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第三十三話 描かれた幻想の奇跡たち④

「来るぞ‼︎」


 砂埃が晴れると白銀の騎士が閃光のような勢いで砂埃をかき分け、ブルーマキシマムの右方へと迫る。

 そして首筋を目掛けて白刃を繰り出した。

 信じられないことにその動きはまるでダメージを受けてないように見える。


 鈍い音と共にブルーマキシマムはクロフツの斬撃を右手で受け止めた。

 それは並の達人であれば反応すら出来ない速度であった。


 驚くべきことにヒーローたちの先程の猛攻を受けながらクロフツの鎧には傷一つついていないようだった。

 ブルーマキシマムは笑みを浮かべながら、クロフツの兜の目元辺りを見つめる。

 冷たい眼光のみが彼を見つめ返してきた。


「……とんでもないヤツだな、君は ひょっとすると我々が今まで戦ってきた中で最強の部類かもしれない」


 クロフツは答えず、マキシマムの手から剣を抜くと閃光のように斬撃を繰り出してきた。

 ブルーマキシマムは後退しながら次々と繰り出される斬撃をかわし、いなす。


「だが、我々は君と力比べに来たわけではない。手段を問わず全力でとらせてもろうぞ」


 そして、クロフツの上段からの斬撃をかわし、降り切ったタイミングでその腰を掴む。

 ブルーマキシマムがクロフツを掴んだまま回転しながら一気に上空50メートル程飛び上がった。


「ブルー‼︎ パイルドライバー‼︎」


 青いオーラがブルーマキシマムを包み込み、重力も加速へと連なり凄まじい勢いで回転しながら落下を始めた。

 コンマ数秒後には轟音と共にクロフツの頭が地面へと叩きつけられ、濛々と砂埃が上がる。


 クロフツへの攻撃はこれで終わりではない。

 守護霊の力で建物を飛び越えてきた王太郎がすかさず追い討ちをかける。


水晶の宝瓶ベルベット・アクエリアス


 再び王太郎と守護霊以外の時が止まる。

 ブルーマキシマムの手を離れ、頭を地面にめり込ませた銀色の騎士の身体に向けて守護霊水晶の宝瓶ベルベット・アクエリアスは全力の拳をマシンガンのように放った。


『ゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラ‼』


 数十発の拳がクロフツの全身に命中したが、止まった時が終わるその瞬間だった。


「なにっ⁉︎」


 クロフツの腕が微かに動き、水晶の宝瓶ベルベット・アクエリアスの拳を数発防いだのだった。


 時間停止が解け、クロフツは彼方へと吹っ飛んでいく。


 ブルーマキシマムは王太郎を振り返った。


「どうだ? 少しは削れたか? 本当に頑丈なヤツだ……」


 クロフツが吹き飛んだ方を見つめながら王太郎は答える。


「気をつけろ、マキシマム。ヤツは一瞬だけだが止まった時の中で動きやがった。一度俺の技を喰らっただけで止まった時間という概念を認識し、その世界に入門してきやがったんだ……!」


