表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
582/1750

竜の顎

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明日です。

 俺がフィオレと再会した時の経緯を説明すると、一応、全員が納得したような反応を返してくれた。


 ただ、それは単に事情を把握したというだけで、やはり「魔人が仲間になる」という部分については、猜疑心を抱いているようだ。


「その女が、内通者として貴様に取り入ろうとしている可能性は無いのか?」


「無いと思う」


 取りあえず、誰もが真っ先に考えるだろう疑惑をストレートにぶつけてきたリカルドに、俺もまたストレートな感想を口にした。


「再会したこと自体、本当に偶然だったからな。前々からそんなことを準備万端に考えていたとは思えないし、咄嗟に思い付いたとしても、独断で行動はしないだろ」


「毎度毎度、その場の思い付きで行動している貴様が言うな」


「……」


 たった一言で、一刀両断にされてしまった。


「でも、咄嗟に思い付いた嘘にしては、内容が突拍子もなさすぎるだろ」


「それは……。まあ、たしかに、そうだな」


 なにしろ、自分の兄が何者かに体を乗っ取られたという話だ。


 普通に考えれば、信じるよりも先に、相手の正気を疑ってしまう。


 だからこそ――――なのだ。


 騙すつもりなら、誰にも信じてもらえないような嘘を、わざわざ吐くとは思えない。


「しかし……。実際に、そのようなことは可能なのか? 相手の体を乗っ取るなどと……」


「分からない。ただ、そう考えると辻褄が合うってだけの話だ」


「――――勇者の中に悪行を重ねている者がいることは、確かですな」


 ゲンジロウ爺さんがフォローするように、俺とリカルドの会話に割って入ってきた。


「残念なことではありますが、勇者だからといって必ずしも善人であるとは限らぬのです」


「それは知っている」


「……」


 知っているのは構わないが、真っ直ぐに俺の方を見ながら、頷かないでほしい。


 無礼千万な話だ。


「いつかお前が王様になったら、俺が反乱を起こしてやるからな」


「それはやめろ」


 本気で洒落にならない、と。


 リカルドが苦々しい顔をしながら俺を睨み付けたところで、


「仮面の魔人の件については、覇王丸に任せればよい」


 それまで静観していた国王が、脱線しかけた話の流れを強引に元に戻した。


「仮面の魔人の真意がどこにあろうと、ここで話を聞いただけの我々に適切な判断かできるとは思えん。ならば、覇王丸の判断に任せるべきだ」


「俺としては、ありがたいけど。それでいいのか?」


「お前の根拠の無い直感については、余はそれなりに信頼している。それとも、何かある度に船に乗ってオット大陸まで戻って来るか? 相談なら、いつでも乗ってやろう」


「結局は、そこなんだよな」


 片道十日もかからなければ、フィオレを連れて王城に出向いても構わないのだ。


 直接、フィオレと会って話をすれば、国王やリカルドも俺と同じような印象を抱くだろう。少なくとも、胡散臭さは感じないはずだ。


「もっと短期間で二つの大陸を行き来できればいいんだけど」


「そうだな……。ならば、その解決方法は一つしかないだろう」


「何か良い方法があるのか?」


「竜の顎を剣で貫けばよいのだ。――――口で言うほど、簡単な話ではないがな」


 国王はまるで話の終着点が最初から見えていたかのように、そのように結論づけた。


 俺は、国王の「竜の顎を剣で貫く」という表現が比喩であることに気づかず、きちんとした説明を受けるまで、獣王の剣で顎を串刺しにされたナルヒェンの姿を想像していた。

評価、ブックマーク、感想などをもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