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急転直下

毎日投稿できるように頑張ります。

 翌朝、俺が目を覚ました時、家にはボルゾイもライカもいなかった。


 寝過ごしたわけではない。そもそも、寝過ごしたのであれば、ライカが起こしてくれるはずだ。


(……誰もいないのか?)


 なんだか、嫌な予感がする。


 良くないことが起きていると、胸の奥で警鐘が鳴っている。


 俺は急いで身支度を整えると、家の外に出た。


 だが――――


 いつものありふれた光景は、そこには存在しなかった。


 非現実的な静寂と、圧倒的な違和感。


 穏やかな朝の生活感をそのままに、集落からは、人の姿だけがなくなっていた。


「どうなってんだ?」


 焦る気持ちを抑えつつ、集落の中に人影を探す。


 そして、集落の出口まで歩いたところで、俺は金属同士が激しくぶつかりあう音を聞いた。



 探していた人影は、集落から少し離れた場所にいた。


 だが、様子がおかしい。


 たくさんの見知った顔が、まったく見知らぬ集団と向かい合っている。


 見当違いの方向から進んできた俺は、茂みの陰からそれを覗き見る形になった。


(ボルゾイ……ライカ……山賊のおっさんもいるな)


 だが、先頭のボルゾイをはじめ、見知った顔は、一様に表情が険しい。


 一方、対峙する集団は、全員が獣の血が濃い獣人だった。


(……もしかして、魔王軍か?)


『その可能性は、かなり高そうですね』


 俺の予想に、山田も同調した。ちなみに、山田はさっき出勤してきたばかりだ。


『魔王軍に帰属する獣人は、獣の血が濃い者ばかりだと、ボルゾイさんが言っていましたし、恐らく、間違いないでしょう。それに、あそこを見てください』


 山田が指示する場所に目をやると、そこにはハウンドの姿があった。


 ――――だが、立ち位置がおかしい。


(あいつ……。なんで、ボルゾイと向かい合って立ってるんだ?)


『彼が魔王軍を先導したから――――そう考えるのが自然でしょうね』


(は? なんのために?)


『裏切ったってことですよ』


 山田の声が、淡々と事実を告げた。

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