その姿
恐怖を感じながらも、この状況をどう切り抜けようかと冷静に考える。
逃げる。いや早く走る事が出来ない。
助けを求める。この森の中で?
戦う。どんなやつ相手かも分からずに?
そうだ。どんな相手かもわからないこの状況では、最善の道だって分かりやしない。
とりあえず相手を確認し、隙を見て逃げれる相手なら逃げ切ろう。
何も分からず死ぬのは御免だ。1度経験したから分かる。死ぬのは苦しくて、痛くて、孤独で、辛い。
ゆっくりフーっと息を吐き、決心を決める。
気配はどんどん近づいているようだ。
時間の猶予もあまり無いだろう。
バッ。
一思いに後ろを振り返る。
その直後私は絶句した。恐怖やあまりにも大きい脅威に対して、では無かった。
後ろにいたそれは、本物を目にするのは初めてのものの、私も普通に生きてきて存在くらいは知っているようなものだった。
丸いボディに、表面はなんだか艶やかで光を帯びており、とても柔らかそうで、左右に小刻みに震えていた。
(スライムだ)
え。なんだこれ。
こんな物にあれほど恐怖心を抱いていたのか?
なにかの勘違いかと辺りを見回してみるものの、この青い色のスライムと自分以外、生きた生物は見当たらなかった。
でも、スライムが動いている。
私のよく知ったスライムとは、洗剤ノリに水やお湯、好きな色の絵の具に、ホウ砂を入れると出来る物質であって、生物では無かったはず。
さて、これからどうしようかと空を仰ぎ、とりあえず現実逃避をしてみる。
うーん。世の中は不思議だ。
4話を最後まで読んでくださってありがとうございます。
スライムってひんやり、ぷにぷにとしていて気持ちがいいですよね。
もし生きたスライムに出会えたらペットにしてみたいです。
どうぞ今後もよろしくお願いします。