眠れる獅子
獅子流星拳はまだうなりません。
☀️サバサバタウン 自宅☀︎
ママト：「げふっ」
シシハ：「ママーッ！？」
大変、ママが血を吹き出しちゃった。
メロンパンがべったりなの！
シシハ：「ママ大丈夫？」
ママト：「大丈夫大丈夫。ちょっと血を吐いただけなの〜」
シシハ：「大丈夫じゃ、なーい！」
ママト：「あらぁ〜」
もーう。娘を心配させるなんて、とんでもないママね。
シシハ：「ママ、横になってなさい」
ママト：「え、ええ？ 大丈夫──」
シシハ：「だーめ」
背中をグイグイ押してやるの。
やっぱりママはアタシがいないとダメダメなの。
ママト：「あ、あらあらぁ〜」
はいはい干し草ベッドにざざーん！
シシハ：「お医者さんつれてくるから、おとなしくしてなさい」
ママト：「あ、あらまあ、わかったわ」
シシハ：「うむ、すなおでよろしい！」
さぁ三時の日の下へ。もう一走りしましょ。
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シシハがぱたぱた走るとき
タンポポみたいな髪の毛と
三角耳を囲む毛が
ぴこぴこふさふさ揺れるんだ
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☀️サバサバタウン 病院への道☀︎
走る〜走る〜、カサカサの〜、地面〜♪
昼下がりの太陽で、髪の毛がジリジリ〜。
シシハ：「はっはっはっ…」たったか
病院は〜、北の岩場〜。
バナナツリーの道の先〜。
しっぽを腹巻きにして〜、走るの〜♪
狩人：「いやー大漁大漁」
狩人：「おうシシハちゃん、ほれほれ活きのいいオークだぞー」
シシハ：「ごめん今急いでるの」
狩人さん、狩人さん、いつも新鮮なお肉ありがとう。
カラスと象とチーターのコンボ攻撃はすんごいの〜。
見えたよ見えたよ石の洞窟。
ヘビの女医さんがいるのよ。
バンバン
シシハ：「ヘビー先生、ヘビー先生、大変なの、メロンパンが、血が、ぶはっ、ぶふぉーって、もう」
ヘビー：「ああ？ なんだいなんだい、急患かい？」
わちゃ、わちゃわちゃ、血が血が血ーなの。
たすけてボールペンくるくる先生ー
ヘビー：「はい深呼吸。吸ってー」
シシハ：「すー」
ヘビー：「吐いてー」
シシハ：「はー」
ヘビー：「はい。誰が何をしたって？」
シシハ：「ママが血を吐いたの！」
ヘビー：「なんだってー、すぐに行こう」ガチャガチャ
ふう。なんとか伝わったよ。
ヘビー先生は、グレーなウロコの女医さんよ。ヘビ獣人なの。
手足も胸もデカイの。筋肉が大蛇なの。
だけども顔は美人さん。
ヘビー：「よし行くよ。おとなしくしてな」ひょい
シシハ：「わわ？」
肩に乗せられちゃったの。軽々と。
ドシドシ ドシドシ
空は昼下がり。
まんまる太陽はサバンナの大地に触れないけど、絶妙にまぶしい位置にあるの。
ドシドシ ドシドシ
だだっ広い道を、ずんずん行くの。
太陽は右ナナメ上、右目がまぶしいの。
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シシハ：「ただいまーママママママ、お医者さんよ」
ヘビー：「ヘビーです。」
ママト：「あら〜、いらっしゃいませぇ〜？」
シシハ：「何言ってるのママ、先生はやく」
ヘビー：「あいよ」ガチャン
リュックから、聴診器を取り出して、アルコール消毒。
ママとヘビー先生が向かい合うの。
ハチミツのような甘ったるいママ
そして大蛇の女医さん。
ヘビー：「はい失礼しまーす」
ママト：「どうぞ〜」
トントントン
服をまくって聴診器を当ててるの。
ヘビー：「はい口開けてー」
ママト：「あ〜」
喉ぼとけが見えてるの。
ヘビー：「目」
ママト：「は〜い」
充血してるね。
ヘビー：「耳ー」
ママト：「は〜い」
ケモ耳の奥に、ペンライトを当ててるの。
ヘビー：「ステータス」
ママト：「はーい」
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ママト Lv999
種族：ライオン獣人（ケモ度12%）
HP：449100
MP：0
状態異常
・HP90%減
・魔力消失
・遺伝子損傷
・ホルモン異常
・白血球減少
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ヘビー：「あーまた【ケモ度】が下がってるね」
ママト：「あら〜」
ヘビー：「とりあえず、遺伝子安定剤とステータス固定剤、そして肺の血管強化剤ね。」
よく分からない薬をすり鉢で混ぜるの。
ヘビー：「はい飲んで」
ママト：「んく、んく、んく、ぷはぁ」
ヘビー：「うむ、これで大丈夫。明日には血が止まるよ」
シシハ：「ありがとう先生。」
ヘビー：「この調子じゃ、あと10年は大丈夫さ」
シシハ：「うん。わかった」
ヘビー：「んじゃ、2000円になります」
ママト：「どうぞー」
ヘビー：「まいどありー。それじゃー」
シシハ：「まって！」
思わず白衣をぎゅっと掴むの。
シシハ：「本当に、本当に大丈夫？」
ヘビー：「ああ。２年前の宇宙放射線で肺が弱ってるけど、１０年は大丈夫さ」
シシハ：「ほんとのほんとの本当に？」
