 名所程の有名な建物が見えない限りは現在地なんて分かりっこない。

 そんな状態のまま数分運ばれると校舎が見えてきた。


 ゴブリンって‥

 学校が好きなのだろうか。

 と思ったが思い返せば例外も居たし普通なのかも。

 それに広いから使い勝手が良いんだろうな。

 

 校舎に入り。

 割りと手前の教室に無造作に投げられた俺。


「いたたたっ。」

 

 仰向けのまま投げらればそりゃ頭も打ち尻も強打し痛い。

 許さねぇ。


「だい、じょうぶかい?」


 そんな弱々しい声で後ろから話かけられ。

 振り向くと痩せこけた中年の男性がいて。

 その後ろにも30人程の男性が一箇所に集まっていた。


「あ‥はい‥なんとか。」


 もどもどしながら答え。

 あまり元気だと悟られない様にした。

 見るかに皆疲弊していたからだ。

 

「君もゴブリンどもに捕まったのか‥気の毒に。」


「え‥あ。その、皆さんも?」


「ああ、俺らもあの忌々しいゴブリンどもに‥」

 

 ボロく汚れたシャツを着た30代ぐらいの男性が、目に見えて分かるぐらいの怒りで小さな声でいってきた。


 向こうは教室に差し込む微かな月明かりで、俺の顔の表情がハッキリ見えないからだろうが、俺には怒りで変わりゆく顔がハッキリ見えていた。


「皆捕まった日は別々だけどね、もうずっとこの教室に閉じ込められてるよ。」


「出ようとは考えた人は‥」


「いたけどね、そりゃこんな鎖を付けたままでロクに動けず、外で待機してるゴブリンにあっさり捕まり‥‥その、見せしめに、殺されたよ。」


「それにだ、ヤツらロクな食物もよこさねぇからな、日に日に弱ってくそくらえってんだ。チッ」


 怖いこわい。

 もう怒り爆発寸前じゃんこの人。

 最初に話しかけた来た人はその行動で分かるがまだ穏やかだけどさ。


 それにしても、やはり明確な敵がいる状態だと新たに入れられた人でも、直ぐに色々話してくれるな。やはり憎む共通の敵はゴブリンってか。


「あっ、あの!実は俺一緒に行動してた女性が居るんですが、此処には連れてこられたりは。」


「‥可哀想に。」


「あぁ。」


 あ?

 何を言ってるんだ。


「此処は見ての通り男しかおらんよ。女性が捕まったのなら、奴らの遊び相手じゃよ、言わずともわかろう?」


「‥‥そのどの辺りに捕まってるか、分かったりしますか?」


「なんだおめぇ、入って早々に抜け出そうってか?」


「捕まってる可能性があるのなら、早めに助ける。違いますか?」


「そうだけどよ、」


「恐らくだが、奥の校舎だと思う、もう捕まって3日経ってる者もおるが、教室の前を連れて行かれるのは男性だけだからな、恐らく女性はルートが違うとな。」


「有り難うございます。」


「おっおい、あんちゃん本当に今直ぐやろうってか?捕まって殺されるのが落ちだぞ。」


 そうか。

 此処の人達は戦える程のステータスが無いんだ。

 恐らく捕まる時に何らかの基準で選定され。

 集められてる。

 そして俺は偶か。

 逃げてる途中で仕方なく置かれ。

 意識不明のまま弱い扱いされた。


 そんなところか。


 だから監視の目も少ない。

 逆に言えば強かったら殺されてたかもな。

 男は邪魔でしか無いし。

 なら何で生かされてるんだ?


「あの、捕まったら一度も連れ出されたりは?」


「それなら定期的に数人連れて行かれる、弱ってるやつから。」


 それって餌なんじゃ。

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