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片倉荘  作者: Satch
22/22

第21話:後輩と初登校

今日は楓ちゃんと始めての登校です。


「なんか緊張しますよー」


「え? 何が?」


入学式は昨日だったし、なんかイベントあったか?


「翔さんせんぱいと登校なので、緊張します」


「そ、そう?」


楓ちゃんは頬を染めた顔でこちらを見上げてニッコリ笑う。

か、可愛い…。


っていうかコレはまさか、好意を持ってもらってるってこと?

いやでも出会ってからそんなに経ってないし、それはないか。


なんて思いながらニッコリ笑い、見詰め合うこと体感で5秒くらい。


「っていうかさー、翔君、私たちもいるんだけど?」


葉子さんがジト目で睨んでました。


「え? あ、あはは、分ってますよ」


「どうだか…」


と言って肩をすくめる葉子さん。


右側に葉子さん、左側に楓ちゃん、そして何故か後ろにあきらさんという、

強力な布陣で登校しております。


周りの視線が、特に男の視線が痛いから、もう少し離れて欲しいと思うのは、

贅沢な悩みなんだろうなきっと…。


「翔さんせんぱい?」


楓ちゃんは俺の袖をちょこんとつまんで、クイクイっと下に引っぱる。


「ん? なに?」


その仕草が可愛くて、思わず顔がニヤけそうになったところをあきらさんに見られた。


「キモ…」


ボソっと呟いたの聞こえてますよっていう感じで、チラっとあきらさんを見ると、

そっぽ向いて口笛吹いてるし、いやバレバレだから!


「翔さんせんぱいの、好みのタイプってどんな人ですか?」


その問いかけに、右隣と後ろから興味津々の空気が流れてくる。


「んー、そうだな、俺に対してツンツンしない人でー」


「へぇー」


葉子さんの低い声の合いの手が、何かこえぇ。


「それから、意地悪を言わない人かなー」


「ほほぅ」


あきらさんのドスの利いた合いの手が、何かこえぇ。


「他には?」


楓ちゃんがきょとんとした顔で、催促してくる。

そりゃそうだ、今のは葉子さんとあきらさんに対する嫌味だからね。

っていうか、あの嫌味に反応するってことは自覚はあるんだ。


「ショートカットが良いとか、そういうこだわりは無いなー

好きになった人がタイプ…かな」


「なるほど、年上が好きとかは」


「うん、それもあんまこだわりは無いけど、離れすぎても嫌だな」


少し表情を曇らせる楓ちゃんは、切羽つまったように聞いてくる。


「あ、ああのあの、2つ年下はダメですか…?」


「2つくらいなら許容範囲だよ」


「良かった…」


「え?」


何やらつぶやいたが俺には聞こえなかった。


「何でも無いです」


そう言って楓ちゃんはにぱぁっと笑った。


「それにしても2つ年下って、やけに具体的だけどなんだろ?」


「「はぁ…」」


葉子さんとあきらさんが綺麗にため息でハモってどうしたんだろう?


「え…? 葉子先輩今のって?」


「あぁ、翔君ってバカだから、頭で考えた事を口に出して言っちゃうのよ」


「そうそう、俺バカだから、って誰がバカだ!?」


「それに、ちょっとアレだから鈍感なんだよな」


「あきらさん、ちょっとアレって何!? それに鈍感って何が!?」


そうかさっきの仕返しだな!


「まぁ、これが翔君よ」

「まぁ、これが翔だ」


「了解です!」


楓ちゃんは何故か葉子さんとあきらさんに敬礼してるし、何なの一体。


学校の近くまで来ると健太郎を発見した。


「おーい、健…」


呼んでる最中にこちらに気付いた健太郎は、すごい勢いで走って行ってしまった。


「なんでやねん!」





「おい、健太郎、さっきは何で逃げたんだ?」


教室に入ってすぐに健太郎を捕まえた。


「え? 絡まれてるのかと思って」


「絡ま…はぁ」


そりゃ、遠めに見たら囲まれているように見えるけどさー、性別くらい分るよな。


「女子3人に絡まれるって、どんだけ弱い設定されてんだよ!」


「でも、女子に強気に出てる翔を見たこと無いしさ」


「うぐっ…そ、それは、ほら俺の周りって怖い女子多いからさ」


すると健太郎は怯えた表情で、何も言わずに自分の席に戻っていった。


「…?」


「翔君? その怖い女子って誰の事かなー?」


妙に優しい葉子さんの声が逆に怖いのですが。


「そ、それは、えーと…そ、園田先生」


「翔、苦しいな今のは」


あきらさんも顔は笑ってるのに、目が笑ってない!


「はい、みんな席着いてー」


そこで園田先生が教室に来たので、それ以上追求されずに済んだ。


「翔君、後でお話しましょうね」


葉子さんはボソっと言ったけど、俺には耳元で叫ばれたように聞こえました。


「HRの前に、翔君、減点1ね」


「なにが!?」


「なにが…?」


「いえ、なんでもないです」


やっぱり俺の周りって怖い女子しかいないじゃないか!?

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