 それはあり得ない事であった。

 王太郎と水晶の宝瓶ベルベット・アクエリアスの専売特許である「止まった時の中」を認識し、微かであるが攻撃を防いだのである。

 つまりクロフツの強度は才能とか数十年の修行の成果とかいうレベルではない……


 ブルーマキシマムは驚きながらクロフツの飛んでいった方を見つめる。


「……何⁈ アレは何者なのだ……?」


 その時、砂埃の方からくぐもったような、それでいて澄んだ声が響いてきた。


『……素晴らしい 数世紀ぶりに心躍る闘いだ』


 ガシャリ、ガシャリ、と地に足をつけ音を立てゆっくりと歩いてくるその様は天使か悪魔か……

 相変わらず無傷のまま向かってくる白銀の騎士クロフツにブルーマキシマムと王太郎は身構える。


「野郎……! 遂にしゃべりやがったぞ……」


「防御面は任せたぞ、王太郎。私が迎え撃つ」


 ブルーマキシマムは全身から青色のオーラを迸らせ、徹底的に肉弾戦をやりあう構えを見せる。

 その時、顔の見えない白銀の騎士が密かに微笑んだような気がした。


『見せてやろう、私の本当の力の片鱗を……』






 ミスタートールは加速をつけて手に持ったハンマーを振りかぶる。

 もちろん狙いは樹木に囚われたネスだ。


「フンッ‼︎ オラッ‼︎」


 豪快な一撃が樹々を薙ぎ倒すが、ネスを捉えた手応えはない。

 上方を見ると枝に腰掛けたネスがニコリと微笑んでいた。


「危ないわねえ」


 忍びの王であるカグヤマの忍術から一瞬で抜け出したネスの技量を認めながらトールは舌打ちする。


「チッ! あの木から逃げやがったか」


 嘲笑うような表情で枝に腰掛けたままネスは足をぶらつかせる。


「こんなものかしら? ねえ、時間が無いんでしょ? 全力で来なさいな」



火遁かとん超級連弾ちょうきゅうれんだん!!」


 カグヤマが印を結ぶとネスに向かって手元から炎弾が発射される。

 轟音を立てて枝の上にいるネスに命中したように見えた。

 砂埃が舞い、破壊された木々の辺りを見つめながらトールはハンマーを構え直す。


「……当たったが生きてやがるな」


 カグヤマはトールの横に並びながら身体のチャクラを整え直す。

 ……ヒーロー達は優勢に見えるがもうエネルギーは残り少ないだろう


「やはりあの少女の形・・・・をしたものは普通の人間ではない。私が動きを止める。お前が全力の一撃を叩き込め」


「了解したぜ、旦那」


 トールが頷くと同時にカグヤマは疾風のような速さでネスのいた辺りに迫る。

 砂埃が晴れるとネスは当然のように顔を顰めながら服をはたいていた。

 ……ダメージはない


「あーあ、服が汚れちゃった。この姿で乱暴な事はしたくなかったけど仕方ないわねえ。熱烈なラブコールに応えて遊んであげるわ。本当にいけないお兄さんたちね♡」


 木に登り、ネスと対峙するカグヤマは印を組みながら問う。


「黙れ、邪悪なる者よ。いったい貴様は、いや貴様らは何者だ?」


「さあ、ねえ!」


 返事の代わりにネスは手元から黒いエネルギー弾を放った。

 攻撃を飛んでかわすと共にカグヤマは印を組み終え、ネスの間合いへと入る。

 ネスが虚空より取り出した剣を蹴りで跳ね上げ、技を放つ。


光遁こうとん椰光疾拳やこうしっけん!」


 光のオーラがカグヤマの手足を纏い、同時に拳足がネスの身体を打つ。

 掌打が喉元を穿ち、蹴りが脇腹を捕らえ、拳が左右同時に鳩尾へと突き刺さり、ネスは吹き飛ぶ。

 轟音を立ててネスは樹木へとめり込んだ。


「ひっどーーい! 女の子にこんな事するの?」


 しかし、ネスは微かな血すら流していない。

 まだそんな軽口を叩く余裕がある相手にカグヤマは内心で呆れと焦りを覚える。

 だが、更に攻撃を続けるしかない。

 印を結び、カグヤマはすぐさま向かってくるネスに更なる技を繰り出す。


「……九泡照縈くほうしょうえい‼︎」


 カグヤマはチャクラを増幅させ赤く灯った拳足で再びネスを穿つ。

 先ほどより威力と手数を増した連撃にネスは轟音と共に地面へと激突した。

 ネスは不敵に笑いながらめり込んだ地面から空を見上げる。


「……へえ、今のはちょっと効いたわよ? ……あれ? 動けない?」


 一時的に動きを封じるチャクラを叩き込まれ、ネスは指先一つ動かせない。

 カグヤマはトールを振り向き叫んだ。


「やれっ! トール‼︎」


 バチバチと音を立ててトールは雷撃の魔力をその槌へと込め終わっていた。

 息を吐き、やがて槌を振りかぶったままネスの方へと疾走する。

 恐らく、この一撃がヒーローたちの手持ちの技で最大の威力のものである。


 ……バチッ!! バチバチッ‼︎


 青白い雷が槌を纏い迸る。


「砕け散れっ‼︎ 雷神帝の槌トールハンマー‼︎」


 槌が振り下ろされたと同時に凄まじい轟音が起こり、ビルの高さを超えるほどの光の柱が上がった……!

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― 新着の感想 ―
[一言] 敵キャラも魅力的ですね。
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