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第七十二話 (副題未定)

 二番隊は怪物を取り囲むように、陣を構成し、結界を張る。

 怪物たちから街を守る為である。


 ディーンは、八の字を描くような脱力した構えで両手に二刀を構え、表情を消す。

 そして、向かってくるグールたちに呟いた。


「ごめんね。君たちを外に出すわけにはいかないんだ」


 低く唸りながら、虚な表情で走ってくるグールたちの群れに、ディーンは無造作に突っ込んでいく。


 フランクスたちは、変貌した級友たちに刃が向けられるのを見て叫ぶ。


「ちょ…… ちょっと待ってくれ!」


 しかし、彼らの願いも虚しく、ディーンがいつの間にかグールの合間を駆け抜けると共に、ピタリとその動きが止まった。


「恨んでくれて構わない」


 全てのグールたちの首が地面に転がり、残った胴も音を立てて地へと倒れた。


「……あああああ! 私の部下がっ⁉︎」


 嘆くフランクスたちに、アンナは嗜めるように説明する。


「グール化した者を元に戻す方法はありません。グールに噛まれれば、噛まれた者も体液を取り込み、グールとなる。わかりますよね? ご理解ください」


 がくりと葛折れながら、フランクスはアンナたちを睨んだ。


「クソッ……! 二番隊! 覚えておけよ!」


(はあ……! 厄介な人だなあ)


 心のうちでため息を吐きながら、アンナは部下たちに指示を送る。


「その人を早く避難させてください」


「……くっ! 待てよ! アイツには一言言ってやりたい!」


 騎士たちに肩を掴まれながら、睨んでくるフランクスにアンナは面倒そうにジト目を向けた。


「ほらほら、また怖い目にあいたいですか? あなた達からは聴取する事もありますからね?」



 唸りをあげる烏賊に向き合いながら、ディーンは二刀を構える。


「さあて…… 次は君の番だけど、デカイな、君。やれやれ」


 ディーンは徐々に迫り来る大きな烏賊を見つめながら、話しかけてみる。


「何処から来たんだい? 君、意思疎通は出来るかな?」


 アンナは余りにも緩いその行動に思わず、怒った声を上げた。


「隊長!」


 デミウルゴスは唸り声を上げると勢いをつけて、飛び跳ね、ディーンへと突進してきた。


「べザンダナギバヅゥゥゥ!!!」


 デミウルゴスは地面へと激突すると同時に、悲鳴のような雄叫びを上げる。


「ギシャアアァァァァァァァァ!!!!」


 見ると、触手が2、3本切れて転がっている。

 ディーンが突進をかわすと同時にデミウルゴスの触手を切り裂いたのだった。


「やれやれ…… 言葉は通じない、か」


 ディーンは構え直しながら、そんな事を呟くが、アンナの怒った声がその耳に届く。


「隊長! 話なんか通じないの見たら分かるでしょ! 真面目にやってください!」


「はいはい、アンナちゃんは怖いなあ。これでも僕は真面目なんだけど」


 再び、デミウルゴスは唸り声を上げ、ディーンへと突進をする。


「……ブゲマダダヤアザァ!!!」


「おおっと」


 再びかわすと同時に、ディーンはデミウルゴスの触手を空中で回転しながら、4、5本切り落とす。


「プギャギャビャン!?!?」


 切れた触手から紫色の血を流しながら、デミウルゴスは地面を転がる。


 ディーンは飄々とした態度のまま、大きな烏賊を見遣る。


「ふう。君、そのうち手が無くなっちゃうよ?」


「ブギギ……!」


 しかし、デミウルゴスの触手はしゅうしゅうと白い煙を上げながら徐々に切り口から再生を始める。

 ため息を吐きながら、ディーンは二刀の構えから脱力した。


「そうか…… 再生持ちかい。厄介だねえ、やれやれ仕方ない」


 ディーンの二刀に別々の種類の魔力が纏い、その形が変化する。

 右手の剣には水の魔力が集約し、刃が水流そのものとなり……


「水桜剣アーヴァズ!」


 左手の剣には炎の魔力が集約され、炎で造られた刀身となった。


「炎華剣イブリーダ!」


 変化した両手の剣を構え直しながら、ディーンは余裕の表情でデミウルゴスを見つめる。


「君と遊ぶ気は無いよ。これ以上暴れられちゃ迷惑だからね」


 戦いを見守っていたアンナはホッと息を吐き、呟いた。


「ふう…… やっと少しは本気を出してくれましたか…… これで終わりですね」






 ◇





 ラウム宮殿の隠し通路に近いセーフハウスでは、マリアを始めとするズィーゲン一行が状況を伺いながら避難していた。

 アグレアイオスは用意された椅子に座るマリアに改めて謝罪する。


「このように狭い所で、恐縮です、殿下」


 マリアは首を横に振りながら、今も脅かされているであろう街の事を思う。


「いえ、私は何ともございません。むしろ、優先してこのような所に避難させていただき心苦しいです」


「とんでもございません。何よりも大切な御身ですから」


 マリアは扉付近や、部屋を固める部下や騎士たちを見つめながら、自分が手厚く守られている事を改めて自覚する。


「重ね重ね貴国の厚いもてなし、感に堪えません」


「いえ、こちらこそテロの首謀者を捕らえられず申し訳ありません」


 そしてアグレアイオスは通信デバイスに送られてきた中継映像を確認した。

※補足的な人物紹介


ディーン・J ・ロジャース

26歳

183センチ

82キロ

伯爵家の出身

第二部隊の隊長を勤める


アンナ・キャヴァディッシュ

21歳

153センチ

名門侯爵家の出身

第二部隊副長

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― 新着の感想 ―
[一言] 退治はできましたが、首謀者は残ったままですね。
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