いいからやれよ! そして死ね!
きりのよいところまで毎日投降できるように頑張ります。
「なんで、助けないんですか!?」
開口一番、夢に出てきた自称天使の男は、激しく俺を糾弾した。
「なんで、女の子を庇って、代わりにトラックに轢かれないんですか!?」
「無茶を言うな」
「そういう段取りだったじゃないですか! 昨日、説明したじゃないですか!」
「聞いていなかった」
「嘘でしょ!?」
信じられない、とでも言いたげな表情。
取り敢えず、俺は昨夜と同じようにソファに腰掛けた。
「というか、さっき、何事も無かったかのように立ち去ろうとしましたよね!?」
「あの状況で、俺にできることは何も無いからな」
「ああなる前に、できることがあったんですよ!」
自称天使の男は身悶えして、ゴロゴロと床を転がった。
「そんなことより、お前、誰だよ?」
「名乗りましたよ!? 昨日、最初に! 山田タロエルですっ! 守護天使ですよ!」
「山田か。此処はどこだ?」
「僕の仕事部屋です。昨晩も、今も、意識だけこっちに来てもらっているんですよ」
「ふーん」
俺は室内を見渡した。
「漫画は?」
「ねぇよ! 仕事部屋だっつってんだろ!」
とうとう、山田の口調が、敬語からタメ口に変わった。
「昨日は感動したのに。勇者の中の勇者だと思ったのに……」
「何の話?」
「だから! 昨日、全部、説明したんだよ! あんたが聞いてなかったんだよっ!」
今度は「あんた」呼ばわりされた。
山田が言うには、俺は間違って地球に生まれてきた勇者なので、本来、生まれるはずだった世界に転生する必要があり、そのためには一度、死ななければいけないらしい。
「こうなったら奇跡を使います。時間をほんのちょっとだけ戻すので、今度こそ女の子を助けてあげてください」
「え? 助ける義理なんて――――
「いいからやれよ! そして死ね!」
守護天使のセリフとは思えない暴言を浴びせられた瞬間、俺の意識は暗転した。
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