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進化の魔王と覚醒の覇王。 ~転生する前から世界最強~  作者: とらじ
アルバレンティア王国と神聖教会編
202/1640

無事を確認する

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

隔日で更新できるように頑張ります。

 扉の前に立ち、軽く押してみる。


 侵入者の攻撃で扉は既にボロボロになっていたが、内側に家具でバリケードが作られているらしく、押してもビクともしなかった。


「おーい。中に誰かいるかー?」


 仕方がないので、室内に向かって大声で呼びかける。


 ややあって、聞き覚えのある声が返ってきた。


「この扉は俺たちが死守する! 絶対にだ!」


「兄貴の声に似ているような気がするが、俺たちは騙されないぞ! 立ち去れ!」


 どう考えても、アホ兄弟の声だった。


「少数の護衛って、こいつらかよ……」


 俺は深々とため息をついて、頭を抱えた。


 いない方がマシとは言わないが、よりにもよって……という表現は使わざるを得ない。


 ロザリアはもう少し、人を見る目、男を見る目を養うべきだろう。


「おーい。俺だー! お前ら、ここを開けろー!」


「誰がその手に乗るものか! 俺たちを甘く見るな!」


「お前が兄貴だという証拠を見せろ!」


「面倒くさいな……」


 状況を考えれば用心深いのは良いことだが、今は時間が惜しい。


「お前が兄貴だというのなら、俺たちの名前を答えてみろ!」


「答えられるものならな!」


「アホネンとアホカスだろ」


 俺があっさり答えると、扉の向こうでアホ兄弟は沈黙した。


「ま、まさか本物の兄貴なのか?」


「待て。一問で結論を出すのは早計だ。問題は全部で三十問ある」


「つきあってられるか!」


 俺は乱暴に扉を蹴り付けた。


「お前ら、マジでぶっ飛ばすぞ! 痛い目に遭いたくなかったら、さっさとここを開けろ!」


「ひぃ!? この傍若無人さは……!」


「兄貴だ! 間違いない!」


 極めて失礼な発言の後、室内でドタバタと物を移動させる音がして、やがて扉が開いた。


 扉の向こうには、驚いたような顔で立ち尽くすアホ兄弟の姿。 


「あ、兄貴ぃぃぃぃぃ!」


「お、俺たち、頑張りましたぁぁぁぁぁぁ!」


「うるさい」


 涙を流しながら抱きついてくるアホ兄弟の二人を、俺は冷静に前蹴りとうっちゃりで迎撃した。


「酷いぜ!」


「でも、それでこそ兄貴だ!」


 訳の分からない理由で俺を再評価するアホ兄弟を放置して、俺は部屋の中に足を踏み入れる。


 そこには、神聖教会の重鎮たちと、多くの修道女、そして法王とロザリアの姿があった。


「ロザリア、無事か?」


「は、はい。覇王丸様、その怪我は……?」


 ロザリアは俺がやって来たことよりも、まず俺の怪我に目が行ったようだ。小走りで俺に歩み寄ると、心配そうに尋ねてきた。


「通路にいた連中と戦った時の傷だな」


「戦ったのですか? 複数の敵がいたはずですが」


「倒した。あの程度の連中、楽勝だったぞ」


 乱戦でなければ、多分、楽勝だったはずだ。


『乱戦だったので、満身創痍ですけどね』


 山田が横から茶々を入れてくるが、まあ、実際にそんな感じだ。


 炎の魔法を受けた両手は赤く爛れ、掌、首筋、肩口は短剣でざっくりと斬られている。


「あ、あの!」


 その時、遠巻きに見ていた修道女の中から、数名がこちらに駆け寄ってきた。


「わ、私、治癒の奇跡を使えます!」


「私もです! 治療をさせてください!」


「それは助かる」


 勿論、俺に断る理由はなかった。

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