おまけ:一方そのころ
レオーパレス、ライオンの王様と、100人の王妃が住んでいた……今は一人減って99人だが。
レオー:「我が国の軍事力はぁ〜、宇宙一ィィ!!!」
突然だが、レオーは戦争大好きである。
☀️レオーパレス・王の寝室☀️
午前6時、人工太陽が登るころ、ガバッと起床、すぐさま獅子メイドが王者のマントを着せる。
ベランダで、深呼吸、空を見上げて口を開け、
レオー:「すぅぅ……ガオォォォォォォォォ!!!!!!!!」
ちゅーん……ぼかーん ( 破壊光線 )
レオー:「ふう。スッキリしたぜ」
目を細くして、ご満悦です。
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☀️レオーパレス・運動場☀️
99人の子供たちが、教師に見守られながら、岩やらサンドバッグやらを殴り続けている。
レオー:「おう息子たちよ、調子はどうだ?」ビリッ
陽気な顔して静電気、子供たちがピクリと肩をゆらす。
息子:「父さん、【獅子流星拳】覚えたよ」
息子:「レベル80になったよ」
息子:「順調だよ」
自然なようで、ひきつった笑み。少しでも遅れると何をされるか分かったものではないのだ。
レオー:「そうかそうか順調か。」
息子たち:「「……」」にこにこ
白いスーツを装備して、キュインと音をさせんがら、象さんみたいな岩の前、拳を下げて、アッパー!
岩が遠くへ飛んでいく。
レオー:「うむうむ、その調子で頑張るんだぞ。ちなみにオレは……」
かがんで、地面にツメを差し込む。
上腕二頭筋が、ゴツゴツと盛り上がる!
レオー:「ふぬぬぬぬ……ふーん!」
ガバァ!(地盤を持ち上げる)
息子:「うわ、うわうわ」
息子:「ちょ、ゆれる」
息子:「うわー」
砂がパラパラ。
城ごと地盤が垂直になる。
子供たちは、ツメで地面にへばりついて、なんだか冷蔵庫のキャラ磁石みたいでしたとさ。
レオー:「がっはっは。【パワードスーツ】なしでもこのくらいはできないとな。」
と、岩盤を砕いてしまう。
レオー:「あと10年もすれば適当な惑星に戦争ふっかけてやる」
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☀️城内・静かなカフェ☀️
ママA:「また戦争?」
ママB:「やーねー」
ママC:「ウチの娘、書道が得意だったのよー」
ママA:「あんらー」
ママC:「でもあの人、頭がゴリゴリじゃない」
ママD:「ねー」
ママE:「わかるーウチもよー、楽しそうにピアノひくの」
ママB:「もーやんなっちゃうわ」
ママA:「戦争なら一人ですればいいのよ」
みんな:「「「 ねー 」」」
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☁️レオーパレスの近所・荒野の惑星☁️
草もカラカラからっ風。ハイエナとコンドルがのっそり徘徊する。ライオン獣人とハイエナ獣人、遺骨の山から青い浮島を見上げている。
ハイエナ:「ひょー」
ライオン:「まーたやってるねぇ」
双方メガネをかけている。地べたに新聞広げ、レオーパレスの方角を見上げる。ちょうど破壊光線を撃ち終わったところだ
ハイエナ:「あー、腹減ったなー。生肉もう一カ月も我慢してるんだぞ」
ライオン:「ああ。レオーの奴、なんでもかんでも独り占めしやがって」
ハイエナ:「あー、生肉生肉、生肉食いてーなー」
バサッ バサッ バサバサバサッ!
(コンドルの羽音)
コンドル:「おーい、大変だー、ビッグニュースだ」
ライオン:「なんだいなんだい。いつものガセネタか?」
コンドル:「違うんだ、今度の今度はとびきり爆弾ネタだよ」
一呼吸おいて、
コンドル:「ママトがいなくなったんだよ」
ライオン:「なにー!?」
ハイエナ:「うっそーん」
コンドル:「レオーが娘を虐待して愛想を尽かされたんだとさ」
ライオン:「ぶふっ、まじかよバカじゃん」
ハイエナ:「生身で巨大戦艦をワンパンする化け物だったのに」
ライオン:「まさか【熱拳】を手放すとは、所詮パワーだけの脳筋よ」
ハイエナ:「てかこれ適当に攻めこめば勝てるんじゃね」
ライオン:「あわてるな、いましばらく機会を待つとしよう」
コンドル:「ククク、クーデター」
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☁️通話・サバンナ〜王都☁️
勇者:「もしもし」
ヤギー:「もしもし、こちらヤギー」
勇者:「ヤギーさんですか、お久しぶりです」
ヤギー:「ご無沙汰しておりますメー。実はですね……」
(説明中、ゴブリンドラグーンの一件)
勇者:「マジですか!?」
ヤギー:「マジですメー」
勇者:「レベル1200でHP12億とか、100人パーティーで3時間はかかりますよ」
ヤギー:「それがですね」
(説明中、ママトの件)
勇者:「ブッ、うっそー、化け物じゃないですか」
ヤギー:「そうなんですよ」
勇者:「えー、超火力をあたたたたーって、こわ、こわすぎますよ、世紀末……」
(しばらく談笑が続く)
勇者:「失礼しました。では要件というのは」
ヤギー:「そうです。いくら強くても病人に任せるわけにはいきませんメー。加勢をお願いするメー」
勇者:「分かりました。」
ヤギー:「報酬は」
勇者:「いえいえ必要ないです。その代わりですね、えーと、……」
(少しもったいぶって、しゃべり出す)
勇者:「実は先日、娘が7歳になってですねーもうキャワイイのなんのキャワキャワでしてですね、うへへへへ……」
ヤギー:「え、あ、はい」
(タップリ3時間、自慢話に付き合わされたのでした)
勇者:「むちゅめー」
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◯とある家・リビング
ベージュ色のソファーに二人の母娘。
母はアオハ、ブルーの髪の聖女。
娘はラサキ、アジサイ色の女の子。
並んでゆらゆら揺れている。
アオハ:「ラサキちゃーん」
ラサキ:「はーあーい」
アオハ:「来週からお出かけよ」
ラサキ:「わかったーーよ」
アオハ:「…………あらぁ」
ラサキ:「んー?」
アオハ:「行き先は聞かないの?」
ラサキ:「あー、えっと、どこいくの?」
ナナメに見上げる母のくちびる
アオハ:「んふー♪……ああ、そうね。行き先は【サバサバタウン】よ」
ラサキ:「【サバサバタウン】! ほわー」
よく分かってないけど、とりあえず目がキラキラする。
ラサキ:「ライオンさんいるの?」
アオハ:「えっと、どうだったかしら?」
人差し指をアゴにあて、天井を見て、冒険の思い出……ほわわわーん♪
七年前のサバサバタウン、ヤギ獣人の司教、牛獣人の農家、カラスのハーピーのパン屋さん……
ラサキ:「ままー?」
アオサ:「ウッ」
ラサキ:「じぃ〜……」
アオハ:「え、えーっと」
キラキラした目、母の胸の中のハート型の何かがプルプルしている。
アオハ:「いるよ、きっといるよ、…たぶんね」
ラサキ:「やったぁー」
言ってしまった。
母アオハは、青いまゆげをへの字にして、あらあらまあまあ困ってしまいましたとさ。
ちなみに、勇者の名前は『アカン』です。