ヘビー：「……ああ。私のプライドに誓って」
シシハ：「そう」
プライドは嫌いだけど、信用はできるの。
ヘビー：「あー、違うな。アンタの母さんは強いんだ。だから、きっと、大丈夫」
！？
ヘビー：「何かあったらまたおいで。それじゃ」
ドシドシ ドシドシ…
シシハ：「ふう」
いけない。ママに心配かけちゃったかも。
ママト：「シシハちゃ〜ん」
シシハ：「なあに？」
ママト：「おいで〜」
シシハ：「なによー」
ママト：「わしゃわしゃ〜」
シシハ：「きゃっ」
出た、ママのわしゃわしゃ攻撃！
髪の毛をぐしゃぐしゃにする技なの！
ママト：「わしゃわしゃわしゃ〜♪」
シシハ：「んもー」
しかたないなー。20分だけだよ。
こうしてわしゃわしゃされながら、ゆっくりまったり過ごしたの。
そして、あたしが夕飯を作ったんだ。
おかゆと豆のスープだよ。
ママト：「んまんま娘の愛の手料理〜」ペロペロ
シシハ：「バカやってんじゃないよ」べしべし
こうして日が沈むんだ。
ママの髪の毛が、夕日をいっぱいに浴びて、宝石みたいにキラキラしてたんだ。
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☪️️サバサバタウン南☪️
ゴブリンの斥候、３人
草の茂みセット、しゃがんで身を隠す。
カサカサ近づく
ゴブリン：「へへへ、貧相な柵だな」
ゴブリン：「文明レベルも最低」
ゴブリン：「これなら楽勝だぜ」
一人、柵をまたごうとする。
不用意に。
すると……
♑️
⚡️ビビビビビビビビ⚡️
⚡️バリバリバリバリィィィ！！！⚡️
ゴブリン：「ぐぎゃわわがががががー！！？」
⭐️夜のとばりが白に染まるッ！⭐️
ゴブリン：「うおっ」
ゴブリン：「まぶしいっ」
ぷしゅー
ゴブリン：「んなっ！？ 同胞ー」
ゴブリン：「まっ黒ゴケですぜ」
ゴブリン：「どういうことだ」
ゴブリン：「分かんない、分かんないけど、なんて恐ろしいトラップなんだ」
ゴブリン：「ボスに報告ですぜ」
ゴブリン：「おう」
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☪️東の教会☪️
ヤギー：「むむっ、何奴……」
トラップの正体は、結界でした。
ヤギー司教が24時間、維持しているのです。
ヤギー：「メー、メー、起きなさい！」
司祭：「メー？」
司祭：「メー。ねむねむ」
司祭：「メー。どうしました」
小ヤギたちが寝巻きでウトウトそろっと出てきます。
ヤギー：「メー、南から邪悪な気配がします。警戒体制です。狩人たちに知らせて来なさい」
司祭：「メー。了解」
司祭：「メー。神の祝福があらんことを」
司祭：「メー。行ってきます」
ヤギー：「……メー、何事もなければいいのですが」
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☪️サバサバタウン南 結界
深夜の１時
ボスゴブリンが、手下を連れて
ボス：「ここにトラップがあるのだな」
ゴブリン：「へい」
ボス：「このオーラ……【♑︎ヤギの結界】か」
ゴブリン：「おー、さすがボス」
このボス、ゴブリンキングだ。
身長3メートル！
存在感がデカイ！
ボス：「おい、そこのおまえ」
ゴブリン：「へい？」
ボス：「ちょっとさわってみろ」
ゴブリン：「え、ええー、いや、あの、えー」キョロキョロ
ボス：「遅い」ドン
ゴブリン：「うわ」
♑️
⚡️ビビビビビビビビ⚡️
⚡️バリバリバリバリィィィ！！！⚡️
ゴブリン：「ぎゃばばばばばばー」
やはりまっくろこげ。
ボス：「たしかに強烈だが、突破できない訳ではない……」
と、空をグイッと見上げます。
ボス：「今日は６月１４日。双子座ブーストの日、だったな。」
ゴブリン：「へい。そして俺らの誕生月でもありますぜ」
ボス：「よしお前ら、【サイン】の用意」
ゴブリン共：「「「 へい 」」」
双子のシンボルを描きます。
一斉に。
右手で空へ。
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ボス：「双子の弟よ、格闘技の神よ、目の前の結界を砕くパンチ力をくれ！」
ゴブリン共：「「「 パンチ力をくれ！ 」」」
するとどうでしょう。
満天の星の海から、八つの星が顔をだします。
星の顔はギランギランと、やけにまぶしくきらめき揺れます。
そして、光が、ふりそそぐッ！
ゴブリン共：「うおおおおおおお！」
なんということでしょう。
ただでさえムキムキだった筋肉が、倍以上に膨れ上がったではありませんか。
ボス：「フハハハハ、ゴブリンパーンチ！」
バリィィィン！
ボス：「結界は破れたッ！ さあ行けヤローども！ 奪え！ 殺せ！ 犯せ！ この村をしゃぶり尽くすのだー！！」
ゴブリン共：「「「ヒャッハー！！！！！」」」
ブォン ブォン ブォン
バイクに乗って村へと突っ込むのでした。
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☪️自宅☪️
シシハ：「すぅ」zzz
ママト：「すぅ」zzz
次回
村に乗り込む筋骨隆々の、ゴブリンたち〜
病気の母は、戦えるのか〜？
次回 ゴブリンの襲撃！
